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機動戦士ガンダムSEED DESTINY 男女逆転物語
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家族を失って身寄りのない俺は、あの時助けてくれた将校の勧めと計らいで、一人プラントへと向かった。

オーブは、その理念は守り通したかもしれないが、俺の家族を守ってくれなかった…

現実を見ないで、理念だけあったって何にもならない。
国があっての人ではなく、人あっての国じゃないのか?

オーブにはもう…戻りたくなかった…

オーブが残ってまた花が咲いても、マユも父さんも母さんも、もう還らない。
同じ花はもう二度と咲かない。俺が欲しいのは、そんなまがい物じゃない。

俺は考えた末に軍に入った。断ち切れない過去を断ち切りたかった。 
力がなかったのが悔しかった。だから、もっと力が欲しいと思った。

戦争になんてほんとはならない方がいい。
でも、だけど、戦いは、戦争は、また始まってしまった。
これじゃしょうがないだろう?守るためには戦うしかないだろう?

誰も戦争を止めることができなかった。
けれど、終わらせることはできる。終わらせてみせる。何度でもだ。
戦争を始めるヤツがいる限り、戦争を望むヤツがいる限り、安息はない。

「ならば俺は戦う!戦って今度こそ、大切な全てを守ってみせる!」

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黒いスーツのボーイが恭しく礼をし、どうぞと手を差し出した。
赤服を着たシンは、ルナマリアを先に歩かせ、その後に続く。
2人が案内されたのは夜の黒海と港街を一望できる窓際の席で、街の明かりがチラチラと揺れてとても美しかった。
ルナマリアは「わぁ!」と歓声をあげ、シンもふぅんと思う。
(確かに、綺麗な街だよな…このディオキアは)
少し前まで幅を利かせていた連合の暴挙には泣かされたようだが、再び平穏が訪れた今、街は徐々に活気を取り戻しつつある。
灯火管制がなくなり、明かりが灯ったことで地球の古い街並みも蘇った。
「すごいね、私、こんなお店初めて!」
「俺も」
ルナマリアはラクス・クラインが予約してくれた洒脱なこの店がいたく気に入ったようだ。しかも彼は、彼女のためにドレスや靴、アクセサリーやバッグまで用意してくれた。
ルナマリアは届いた荷物を見て驚き、シンの部屋まで知らせに来たほどだ。
おめかししたルナマリアは、とても可愛いかった。
スタイルのいい彼女に、すんなりとした足を惜しげもなく見せる短いドレスはよく似合っており、薄化粧も大人びた雰囲気を演出している。
(あいつ、相当女と遊んでるんだろうな)
シンは一回会っただけのルナマリアに、これだけ似合う服を送ったラクス・クラインに、素直に降参すると同時に、やっかみも含めて心の中で悪態をついた。
「どう?似合う?」
そんな事も知らず無邪気に聞く彼女に、シンは「いいんじゃない」と答えた。
「隊長より綺麗?」
「隊長のが綺麗」
拳を振り上げて「どうせかなわないもん!」と怒る彼女をからかいながら、心の中では本当は、ルナマリアも隊長に負けないくらい綺麗だと思っている。

その隊長も同じレストランにはいるのだが、席はかなり離れていた。
しかも彼女はシン同様、いつもと変わらない赤服を着ていた。
ラクス・クラインは彼女にも美しいドレスをプレゼントしたのだが、アスランは「もらう理由がない」と断り、無粋な軍服のままなのだ。

ワインが来たので、シンとルナマリアは乾杯をした。
「1人は待機だから仕方ないけど、レイに悪い事しちゃったね」
ルナマリアが1人ミネルバに戻ったレイのことを思い出して言った。
「格好つけてたな、あいつ」
「優等生だもん、レイは」
そして思い出したように言った。
「でも、シンに負けると結構悔しがってたよね」
そして「覚えてる?モビルスーツ工学の追試」と言う。
「私たち、レイのノートを写させてもらってやっと合格したのに、自由課題の解答が3人同じだからって、補習になっちゃったじゃない」
ルナマリアがくすくす笑う。
「シン、やっぱりあれ、カンニングしたんでしょ?」
「してないって。おまえこそ俺の見たんだろ」
シンも笑った。
むしろ、なんで皆同じ解答を選んだんだと驚いたものだ。
そんなところまで似てしまうほど、あの頃の3人はいつも一緒にいた。
(毎日ふざけあって、冗談を言って、からかって)
メイリンが途中でパイロットコースから脱落して、なんとなくギクシャクしたホーク姉弟を、皆で一生懸命励ましたりもしたっけ。

「本当に久しぶりだね。アスラン」
乾杯したワインに口をつけたミーアは、嬉しそうに微笑んだ。
「何しろきみはミネルバで遠征中だし、僕はプラントで仕事だもの。なかなか会えなくてごめん。でも今日はこうして会えたから、いいよね」
アスランはどうして謝られる必要があるのかと思いながら黙っている。
「議長が地上の基地を廻るから、一緒に行こうってスケジュールを組んでくれたんだ。そうしたらアスランにも会えるよって言ってくれて」
アスランは相変わらずペラペラ喋るミーアの話は上の空で聞きながら、ディオキアの港町に眼を向けた。海は島国のオーブを思い出させた。
「…でね、包帯が取れたのはまだほんの最近だったんだよ」
気づけば、ミーアは自分がラクスになった日の事を語っていた。
「何しろきみも間違えたほどそっくりだろ?声は元々似てたんだけど、問題は喋り方とか仕草。それも全部、議長が調べておいてくれたけどね」
アスランはワインを一口飲み、もう一度窓の外に眼を向けた。
少し水気を含んだこの地方の冬の大気が、街の灯をゆらゆらと揺らす。
「プラントや世界の平和のために活動をするなんて、僕に出来るのか心配だったけど、議長から話を聞いて、よし、やってみようと思ったんだ」
ミーアはアスランが聞いていようがいまいが一向に構わないのか、彼女からの返事も同意も、反応すらなくても、ただ一人で喋り続けた。

「でも最初は冷や冷やしたわよ」
「何が?」
綺麗に飾られたオードブルを食べながら、シンが聞き返した。
「だってシンったら、クラスの誰とも口利かないし、すぐ睨むし…その上教官には反抗するわ、先輩とも喧嘩するわ、大変だったじゃない」
(いつも暗い眼をして、一番後ろの席に陣取って、尖ってて、怖かった)
シンが教官に逆らうので、授業が中断することもしばしばだった。
「入学早々、ヨウランと大喧嘩するしさ」
「ああ…」
シンは苦笑いを隠せない。
「おまえ、ピンクの携帯なんか持ってんの?」
勝手にマユの携帯に触り、笑ったヨウランにいきなり殴りかかったのだ。
取っ組み合いになったシンとヨウランを、レイとヴィーノが止めに入り、ルナマリアが鼻息の荒い彼らの傍に歩み寄って…シンは左の頬に触れた。
「そういやあん時、おまえに引っぱたかれた」
「だって、あれは…」
彼女は少し照れたように口ごもった。
ルナマリアは引き離された2人に思いっきり平手打ちを食らわせて、「いい加減にしなさいよね、あんたたち!」と叫んだのだった。
「私も隊長のこと、言えないね」
シンは笑いながら、「往復じゃないだけマシ」と言った。

アスランは少し離れた席の、楽しそうなシンとルナマリアを見ていた。
(ルナマリアの前だと、あんな顔で笑うのね)
シンの笑顔はいつになく明るく、話も弾んでいるようだった。
ニコルやラスティはともかく、イザークやディアッカとはどうしてもうまくいかなかった自分に比べて、シンは仲間たちと本当に仲がいい。
反抗的な態度の数々からして、自分のように気持ちの表現が下手なのだと思っていたが、本当のシンはもしかしたらそうではないのかもしれない。

「…戦争の中での仕事は大変だけど、みんなほんとにラクス様のことが大好きなんだね。凄く大事にしてくれるし、どこへ行っても大人気だ」
気づけば、ミーアはまだ一人で自分の事を喋っている。
「この頃はつくづく思うんだ。この仕事って本当にすごいんだって。議長と僕の言葉で、皆が安心する。そして世界がどんどん動いてく」
そしてミーアは初めて会った時のように、うっとりとアスランを見た。
「でも僕がこの仕事をする事が出来て、一番嬉しいのはね…」

アスランは相変わらずミーアの話などそっちのけで、今度はルナマリアの可愛らしい笑顔に眼を引かれていた。
(いい子だわ、とても)
明るくて元気で、つい孤立しがちな自分にも声をかけてくれる優しさがある。
そう思った時、アスランはふと笑った。
(人づき合いが苦手な自分に気を遣ってくれる人なら、いつも傍にいた)
優しい灯りが燈るように、遠く離れている彼の姿が心に浮かんだ途端、アスランは驚いて体をこわばらせた。

「…きみに会えた事なんだよ、アスラン」

ミーアが、両手で強くアスランの手を握り締めていた。

喧嘩騒動以来、ルナマリアは積極的にシンに話しかけるようになった。
裕福な家庭に生まれ、愛情を一身に受けて何不自由なく育ったルナマリアは、その育ちのよさから純真で陰のない、健やかでのびのびした少女だった。
そんな彼女を、最初は「甘ったれの世間知らず」と邪険にしていたシンも、彼女の裏表がない人柄の良さに惹かれて、次第に心を開くようになった。
「それに、俺とレイはコンビを組む事も多かったしな」
複座の戦闘機やモビルスーツはもちろん、耐久訓練やグループ課題でも、シンはレイと組んだ。シンの力を上回るのはレイしかおらず、レイに対抗できるのはシンしかいなかったのだ。
「っていうか、レイだけだったからよ。シンのこと、怖がらなかったのは」
トップの成績を修めていたレイ・ザ・バレルは、常に冷静で他人と軋轢を生むような事はせず、誰とでもそつなくつきあう優等生だった。
皆が煙たがる気性の激しいシンともまた然りで、シンもそんなレイと一緒にいる時間が長かったせいもあり、徐々に言葉を交わすようになった。
「いいヤツだよな、レイは」
「いいヤツよ、レイは」
そのレイはといえば、ミネルバで相変わらず機体の整備に勤しんでいた。

「あれ?おまえだけ戻ってきたの?」
ヨウランに驚かれ、レイは頷いた。
「いいなぁ、あいつら。一流ホテルでのんびりできるんだもんな」
「ええ~?ってことは、今夜はシンとルナは一つ屋根の下で!?」
「別にいつも一つ屋根の下じゃん。ってか俺らだってそうじゃん」
何度「整備データをくれ」と言っても聞かず、2人はおしゃべりに忙しい。
「ルナって、絶対シンの事好きなんじゃない?」
「いや、俺は絶対違うと思うね」
「おまえはそう思いたいだけだろ」
「そう信じたいだけだ!ルナーッ!好きだぞーっ!」
ふざけて叫ぶヨウランを見て、ヴィーノがゲラゲラ笑う。
「バーカ、おまえになんか絶対振り向かないって」
基地入港初日であり、ミネルバも今すぐ補修すべき大きな傷もないので、エイブスたちが休憩に入り、残っている若い兵たちはノビノビしていた。別の言い方では単に「だらけている」とも言うのだが…
やがて2人のとりとめのない会話は、手を差し出したまま固まっているレイを無視して、今朝のラクス・クラインの慰問に移っていった。
「すごかったなー、クライン・ガールズとかって」
「もうさ、衣装もな~んかバリバリ?」
「そうそう!皆胸とか結構あんのな。足とか腰も綺麗だし」
「あの軍服のポスター、俺、絶対欲しい!」
2人はレイを置き去りにしたまま盛り上がっている。
「制服脱いだ時なんか、あれ、ヤバイって」
「あれはびっくりしたな!俺絶対全部見えると思ったもん」
「このスケベ野郎!」
「はい、自分はスケベ野郎です!」
内容があまりにもくだらな過ぎて、レイはほぅとため息をついた。
そんなレイにようやく気づき、二人は会話の矛先をレイに向ける。
「そういやレイ、おまえもシンもあの娘たちに囲まれてたよな」
「どうだった?何かされちゃった?」
「何かって何だよ。アホかおまえは」
「そりゃ、あんな事とかこんな事とか…」
本当に聞く気があるのか、2人の会話はレイの返事など待たずに進む。
「あ~あ、やっぱ赤服はモテるよなぁ」
「当たり前じゃん。俺たちしがない整備兵だもん」
「明日は赤服借りて出かけようぜ」
「それいいかも!」
「ダメだろう」
そこでレイがようやく横槍を入れた。
「整備データをよこせ」
はいはいとヨウランがコネクタを繋ぎ、おまえは真面目だねぇとぼやく。
「じゃあ一緒に行こうぜ。おまえがいれば俺らもモテるかも!」
「俺は待機だ。隊長が戻られるまでは動けないし、戻っても動かない」
ケチ!クソマジメ!という2人の罵倒を受け流し、レイはザクに向かった。

アカデミーをトップの成績で卒業したのはレイだった。
レイはどの科目も満遍なく優秀な成績を修めたが、ナイフや格闘術、モビルスーツの操縦は時に「問題児」のシンが上回り、周囲を驚かせた。
ことに「ナイフのフレッド」と最終的に模擬戦闘をするのはシンかレイか、ヨウランやヴィーノが胴元になって賭けが行われたが、シンが辛くもレイに勝ち、アカデミーでは有名な名物教官と戦うことになったのだった。
「あの時、ルナはどっちに賭けたんだ?」
「選べないもん。賭けてないわよ。でもメイリンはシンに賭けてたわ」
戦時下だったアスランの頃と違って男女の訓練は別だったので、メイリンは勝負がつくと「シンが勝ったよ!」と息せき切ってルナマリアに知らせに来たのだった。
「あの子、喜んでたわよ、すごく」
シンは優しい性格ゆえか、格闘が苦手だったメイリンを思い出した。
「ちなみにヴィーノとヨウランはレイに賭けてやがった」
もちろん散々嫌味を言ってやったけど。

メイリンはバートと交替し、準夜勤に戻ったところだった。
勤務が明けたら、明日はヨウランやヴィーノとディオキアの街に出る予定だ。
メイリンはしばらくは静かなブリッジで真面目に通信ログのファイリングをしていたが、やがて手を止めた。そして極秘扱いの人物データベースに手際よく入り込むと、「ラクス・クライン」をピックアップした。
彼のデータには「特A級」である事を示すマークがついている。
(重要人物ってことなのか、それとも危険人物ってことなのかな?)
メイリンは何重ものパスをやすやす突破すると、ファイルを開いた。

「ラクス・クライン、CE55.2.5生。父は元最高評議会議長シーゲル・クライン。15歳までに全ての高等教育を修了し、機械工学、情報科学、政策論、法律学、生化学分野等について論文多数。恵まれた容姿により、モデルや俳優業等を営む傍ら、クライン派の象徴として政策講演会等も積極的に開催していた」

メイリンはよく知られている彼の生い立ちや履歴を改めて読んだ。
さらには前大戦末期、クライン派と呼ばれるシンパと共にザフト軍からZGMF-X10Aフリーダムを奪取し、父の死後地下に潜って反戦運動を続けたこと、さらには戦艦エターナルを強奪して、志を共にするオーブ・プラント・地球軍関係者を集め、反戦を掲げる「三隻同盟」をまとめあげたとある。
(これだけの事をしたのに、どうしてその後姿を消したんだろう?)
メイリンは首を傾げながら画面を送っていくと、「現在はプラントに戻り、デュランダル議長を支持すると共に、プラント国民が一丸となって危機に対応するよう、平和的啓蒙活動を再開した」と追記されていた。
彼が血のバレンタインの生き残りであり、「悲劇の英雄」である理由の重篤な放射線障害については、「前大戦による再生医療の大幅な進歩で、今のところ病状は安定し、非常に落ち着いている」とだけ記されている。
「婚約者は元最高評議会議長パトリック・ザラの娘、アスラン・ザラ」
読み進んでいたメイリンの瞳に、そんな一文が飛び込んだ。
パスのかかった画像ファイルを開くと、まだあどけなさの残るラクスとアスランが、父のクラインとザラと共に並んでいる。美しく、理想的な2人だった。
「ねぇねぇ、私見ちゃった!隊長、首から指輪を提げてるのよ!」
その事実を発見したルナマリアは、真っ先に弟に報告に来た。
「やっぱりラクス・クラインからかな?」という言葉にグサリと傷ついたメイリンは、新旧取り混ぜた彼の画像を指で送り、不機嫌そうに眺めた。
かつてのラクスと今のラクスの見た目は、誰にも看破できないだろう。
けれどセクシーな女の子たちに囲まれてにっこり笑っている彼と、大変な経歴の持ち主である彼とは、結びつかない気がした。それはただの嫉妬なのか、彼の勘が鋭いのかはわからない。が、メイリンは何度目かのため息をついた。 
(第一、あの頃のアスランさんは違ってたのに)
メイリンは不満そうに、彼女と初めて会った時のことを思い返した。
アスランはオーブのアスハ代表と親しげで、2人はほとんど一緒にいた。
(そりゃ…護衛なら当然なのかもしれないけど…)
艦長が2人に一部屋しか与えていないと知った時は動揺したものだ。
代表が、戦闘に巻き込まれた彼女を置いていけないとヴォルテールへの移乗を拒否した時も正直驚いた。ただの警護関係とは思えないほど、2人は親密そうだった…と。
(どっちにしろ、僕なんかお呼びじゃないんだよね)
がっくりと肩を落としたメイリンは、深い深いため息をついた。

メインディッシュが出てきても、二人は昔話で盛り上がっていた。
最初こそ大喧嘩したものの、その後素直に「悪かったな」と謝ってきたお調子者のヨウラン、ヴィーノも加わって、6人はすっかり仲良くなった。
消灯時間後に寮を抜け出したことがばれて街中を逃げ回ったり、未熟なヨウランたちのミスでコックピットに何時間も閉じ込められたりした。
ヘタクソなルナマリアの射撃訓練に延々つきあわされる事を、仲間内では「拷問」と呼んでいた。教えても上達せず、何より最初に彼女自身が厭きるのだ。
(つきあわされるのは大概弟のメイリンで、次が断りきれないレイで…)
くすくす笑うシンを見て、「何よ?」とルナマリアが怪訝そうに聞いた。
シンが毎度トラブルを起こして反省室に入れられると、皆でこっそり差し入れを持って行ったりした。ヨウランとヴィーノは窓の下からシンに励ましの声をかけては教官に叱られ、追い掛け回されていた。
「だけど最後はガンガン成績上がって、すごかったのよね、シンは」
「あれはきっと、何でも苦手なルナが前を譲ってくれたおかげだな」
「失礼ね!」
成績は悪くないのに、素行不良な問題児として卒業を危ぶまれたシンが、見事な追い上げでルナマリアを抜き、レイに迫る好成績で卒業した時は、みんなで夜通し大騒ぎして祝いあったものだ。それは卒業後、長く厳しいトライアルを勝ち抜いてインパルスのパイロットに選ばれた時も同じだった。
 
「…離して、ミーア」
アスランは静かなレストランに遠慮し、声をひそめて言った。
「きみは本当に綺麗で…写真を見て、ずっと憧れてたんだよ」
ミーアが離そうとしないので、力をこめて手を引っ込めようとしたが、そんなアスランの拒絶をものともせず、ミーアはさらに畳み掛けた。
「議長はそのうち会えるよって言ってたけど、ずっと会いたかった」
彼は必死に喋り続けているが、アスランの嫌悪感は増すばかりだった。
「だってきみはラクス様が大好きで、お父さんを裏切ってでもラクス様のところへ行ったんだろ?きみはラクス様のものなんだよね…だったら…」
「離して!」
アスランはついに彼の手を振りほどき、そして立ち上がった。
もう一秒たりとも一緒にいたくなかった。

「ルナをミス・アカデミーにしようって、皆で盛大に応援したっけ」
「あれは私の実力だもん」
ルナマリアはその気さくな性格から男女問わず大人気だったから、放っておいても選ばれただろうが、それでも仲間だからと、レイ以外は皆張り切った。
「でもあれ、やたら無効票が多かったのよねぇ」
ルナマリアはわざとブスくれてみせた。
「レイに入れたの、誰よ?」
「そうそう!レイを女装させて対抗馬として出せばよかった」
2人はひとしきり「レイが聞いたら怒るぞ」と笑いあった。
「…なんでも、皆一緒だったよね」
「特に怒られる時はな」
アカデミーは仲良しこよしの学校ではない。
日々の訓練は厳しかったし、つらい事もたくさんあった。
でも終わってしまえば、それ以上に楽しい思い出が多かった。
「私たち、配属も全員一緒でよかったね」
ルナマリアは改めてそう言ったが、心の中でもこっそり呟いた。
(でも、私はシンと一緒なのが一番嬉しいんだけど)

やがて、まだ食事も半ばだというのにアスランが席を立つのが見えた。
ラクス・クラインは引き止めているようだったが、彼女は意に介さずすたすたと出口に向かい、ラクス・クラインも慌てて追いかけていく。
(尻に敷かれてんのかなぁ、あの男)
シンは苦笑した。
ラクス・クラインの声や笑い声は時折聞こえてきたものの、もともと静かに話すアスランの声は、ほとんど聞こえてこなかった。
シンが2人を眼で追っていると、アスランがこちらを見て手を振った。
「お先に」と彼女の唇が動いたのがわかる。
ルナマリアが手を振り返し、彼らは店を出て行った。

「隊長って、前大戦でもずっと前線で戦ってたのよね」
ルナマリアが食べ終わったナイフとフォークを皿に並べて言った。
「隊長が所属してたクルーゼ隊って、すごいエリート部隊だったのよ。作戦成功率が高くて、隊員は皆評議会議員の子弟ばっかりだったって」
「へぇ」
「そういえば私も、ニュースで勲章がどうのって見た気がするのよ」
ザラ議長の娘がどうとか…とルナマリアは記憶を手繰るように額に指を当てた。
「今思えば、あれが連合のストライクを見事討ち取って、ネビュラ勲章をもらった時だったんだと思うのよね」
オーブにいたシンは、プラントのニュースには疎かった。
大戦の概要もプラントの戦歴も、プラントに上がってから、知識として身に着けたものに過ぎない。だからザフト兵なら誰もが知るような名のある兵士についてもよくは知らなかった。
「ストライク…」
「ああ、そういえばオーブでしょ?隊長がストライクと戦ったの」
シンはそれもプラントに来てから知った。
オーブ領海に地球軍の艦が入り込んで、彼らを追ってきたザフト軍と戦闘になった事があったが、あの時、それこそアスランたちと戦っていたのがストライクという、連合が初めて開発したモビルスーツだったのだという。
「オーブでは、そういうニュースはあんまり流れなかったから」
シンは肩をすくめた。
「ヘリオポリスがザフトに襲われて壊された…なんてニュースにはちょっと驚いたけど。そういえばそのストライクも、モルゲンレーテが造ったって噂されてた。それくらいかな…覚えてるのは」
ふと、シンは楽しかったオーブでの少年時代を思い出した。
毎日が明るくて、幸せで…それが当たり前だと想って過ごしていた。
「でも俺にはそんなこと、全部遠い国や宇宙での出来事だったけど」
「それは、オーブがプラントより平和だったからよ。私たちはかなり頻繁に避難訓練とか、シャトルの乗り方やシェルターの使い方を教わったわ。ユニウスセブンの例があるから、直接狙われたら何をやってもムダな気がしたけど」
メイリンは心配性だから、いつも枕元に非常用のリュック用意して…くすっとルナマリアが笑う。
「飼ってる犬までそこに入れちゃって」
シンもまた、何の心配もしていなかったオーブでの日々を思い出した。
新しいゲームの発売日とか、それを果たして買ってもらえるのかとか、家族でのバーベキュー・キャンプとか、おしゃまなマユのいたずらにびっくりさせられたり、友達と海に行ったり、女の子に告白されたり…豊かで平和で、何よりコーディネイターもナチュラルも、気兼ねすることなく自由に生きていけた国、オーブ。
故国を思い出して黙り込んだシンを見て、ルナマリアが少し首をかしげた。
「…いやなこと、思い出させた?」
シンは顔をあげ、そんな事ないさと答えた。
「もう…遠い過去の事だから」

「でもね、シン」
運ばれてきた繊細で美しいデザートに感激し、幸せそうに頬張って「おいしい!」とはしゃいだルナマリアが、ふと表情を曇らせた。
「隊長…体中傷だらけなの」
「…え?」
ルナマリアは一緒になったマハムール基地のシャワー室で、アスランの体にいくつもの傷跡があることに驚いて息を呑んだ。
「銃創…っていうのかな?腕とか、腰とかにあったのよ」
シンは少し驚いて「へぇ」と答えたが、彼女がエースとして激戦をくぐり抜けたのは伊達じゃないと改めて思った。そしてユニウスセブンの破砕作業時のアスランやジュール隊長たちの、素早く、巧みな戦闘を思い出した。
「再生医療は受けないんですかって聞いたら…」
衣服を身につけながら、アスランは少し照れ臭そうに答えたのだ。
「これは全部、私にとっては大切な傷なの」
それは父との確執であり、キラとの戦いの証であり、カガリとの出会いだった。
「だからいいのよ、このままで」
そう言って微笑んだ彼女は、とても綺麗だった。
「本当に、最前線にいた人なんだな」
(あの人はそこで、一体何を見て、何を聞き、何を考えたんだろう)
知りようもない彼女の過去が、また少しだけシンに寂しさを感じさせた。

2人はコーヒーを飲み終わると、少し外を歩こうかと席を立った。
彼らの支払いは既にラクス・クラインが終えてくれていた。
シンはやや不快な気分だったが、「いいじゃない、甘えようよ」とルナマリアが言ったので、しぶしぶ納得することにした。
冬だというのに思ったより外は温かい。
シンはルナマリアに襟元にファーのついたコートを着せてやり、2人は近所の公園までぶらぶらと歩き始めた。船の汽笛が聞こえ、沖合いには漁火が見える。
街の明かりと灯台の明かりが対照的だ。
少し前を歩くルナマリアがあれが基地、あれがホテル…と指で指す。
「ジブラルタルまではまだ遠いね」
これからまだエーゲ海に抜けて、地中海を横断しなきゃ…
「けどジブラルタルまで行けば、宇宙に、プラントに戻れるのかな?」
シンはそれを聞いて思う。
(そうだよな、皆、もうずいぶん家族に会ってないんだもんな)
「帰れるさ、じきに」
ポケットに手をつっこんで妹の携帯に触れながら、シンは明るく答えた。
「議長が言ってたろ。利益のために戦争を起こしてるヤツらがいるって。そいつらを倒して、もうやめさせよう。戦争なんて、バカみたいだ」
シンは吐き捨てるように言った。
「俺たち4人ならできる。戦争を終わらせて、あんな…」
その途端だった。

一体何が引き金になったのかわからない。
思い出そうとしたわけでもなく、その話をしていたわけでもない。
家族という単語か、戦争という単語が悪かったのかもしれない。
以前ネオが言っていた、ステラの「ブロックワード」という言葉と同じで、シンにも何か引き金があったのかもしれないが、原因はわからなかった。
(まさか…)
この時、抑え切れないほど急激にフラッシュバックが起こり始めたのだ。
こんな事は滅多にない。シンは冷や汗をかき、どうしたんだ、と思う。

(大丈夫だ、目標は軍の施設だろう。急げ、シン)
(マユ!頑張って!)
(マユの携帯!)
「いやーっ!」
ちぎれた腕、ぐねった体、広がっていく血だまり…

次の瞬間、シンはいつもとは違う場所にいた。
暗くて、狭くて、人いきれでなんだか暑苦しい…
(大丈夫か?)
(ママー!喉渇いたー)
(あら、お水は?)
(この船はどこに向かうのかね?)
片隅で膝を抱え、眼を見開いて、何も考えられない自分がいた。
避難船…オノゴロから乗った船だ。本当なら、父さんや母さんやマユと一緒に乗っていたはずの船に、シンはたった一人で乗っていた。

「トダカ一佐!オノゴロ、カグヤとモルゲンレーテが…」
オノゴロを出た船は沖合いへと向かっていた。
救援に来てくれているスカンジナビアや赤道連合、そして宇宙に避難を望むコーディネイターを引き取ると言うプラントとのランデブーポイントへ…トダカはその報せに愕然とした。
ウズミを始め、主だった首長たちもカグヤの自爆と運命を共にしたという。
残ったホムラ代表が、連合との停戦交渉に入ったとの報せもある。
「若様は…カガリ様はどうされた?」
「行方不明です。キサカ一佐も…」

「トダカ一佐」
避難民の世話をしていた若い下士官が彼を呼んだ。
「彼です。あれ以来、何も食べないし、何も飲まない。眠りもしません」
トダカは自分が助けて連れてきたシンの傍らに膝をついた。
それでもシンは顔を上げもしない。
「きみだけでも、助かってよかった」
温かい声だった。まるで父のように、力強く、優しい声だった。
誰が声をかけても無反応だったシンが、トダカにだけは眼を向けた。
「きっと、御家族はそう思っていらっしゃるよ」
その優しい言葉が、死んでしまっていたシンの心を震わせた。
シンの赤い瞳に見る見る涙があふれ、彼は思いっきり泣いた。
肩に置かれたトダカの大きくて温かい手が嬉しくて、寂しくて、ただ泣いた。
小さな体の水分を全て搾り出すように、彼は忘れていた涙を流して泣いた。

「シン、大丈夫?」
はっと気づき、シンはルナマリアが伸ばした手を激しく振り払った。
ルナマリアは驚き、振り払ったシンもまた驚いて彼女を見た。
「…あ、ごめん、悪い、ルナ…」
「シン…」

突然立ち止まって震えだしたシンに、ルナマリアは何度も声をかけた。
けれどシンの様子はおかしなままだ。アカデミーでも軍に入ってからも、ルナマリアはこんなシンは見たことがない。シンもアカデミー入学以来、この症状を隠していたため、今まで誰かに見られたことなどなかった。
ルナマリアが心配してシンの額に触れようとした途端、振り払われたのだ。

「PTSD…サバイバーズ・ギルトとか、シェル・ショックとかってやつ」

落ち着いたシンはベンチに座り、ルナマリアに説明した。
「なんでかあれ以来、人との接触が苦手でさ」
体力を消耗したシンは、口元を手で押さえてふぅと息をついた。
「ルナに…ルナだけじゃないけど、人に触られるの、嫌がってるだろ、俺」
ルナマリアは身体的接触を拒むシンの行動の理由を初めて理解した。
「薬も飲んだし、いろんな療法もやったけど、なかなかよくなんなくて」
身寄りのないシンは、プラントに上がるとすぐ施設に入所したのだが、そこでは他人とうまくつきあえず、喧嘩ばかりしている問題児だった。オーブでは誰とでもすぐに仲良くなることが自慢のクラスの人気者で、彼の周りにはいつでも友達がたくさんいたのに、その頃のシンときたら笑いを忘れ、涙を忘れ、誰に対しても攻撃的で常にイライラしていた。
物を壊したり、夜驚症状を見せたり、時には拳で窓ガラスを割るなど、破壊的衝動と自傷行為を併せ持つ危険な行動もしばしば起こしていた。
典型的なPTSD後のストレス障害を示すシンの治療は、困難を極めた。
「軍に入るって言ったら、それは自虐的行為のひとつだって医者や心理士は止めた。でも押し切って軍に入ったおかげで随分よくなった」
なんでかな…シンは笑った。
「おまえたちに…会えたからかな…」
ルナマリアはそのシンの痛々しい笑顔から思わず顔をそむけた。
(笑わないで…笑わないでよ、そんな哀しそうな顔で…)
家族を目の前で失って、苦しんで、苦しんで、苦しみ抜いたシン。

「俺の家族は、アスハに殺されたんだ!」

あの叫びはシンの心の悲鳴だった。
戦争の傷は今もまだシンを苦しめ、苛んでいる。
出会った頃あんなに尖っていたシンは、鋭い刃の鎧を身につけることで必死に自分を守っていたのだろう。自分の事も傷つけながら、ずっと。
そんな彼を抱き締めてあげたいと思っても、それすらもできないのだ。
涙が止まらなかった。シンが戦う理由が少しだけわかった気がした。

シンは立ち上がり、頭をかいた。
「ごめん、ルナ。変なとこ見せて。その、殴っちゃったし…」
もう帰ろう、とシンが言う。
少し風が冷たくなってきていた。
ルナマリアは涙を拭うと、無理に笑顔を作って「うん」と答えた。
そして歩き出したシンの後を追おうとして、ふと立ち止まった。

「ルナ?」
シンが振り返る。
ルナマリアは少し考えてから言った。
「ねぇ、シン。あなたが人と触れ合うのがいやなのはわかってるけど…」
そう言いながら、ルナマリアはおずおずと右手を差し出した。
「手を…握るのも、だめかな…?」
シンはしばらく黙ってルナマリアを見つめていた。
それからゆっくりと彼女の元に歩み寄ると、彼女の手を取る。
「大丈夫だよ。ルナだもん」
それを聞いて、ルナマリアは嬉しそうに笑みを浮かべた。

手を繋いだ2人の影が、ディオキアの満天の星空の下を歩き出した。
優しい夜が更けていく。シンはあの日以来初めて、心からの安らぎを得た。
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制作裏話-PHASE20-
逆転SEEDのPHASE26に引き続き、全編完全オリジナルの総集編PHASEです。
種はPHASE14や27のように、「ほとんど総集編」という話は多数あったものの、完全に総集編と銘打った話となると、実はPHASE26しかなかったりします。ところがDESTINYはさらに恥を重ね、PHASE14.5、20、29、40、47と完全に「総集編」と押し出しました。この「PAST」はその一つです。

ここまで全体の構成を考えながら、シンをサルベージし、ダメだった物語を少しでもいいものに、と書いてきましたが、PHASE20は一から創作する事になるので、かなり前から構想を練っていました。言わばコンテを切る作業です。

ディオキアの夜。
大人っぽい雰囲気のレストラン。
そこで語られるのはシンの過去。
それも本編のようなオーブ戦の使いまわし映像ではなく、家族を失った彼が、傷ついた心で立ち上がり、仲間たちと出会って癒され、やがてザフトのエースになるまでの軌跡。
そこにシンが持つ「力」を、本当の「強さ」をこめたかったのです。

こうして決めていたので、これまでもシンの過去を少しずつ、少しずつ小出しにしてきました。それでも20話で主人公のバックボーンは遅すぎますよね。
それこそPHASE9-11のもたつき三部作をシンの過去にあてればよかったものを。

シンの過去については、本編で映像だけで表された絵と、SUIT CDのドラマパートを元にしており、さらにこれまで描写を心がけてきたヴィーノやヨウラン、メイリンとの関係性をそれぞれのキャラクターらしく紡ぎました。今よりも年若く自由だった頃のシンたちを、少しでも微笑ましいと思ってくだされば本望です。

シンとヨウランが大喧嘩したというのはPHASE4で既に描いており、それをきっかけに彼らは仲良くなっていきます。自傷的な危険性も含んだ反抗的な態度は、心に大きな傷を負った彼の適応障害だと思いますが、薬物やカウンセリングより仲間たちと過ごす日々こそがシンを癒したことにしたかったのです。

シンとルナマリアの会話の合間に、レイ、ヨウラン、ヴィーノ、メイリンもバランスよく配置しました。ヨウランたちの会話は男女逆転した事でなくなったPHASE17の会話を流用し、メイリンは憧れのアスランの婚約者があんな軽薄なラクス・クラインである事が腑に落ちません。それでつい「カガリとの方が親密だったじゃないか」と考えてしまうのですが、よく考えたら彼にとってはどちらとお似合いでも得ではない、というオチにしてあります。
ツッコミのできない優等生のレイは、トンがってたシンを恐れず、対等につきあった最初の友人であるとしています。シンは彼に救われ、だからこそ後に彼を救うのです。

今回のリライトで新たに追加した部分が、ミーアの過去です。実はこれ、執筆時も(PHASE47ミーアは総集編だし、本編では尺が足りなくて語れていない部分を修正するのに使うだろうから、ここでミーアの過去を語らせようか)と考えたんですね。けれど「いや、でもこの先の展開はわからないし、もしかしたらPHASE47でミーアのセリフを使う事になるかも」と思いなおしてやめたのです。実際には逆転のPHASE47は「ミーア」ではなく、まさに「ラクス」でしたから、ミーアのセリフ(=日記の盗み読み)など必要なかったのです。

そこで今回、ミーアに自分の過去として語らせました。
だけどアスランは彼の話を全く聞いていません。興味ないですもんね、どうでもいい人の話なんか。夜景を眺めたり、シンやルナマリアを気にしたりしつつ、ふと恋人のカガリを思い出した途端、どうでもいい男に手を握られるという「最悪のタイミングで最悪のセクハラ」を受けます。

アスランの体に傷が残っているかどうかは不明ですが(PHASE8のシャワーシーンでは確認できず)、逆転ではせっかくルナマリアとのシャワー室でのエピソードがあるので、彼女がアスランの傷跡を見てビックリした、という創作エピソードに生かしてみました。ちなみにアスランが傷を残した理由は、イザークが「ストライクへの恨みつらみ」で傷を残したのとはちょっと動機が違います。

楽しい時間を過ごした2人がディオキアの街を散歩している時、突然大きな発作がシンを襲います。
シンの脳裏に浮かぶ避難船の光景は「PAST」で実際に流れたもの。トダカの温かい慰めで泣き出すシンが、後に彼の命を奪う事になるのは悲劇ですね。

そしてついに、シンが背負っているものがルナマリアに明かされました。
自分が避けられていたのは、シンが自分を嫌いだからではなく、彼の心の傷によるものだったと知ったルナマリアの心は哀しみで一杯になります。

けれど彼女は勇気を出しておずおずと手を差し出します。
シンもまた、ルナなら大丈夫、とその手を取ります。
シンはこの後、ステラとの出会いで障害を完全に克服する事になりますが、その後も少しずつ成長し、やがてルナマリアを深く愛するようになります。一見、ルナマリアに心が向くのは遅い気もしますが、実は彼に一番最初に安らぎをくれたのはルナマリアだ、としておきたかったからです。

このデートは自分でも想ったよりいい感じに仕上がったのではないかと自負しています。
シンは最初は気が乗らなかったものの、装ったルナマリアがとても可愛かったので、鼻が高いんですね。
そしてこの頃、徐々に隊長に心を開きかけていたシンは、PHASE19で「何も語ってくれない」口下手の隊長に寂しい思いをしたように、今回も窺い知れないアスランの過去を知り、寂しい思いをします。

本編でもそうですが、シンはアスランを「隊長」と呼んでいた時期が一番よかったと思います。ホント、恨むよハイネ西川。
になにな(筆者) 2011/07/30(Sat)21:52:29 編集
Natural or Cordinater?
サブタイトル

お知らせ
PHASE0 はじめに
PHASE1-1 怒れる瞳①
PHASE1-2 怒れる瞳②
PHASE1-3 怒れる瞳③
PHASE2 戦いを呼ぶもの
PHASE3 予兆の砲火
PHASE4 星屑の戦場
PHASE5 癒えぬ傷痕
PHASE6 世界の終わる時
PHASE7 混迷の大地
PHASE8 ジャンクション
PHASE9 驕れる牙
PHASE10 父の呪縛
PHASE11 選びし道
PHASE12 血に染まる海
PHASE13 よみがえる翼
PHASE14 明日への出航
PHASE15 戦場への帰還
PHASE16 インド洋の死闘
PHASE17 戦士の条件
PHASE18 ローエングリンを討て!
PHASE19 見えない真実
PHASE20 PAST
PHASE21 さまよう眸
PHASE22 蒼天の剣
PHASE23 戦火の蔭
PHASE24 すれちがう視線
PHASE25 罪の在処
PHASE26 約束
PHASE27 届かぬ想い
PHASE28 残る命散る命
PHASE29 FATES
PHASE30 刹那の夢
PHASE31 明けない夜
PHASE32 ステラ
PHASE33 示される世界
PHASE34 悪夢
PHASE35 混沌の先に
PHASE36-1 アスラン脱走①
PHASE36-2 アスラン脱走②
PHASE37-1 雷鳴の闇①
PHASE37-2 雷鳴の闇②
PHASE38 新しき旗
PHASE39-1 天空のキラ①
PHASE39-2 天空のキラ②
PHASE40 リフレイン
(原題:黄金の意志)
PHASE41-1 黄金の意志①
(原題:リフレイン)
PHASE41-2 黄金の意志②
(原題:リフレイン)
PHASE42-1 自由と正義と①
PHASE42-2 自由と正義と②
PHASE43-1 反撃の声①
PHASE43-2 反撃の声②
PHASE44-1 二人のラクス①
PHASE44-2 二人のラクス②
PHASE45-1 変革の序曲①
PHASE45-2 変革の序曲②
PHASE46-1 真実の歌①
PHASE46-2 真実の歌②
PHASE47 ミーア
PHASE48-1 新世界へ①
PHASE48-2 新世界へ②
PHASE49-1 レイ①
PHASE49-2 レイ②
PHASE50-1 最後の力①
PHASE50-2 最後の力②
PHASE50-3 最後の力③
PHASE50-4 最後の力④
PHASE50-5 最後の力⑤
PHASE50-6 最後の力⑥
PHASE50-7 最後の力⑦
PHASE50-8 最後の力⑧
FINAL PLUS(後日談)
制作裏話
逆転DESTINYの制作裏話を公開

制作裏話-はじめに-
制作裏話-PHASE1①-
制作裏話-PHASE1②-
制作裏話-PHASE1③-
制作裏話-PHASE2-
制作裏話-PHASE3-
制作裏話-PHASE4-
制作裏話-PHASE5-
制作裏話-PHASE6-
制作裏話-PHASE7-
制作裏話-PHASE8-
制作裏話-PHASE9-
制作裏話-PHASE10-
制作裏話-PHASE11-
制作裏話-PHASE12-
制作裏話-PHASE13-
制作裏話-PHASE14-
制作裏話-PHASE15-
制作裏話-PHASE16-
制作裏話-PHASE17-
制作裏話-PHASE18-
制作裏話-PHASE19-
制作裏話-PHASE20-
制作裏話-PHASE21-
制作裏話-PHASE22-
制作裏話-PHASE23-
制作裏話-PHASE24-
制作裏話-PHASE25-
制作裏話-PHASE26-
制作裏話-PHASE27-
制作裏話-PHASE28-
制作裏話-PHASE29-
制作裏話-PHASE30-
制作裏話-PHASE31-
制作裏話-PHASE32-
制作裏話-PHASE33-
制作裏話-PHASE34-
制作裏話-PHASE35-
制作裏話-PHASE36①-
制作裏話-PHASE36②-
制作裏話-PHASE37①-
制作裏話-PHASE37②-
制作裏話-PHASE38-
制作裏話-PHASE39①-
制作裏話-PHASE39②-
制作裏話-PHASE40-
制作裏話-PHASE41①-
制作裏話-PHASE41②-
制作裏話-PHASE42①-
制作裏話-PHASE42②-
制作裏話-PHASE43①-
制作裏話-PHASE43②-
制作裏話-PHASE44①-
制作裏話-PHASE44②-
制作裏話-PHASE45①-
制作裏話-PHASE45②-
制作裏話-PHASE46①-
制作裏話-PHASE46②-
制作裏話-PHASE47-
制作裏話-PHASE48①-
制作裏話-PHASE48②-
制作裏話-PHASE49①-
制作裏話-PHASE49②-
制作裏話-PHASE50①-
制作裏話-PHASE50②-
制作裏話-PHASE50③-
制作裏話-PHASE50④-
制作裏話-PHASE50⑤-
制作裏話-PHASE50⑥-
制作裏話-PHASE50⑦-
制作裏話-PHASE50⑧-
2011/5/22~2012/9/12
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