機動戦士ガンダムSEED DESTINY 男女逆転物語
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「こちらストライクフリーダム、キラ・ヤマト」
「キラさんたちは?」
護衛に戻ってきたネオにマリューが訊ねたのと同時に、キラからオーブ全軍に通信が入った。
「レクイエムはアカツキ、インフィニットジャスティスにより撃破。要塞メサイアは損害多大、デュランダル議長は戦闘中に重傷を負い、ザフトの戦闘継続は不可能と思われます。従ってこれより、停戦交渉に入ります。各艦及びモビルスーツは、至急アークエンジェルと合流してください。なお、戦闘行為は護衛または防衛以外、すみやかに停止してください」
「キラさんたちは?」
護衛に戻ってきたネオにマリューが訊ねたのと同時に、キラからオーブ全軍に通信が入った。
「レクイエムはアカツキ、インフィニットジャスティスにより撃破。要塞メサイアは損害多大、デュランダル議長は戦闘中に重傷を負い、ザフトの戦闘継続は不可能と思われます。従ってこれより、停戦交渉に入ります。各艦及びモビルスーツは、至急アークエンジェルと合流してください。なお、戦闘行為は護衛または防衛以外、すみやかに停止してください」
話し終えたキラはエターナルに通信を繋いだ。
「停戦の呼びかけは、司令官のきみがする?」
互いの無事を喜び合った後、ラクスの提案にキラは首を振った。
「ここにいる皆は今、ラクスの言葉を聞きたいんだと思うよ」
「わかった。ありがとう、キラ」
ラクスは頷くと、オペレーターに告げた。
「ゴンドワナに通信回線を開いてくれ」
メサイアが機能しない今、指揮権はゴンドワナに移っているはずだった。
そしてオペレーターがチャンネルを開く間に、ラクスはドムの2人に通信を入れた。
この時彼らはちょうど医務室のヒルダからの通信を受けているところだった。
「あんたたち、ちゃんと戦ったんだろうね!?」
「やったさ。エターナルはほれ、無事だろうが」
「おまえが寝てる間に、フリーダムの小娘が全部片付けちまったよ」
「なんだい、あの娘にまかせっきりかい!大の男が揃いも揃って!」
包帯だらけで腕も吊っているが、すっかり元気になったヒルダがヘルベルトとマーズをぎゃんぎゃん叱りつけているところに割り込み、ラクスは声をかけた。
「皆さん、本当にありがとうございました」
彼の声を聞くと、3人とも「はっ!」と背筋を伸ばした。
「ヒルダさん、ケガは大丈夫ですか?」
ラクスは優しく尋ねた。
「は、これしきの傷、大丈夫であります」
「任務達成おめでとうございます、ラクス様」
「見事なご采配でした」
「お力を貸してくださった皆さんのおかげです」
ラクスが鷹揚に微笑むと、ヒルダがしみじみと言った。
「…これで、我々もようやくクライン元議長閣下にご恩返しができました」
3人は神妙な面持ちで感慨深げに眼を伏せている。さっきまで荒っぽい口調で言い合っていた彼らの父への忠義ぶりは、ラクスにとっては何よりありがたいものだった。
「こちらはエターナル。ラクス・クラインです。ザフト軍、現最高司令官に申し上げます…」
戦域全てにラクスの声が流れ始めると、まだ小競り合いを続けていた両軍の兵たちもようやく戦いをやめ、自陣へと戻り始めた。
その頃全ての退艦準備を終えて脱出用ランチに分乗したミネルバのクルーたちは、月の地表にめり込むように沈み、倒れている母艦を見つめていた。皆、哀しそうに、悔しそうに、涙を浮かべている者もいる。
ことにヨウランやマッド・エイブスたち整備兵にとっては、母艦を置き去りにするというのは忸怩たる思いで一杯だった。
「ミネルバぁ…」
ヴィーノなどは泣きながらウィンドウに手をついて見送っている。
自分たちの命を守り、共に戦場を駆け抜けた戦艦ミネルバ…進水式すら済まないままに戦いに駆り出され、破竹の勢いで勝ち進み、地球ではどこでも英雄として迎えられた艦は今、月の女神ダイアナの懐に抱かれて眠りについた。
ミネルバの副長アーサー・トラインも敬礼し、今は亡き艦長から託された最後の役目を無事終えたのだった。
アークエンジェルは残存のオーブ艦隊を率いてエターナルと合流した。
「少…一佐!大丈夫なんですかい!?」
ハンガーに到着したアカツキからネオが飛び降りてきたので、整備兵たちに指示を下していたマードックが振り返った。
「なんでもミネルバの陽電子砲を受けたとかって…」
「大丈夫大丈夫。ほれ、機体も壊れなかったろ。相変わらずいい腕だな、曹長!」
「…はぁ?」
この航海で随分と親しくはなったものの、まるで「彼」のような受け答えに驚いているマードックが、「曹長って…一曹だっての」といつものネオのように呟くのを残し、ネオはそのままブリッジへと向かった。
そこでは、彼の帰りを待っているはずだ。「ムウ・ラ・フラガ」が誰より愛する女性が…
アカツキに続き、傷ついたムラサメ部隊も続々とアークエンジェルに戻ってきた。
イケヤもゴウもニシザワも致命的な被弾をすることなく、オーブを守れた喜びに沸いていた。アークエンジェルを護衛している彼らを見て、エターナルに随伴しているキラはライフルを振って合図した。
「キラ様!」
「おお、キラ様!やりましたな!」
無傷のストライクフリーダムを見て感激した彼らは、モビルスーツに変形すると、一斉にライフルを振り返してキラを苦笑させた。
しかし一方でそんな風に戻ってくる者たちを統制するため、ミリアリアはムラサメの着艦オペレーションに忙殺されていた。
「被弾した機体から順に…あ、ちょっとぉ!1番じゃなくて2番です!…いえ、違いますってば!」
「やれやれ、一挙に帰ってくるねぇ」
同じく兵装バンクや火器のダメージ把握に忙しいチャンドラも根を上げ、振り返った。
とはいえアークエンジェルの周囲では既に戦闘は収まっており、先ほどまでのギリギリの緊張感はもはやない。余裕のできたチャンドラはニヤニヤして話しかけてきた。
「ねぇねぇ、エルスマンとさぁ…」
「今忙しいんです!」
ミリアリアはその名を聞くやぴしりと遮った。
本当は、さっき見た彼の事が気になって仕方がない。今度こそ本当に怒らせたんじゃないか…なんとなく不安な気持ちと同時に、意固地な心が顔をもたげて反発する。
(私はやらなきゃって思った事をやってるだけだもの。あいつのことなんか知るもんですか!)
そう考えるのに心にはさざなみが立ち、ついつい口調が八つ当たりになってしまう。
「後にしてください!」
「うへ」
チャンドラは首をすくめ、一方傷んだエンジンで騙し騙し操艦しているノイマンも気が気ではない。
あの場面でのジェネシスの情報はありがたかったが、ライバル復活はありがたくない。とはいえ、あんな状況だというのに言い合いを始めた2人を見れば、入り込む余地がないことは明らかだった。
(ま、あんな顔を見せられちゃ仕方ないか…)
彼女の声を聞いて心底仰天した様子の彼の顔を思い出し、ノイマンはふっと笑った。
ラクスが全域に向けて語りかけているエターナルでも、安息が訪れていた。
「やれやれ…」
バルトフェルドも緊張で硬くなった肩を揉みほぐし、一方激しい戦闘をどうにか乗り越えたダコスタは疲れきってシートにぐったりともたれている。
(油断しているところを後で怒鳴りつけてやろう)
そんな風にいたずら心を起こしていると、ガイアの帰投サインが出た。
バルトフェルドは通信機のスイッチを切り替えると、ラクスの邪魔にならないよう、ガイアと直接ラインを繋いだ。
「よう、おかえり」
着艦シークエンスに取り掛かっていたメイリンは、モニターに現れたバルトフェルドに少し驚いた。
「隊長!」
メイリンは彼に礼を言うと、嬉しそうに笑った。
刃を交えた姉の事はまだ少し心配だったが、今はただ、自分にもオーブを守る手伝いができたことを喜ぼうと思う。
「よく無事に帰ってきたな」
バルトフェルドはおどおどしながらコックピットに向かった彼を思い出し、にやりと笑った。
今、目の前にいる彼にはそんな弱々しさは見当たらない。若い兵士のこうした成長を見ることが、バルトフェルドは何より好きだった。
「これでおまえの勝ちだ」
「はい!覆してやりました…運命を!」
そう言ってメイリンは、これまでにないほど晴れやかに笑った。
「僕たちは、この宙域でのこれ以上の戦闘継続は無意味と考え、それを望みません」
ラクスの停戦の呼びかけは続き、それを聞いて戦闘行為をやめたモビルスーツや艦艇は、続々とゴンドワナに戻りつつある。
「…ああ、先に行け。これだけの数だ。早く行かんと場所がなくなるぞ」
イザークはヴォルテールに通信を入れると、すぐに兵をまとめてゴンドワナに戻るよう言った。
「なに?拾いにくる?いらん!近いから心配するな!」
実直な艦長にあれこれ指示を下しながら、イザークはさっきから気もそぞろなディアッカに苛立っていた。
(戦闘中も気を抜きやがって…)
ザクの集中砲火を受けて片足を失った黒いザクファントムを見て鼻白んだが、被弾の瞬間は死ぬほど驚いたなどとは口が裂けても言うまい。そのショックが逆にイザークの心を逆撫でし、今、彼が何を思っているかがわかるだけに苛立ちはピークに達していた。
ディアッカの視線は戻ってきたアークエンジェルに釘付けだ。
かなりの損傷を受けているが、またしても勝ち残るとはさすがは足つきだが、彼の関心はもっぱらブリッジの中の「ある人物」にある。
だが情けない事に、今、自分が何をどうしたらいいかわからず、はーっとため息をつく。
いきなり聞こえてきた声に動揺し、つい問い詰めてしまった事が彼の心を苛んでいる。
「まずいよなぁ、あれは」
ゴンドワナからは停戦交渉に臨む準備が整っている旨の報せが入っている。自分の機体もダメージを受けているので、急ぎ帰投しなければならないのだが、このままヴォルテールに戻ってしまったら、立場上しばらくオーブ軍と接触することはできないだろう。
(そうしたらまた…会えなくなる…)
それを思うと胸が苦しい。会って、一言でもいいから話がしたかった。
しかし数分後、彼のこの逡巡はあっけなく解決してしまった。
「行きたいならとっとと行ってこい!」
ついに苛立ちが頂点に達した戦友の怒鳴り声が、迷っていたディアッカへの何よりの後押しとなったのだった。
「どうか、現時点をもっての両軍の停止に同意願います」
ラクスの呼びかけで停戦への動きは着々と進んでいるが、メサイアの爆発は収まらず、むしろ激しくなる一方だった。
真っ暗な廊下を、シンは右も左もわからず歩き続けている。
自分が知っている道ではないところに紛れ込むと、もともと白兵戦を見越して入り組んだ作りになっている要塞内では、あっという間に道を見失ってしまうのだ。
ましてや照明が落ち、瓦礫や炎が道を塞いでいる今は尚更だ。
爆発の炎が残り少ない酸素を燃焼させ、要塞内は徐々に空気が薄くなっている。
少し息苦しくなったシンは深呼吸をしてみたが、必要な酸素量が取り込めないと知ると手に持っていたヘルメットをかぶった。スーツの酸素量はまだ十分だったが、このまま彷徨い続ければいつまでもつかはわからない。
しかしそんな絶望的な状況以上に、シンの心には暗い影が落ちていた。
レイをあそこに置いてきたこと…その事実が重くのしかかる。
(あいつは、あそこに残りたかったんだ。だからありがとうって…)
シンはそう考えてなんとか自分を納得させようとするのだが、それもただの言い訳に思えてしまって、やがてまた「レイを置き去りにした」という堂々巡りに捉われる。
ぐるぐると巡る思考に捉えられて闇の中を歩いていたシンは、突然起きた爆発の爆風に煽られて吹き飛んだ。
「…っ…くそ…いってぇ…」
瓦礫でしこたま腰を打ち、痛みに呻いた。だが骨折や捻挫をしなかったのは幸いだ。
「出口は…」
真っ暗な道の先は、瓦礫で埋まっている。
そもそも、この先が本当に出口なのか、要塞内により奥深く入っていってしまうのかすらもわからなかった。シンはため息をついてそこにペタリと座り込んだ。
(ダメだ…もう…)
スーツの腕にある通信機を発進してみるが、こっちも何の信号も拾わないので、外部に届いているのかどうかわからなかった。ライトであたりを照らしてみても、頼りない光で周囲がぼんやり浮かび上がるだけで、深すぎる闇の向こうまでは到底見通せない。
心細い一方で今、自分ひとりで本当によかったと思う。
何より気がかりな彼女はインパルスに守られているはずだ。ほとんど動かないとはいえ、かつての相棒がいかに頼りになるかはシンが一番よく知っていた。
(大丈夫だ…あそこにいれば、ルナはきっと救助される)
壁によりかかり、暗い天井を仰いだシンはポツリと呟いた。
酸素が薄くなった分、音はほとんどなくなっていた。まるで静まり返った闇がのしかかってくるようだ。シンは押しつぶされそうな圧迫感に苛まれた。
「…レイを置き去りにした報いかな」
シンは自嘲気味に笑った。
「それとも…この世界を選んだからか…」
レイや、ステラのような子を生み出したこの世界を、自分は選んだ。
世界は変わっていける…そう信じたのは事実だった。けれど反面、何一つ変わらないかもしれない。10年後も、20年後も、人はいがみあい、争っているかもしれない。
(そしてまた、レイやステラのような子が生み出されて…)
シンはステラの最期を思い出した。
彼女の死は、いつでも引き裂かれるような痛みを伴って蘇る。
最後に見せた嬉しそうな笑顔が、シンの胸を何度も突き刺した。
(守るなんて…嘘をついた…俺にはそんな事できやしなかったのに)
あんなところにたった1人で、きっと寂しいだろう、ステラ…
(……行ってやっても…いいかな…)
何しろ無邪気で危なっかしくて、見てられないんだから…そう考えて、シンは静かに眼を閉じた。このままここにいれば、彼女のところに行けるだろう。
ただし、酸素がなくなるか、爆発に巻き込まれるか、崩落でぺしゃんこになるか…
「はは、どれもいやだなぁ」
シンは残酷な終わりを想い、自分を元気づけようとして明るく笑ってみた。
その時、どこからか声が聞こえた。
シンは立ち上がり、声の位置を探ろうと耳を澄ます。
それはやがて、大きな駆動音と共に聞こえてきた。
「…ーン!どこ?シーン!!」
「ルナ!?」
シンは瓦礫をよじのぼり、真っ暗な要塞内を見回した。
「ルナーッ!!ここだ!!!」
「…シン!?」
シンは必死で呼び続けた。
やがて、ルナマリアが壁を一枚隔てて向こう側にいることがわかった。
「ルナ!」
「シン!大丈夫!?」
「なんで…どうして?」
上ずった声で聞いたが、ルナマリアは答えない。
「下がって!壁を破壊する!」
「え!?いや、ちょっと…」
「行くわよ!」
シンは慌てて傍の瓦礫の影に退避すると、途端にミサイルがぶち込まれて壁がガラガラと崩れ去った。シンは頭を抱えて身を守りながら、(ムチャクチャだ!)と悪態をついた。
恐る恐る顔を上げると、眼と鼻の先にコアスプレンダーのタイヤがあった。
「シン!よかった!」
「あ、あのな…」
あきれ返っているシンには構わず、ルナマリアはコックピットから伸び上がって手を振った。
「早く!もうほとんどエネルギーがないのよ」
そう言いながら、ルナマリアが「レイは?」と聞いた。
その途端、シンの心がジクンと痛んだ。
「レイは…」
急に沈んだ彼の顔を見て、ルナマリアは何があったか直感した。
「レイは…もう…行かないって…俺たちとは」
シンが小さい声で搾り出すように言うと、ルナマリアは少し黙り、何も聞かずに「そう…」と答えただけだった。
「とにかく、急いで脱出しなくちゃ!」
「あ、ああ…」
シンは彼女に強引に手を引かれてコックピットに飛び乗った。
「行くわよ!いい!?」
コアスプレンダーは飛び出したが、かなり小型とはいえ要塞内部は機体が通れるほど広くはない。ましてや今は瓦礫だらけなのでそれをよけると機体はさらに安定しなかった。だがルナマリアはまっすぐ来た道を戻っていく。たまに大きな瓦礫にぶつかって機体が激しく揺れようが、ランプが弾き飛ばされようが、ほとんど斜めになろうがお構いなしで飛ばしていくのだ。いくら切羽詰った状況とはいえ、彼女のこのあまりにも荒っぽい操縦にはさしものシンも恐怖を感じ、ただシートにしがみついているしかなかった。
やがて2人は港口に到達したのだが、ここでコアスプレンダーのエネルギーが完全に切れてしまった。
「だめ。もう動かないわ」
「ちょっと待ってろ」
脱出口を探そうと飛び降りたシンは、港口を塞いでいるデブリを押し出せばなんとかなると、周囲の瓦礫を蹴ったり押したりして、ぎりぎり通れるくらいの隙間をこじ開けた。そしてコアスプレンダーの後ろに立つと、ルナマリアに操縦桿だけ握るよう言って力一杯押し出した。
「行くぞ!」
コアスプレンダーが推進し始めると、シンは床を蹴って飛び移る。港口を抜けた途端、内部で激しい爆発が起き、炎が噴き出した。まさに間一髪だった。
「ルナ、なんであんなとこまで来たんだよ?」
崩落と崩壊によってデブリを撒き散らす要塞からある程度離れると、シンはルナマリアに言った。
「危ないから待ってろって言ったろ!」
心配のあまり声を荒げるシンに、ルナマリアは「ああ、うん、それは…」と言葉を濁した。
「とにかく、脱出できたんだからいいじゃない」
しかしそうは言っても、動かないコアスプレンダーは宙域を漂うだけだ。
周辺には友軍機も友軍艦もなく、2人とも出せる限りの救難信号を出してはいるが、酸素がある間に救助が来るかどうかはわからない。
(なんだ、脱出しても結局同じじゃないか)
シンは厳粛な事実に苦笑したが、すぐに思いなおした。
(いや…違うな、かなり…)
なぜなら今、彼の傍にはルナマリアがいるのだ。
(俺は、一人ぼっちじゃない)
それが嬉しくて後ろからシートごと彼女を抱き締めると、通信可能なチャンネルを拾おうとあれこれ操作してる彼女に「邪魔よ、シン」と怒られた。そんな風に邪険にされる事もなんだか少し嬉しい。ついさっきまでステラのいるところに行こうかと考えた自分が、今は一生懸命生きる道を探しているルナマリアと一緒でよかったと思っているのはなんとも皮肉だった。
(しょうがない男だな、俺も)
やがて、全宙域に流れている国際救難チャンネルが拾われた。
「…繰り返し申し上げます。僕たちはこの宙域でのこれ以上の戦闘を…」
「ラクス・クライン…」
2人は繰り返される停戦勧告を聞きながら、ありとあらゆる色が入った帰還信号があちこちから打ち上げられるのを見た。
それはまるで夜空に咲く花火のように美しく華やかで、戦いに疲れた兵たちに、帰るべき道を示してくれていた。しかし反面、自分たちには帰るべき場所が見つけられないことを改めて気づかされる。ルナマリアも同じ気持ちだったようで、心配そうに言った。
「ミネルバ…どうしたかしら?」
「撃墜されたってさ。でも、皆無事みたいだ」
その時、彼方からスピードを上げて機影が近づいてきた。
「…敵か!?」
けたたましいアラートがむなしく鳴ったが、もし敵だとしても動かないコアスプレンダーではなすすべがない。シンは咄嗟にルナマリアを庇おうと彼女の前に進み出た。
(せめてルナだけでも…)
しかし次の瞬間、それがよく知る相手だと知ってシンは驚いて立ち上がった。
現れたのは、右腕を失ったインフィニットジャスティスだったのだ。
「よくやったわ、ルナマリア」
「アスラン!!」
ルナマリアは、残されたマニピュレーターでコアスプレンダーを受け止め、コックピットから出てきたアスランを見て飛び出した。アスランは彼女の腕を掴んで抱きとめると、「ありがとう」と言った。
メサイアから脱出した時、要塞周辺にインパルスの信号を捉えて機体を停めたアスランに、先に行くキラが不思議そうに尋ねた。
「どうしたの?」
「先に行ってて」
アスランは慎重に要塞を一巡りすると、ちょうど自分たちが使った港口の反対側に、インパルスが待機していたのだ。そっと近づいていくと、そこには懐かしい姿があった。
「ルナマリア!」
「アスラン?」
「それで、迎えに行ったの」
ルナマリアはシンに笑いかけた。
残されたシンはコックピットに立ったまま仏頂面だ。
これで、レイがシンと共にいるとは知らないはずのルナマリアが「レイは?」と彼の安否を聞いたことにも合点がいく。
崩れいく要塞に入るのはかなり危険だが、どうかシンたちを連れ戻して欲しいとアスランに頼まれたルナマリアは、二つ返事で飛び出した。
「一緒に来るように言ったけど、私ではだめなの…あなたじゃないと…」
うな垂れたアスランの言葉を思い出し、ルナマリアは少し嬉しそうにうふっと笑った。
「シン、あなたも無事でよかった」
「なんなんですか、今さら…」
シンは呆れたように首を振った。
「…もう…俺には構うなって言ったでしょう」
そう言いながら、議長の最期の言葉がチラリと頭をよぎった。
「でも…部下が遭難したら助けに行かないと…」
「助けろなんて言ってないし、第一もうあんたの部下じゃない!」
「それは……そうだけど…」
アスランは困ったように首を傾げたが、ふと思い出したように言った。
「そうだ!こういう時は、『俺を助けろ、この野郎!』って言うんじゃないの?」
2人で大気圏に落ちる時、彼女に同じようなたとえを言ったシンはぐっと言葉に詰まった。
「そんな事、言うわけないでしょう!!」
シンは腕を組んで子供のようにふんっと思い切り顔を背け、それからつけ加えた。
「……隊長に向かって…」
「停戦の呼びかけは、司令官のきみがする?」
互いの無事を喜び合った後、ラクスの提案にキラは首を振った。
「ここにいる皆は今、ラクスの言葉を聞きたいんだと思うよ」
「わかった。ありがとう、キラ」
ラクスは頷くと、オペレーターに告げた。
「ゴンドワナに通信回線を開いてくれ」
メサイアが機能しない今、指揮権はゴンドワナに移っているはずだった。
そしてオペレーターがチャンネルを開く間に、ラクスはドムの2人に通信を入れた。
この時彼らはちょうど医務室のヒルダからの通信を受けているところだった。
「あんたたち、ちゃんと戦ったんだろうね!?」
「やったさ。エターナルはほれ、無事だろうが」
「おまえが寝てる間に、フリーダムの小娘が全部片付けちまったよ」
「なんだい、あの娘にまかせっきりかい!大の男が揃いも揃って!」
包帯だらけで腕も吊っているが、すっかり元気になったヒルダがヘルベルトとマーズをぎゃんぎゃん叱りつけているところに割り込み、ラクスは声をかけた。
「皆さん、本当にありがとうございました」
彼の声を聞くと、3人とも「はっ!」と背筋を伸ばした。
「ヒルダさん、ケガは大丈夫ですか?」
ラクスは優しく尋ねた。
「は、これしきの傷、大丈夫であります」
「任務達成おめでとうございます、ラクス様」
「見事なご采配でした」
「お力を貸してくださった皆さんのおかげです」
ラクスが鷹揚に微笑むと、ヒルダがしみじみと言った。
「…これで、我々もようやくクライン元議長閣下にご恩返しができました」
3人は神妙な面持ちで感慨深げに眼を伏せている。さっきまで荒っぽい口調で言い合っていた彼らの父への忠義ぶりは、ラクスにとっては何よりありがたいものだった。
「こちらはエターナル。ラクス・クラインです。ザフト軍、現最高司令官に申し上げます…」
戦域全てにラクスの声が流れ始めると、まだ小競り合いを続けていた両軍の兵たちもようやく戦いをやめ、自陣へと戻り始めた。
その頃全ての退艦準備を終えて脱出用ランチに分乗したミネルバのクルーたちは、月の地表にめり込むように沈み、倒れている母艦を見つめていた。皆、哀しそうに、悔しそうに、涙を浮かべている者もいる。
ことにヨウランやマッド・エイブスたち整備兵にとっては、母艦を置き去りにするというのは忸怩たる思いで一杯だった。
「ミネルバぁ…」
ヴィーノなどは泣きながらウィンドウに手をついて見送っている。
自分たちの命を守り、共に戦場を駆け抜けた戦艦ミネルバ…進水式すら済まないままに戦いに駆り出され、破竹の勢いで勝ち進み、地球ではどこでも英雄として迎えられた艦は今、月の女神ダイアナの懐に抱かれて眠りについた。
ミネルバの副長アーサー・トラインも敬礼し、今は亡き艦長から託された最後の役目を無事終えたのだった。
アークエンジェルは残存のオーブ艦隊を率いてエターナルと合流した。
「少…一佐!大丈夫なんですかい!?」
ハンガーに到着したアカツキからネオが飛び降りてきたので、整備兵たちに指示を下していたマードックが振り返った。
「なんでもミネルバの陽電子砲を受けたとかって…」
「大丈夫大丈夫。ほれ、機体も壊れなかったろ。相変わらずいい腕だな、曹長!」
「…はぁ?」
この航海で随分と親しくはなったものの、まるで「彼」のような受け答えに驚いているマードックが、「曹長って…一曹だっての」といつものネオのように呟くのを残し、ネオはそのままブリッジへと向かった。
そこでは、彼の帰りを待っているはずだ。「ムウ・ラ・フラガ」が誰より愛する女性が…
アカツキに続き、傷ついたムラサメ部隊も続々とアークエンジェルに戻ってきた。
イケヤもゴウもニシザワも致命的な被弾をすることなく、オーブを守れた喜びに沸いていた。アークエンジェルを護衛している彼らを見て、エターナルに随伴しているキラはライフルを振って合図した。
「キラ様!」
「おお、キラ様!やりましたな!」
無傷のストライクフリーダムを見て感激した彼らは、モビルスーツに変形すると、一斉にライフルを振り返してキラを苦笑させた。
しかし一方でそんな風に戻ってくる者たちを統制するため、ミリアリアはムラサメの着艦オペレーションに忙殺されていた。
「被弾した機体から順に…あ、ちょっとぉ!1番じゃなくて2番です!…いえ、違いますってば!」
「やれやれ、一挙に帰ってくるねぇ」
同じく兵装バンクや火器のダメージ把握に忙しいチャンドラも根を上げ、振り返った。
とはいえアークエンジェルの周囲では既に戦闘は収まっており、先ほどまでのギリギリの緊張感はもはやない。余裕のできたチャンドラはニヤニヤして話しかけてきた。
「ねぇねぇ、エルスマンとさぁ…」
「今忙しいんです!」
ミリアリアはその名を聞くやぴしりと遮った。
本当は、さっき見た彼の事が気になって仕方がない。今度こそ本当に怒らせたんじゃないか…なんとなく不安な気持ちと同時に、意固地な心が顔をもたげて反発する。
(私はやらなきゃって思った事をやってるだけだもの。あいつのことなんか知るもんですか!)
そう考えるのに心にはさざなみが立ち、ついつい口調が八つ当たりになってしまう。
「後にしてください!」
「うへ」
チャンドラは首をすくめ、一方傷んだエンジンで騙し騙し操艦しているノイマンも気が気ではない。
あの場面でのジェネシスの情報はありがたかったが、ライバル復活はありがたくない。とはいえ、あんな状況だというのに言い合いを始めた2人を見れば、入り込む余地がないことは明らかだった。
(ま、あんな顔を見せられちゃ仕方ないか…)
彼女の声を聞いて心底仰天した様子の彼の顔を思い出し、ノイマンはふっと笑った。
ラクスが全域に向けて語りかけているエターナルでも、安息が訪れていた。
「やれやれ…」
バルトフェルドも緊張で硬くなった肩を揉みほぐし、一方激しい戦闘をどうにか乗り越えたダコスタは疲れきってシートにぐったりともたれている。
(油断しているところを後で怒鳴りつけてやろう)
そんな風にいたずら心を起こしていると、ガイアの帰投サインが出た。
バルトフェルドは通信機のスイッチを切り替えると、ラクスの邪魔にならないよう、ガイアと直接ラインを繋いだ。
「よう、おかえり」
着艦シークエンスに取り掛かっていたメイリンは、モニターに現れたバルトフェルドに少し驚いた。
「隊長!」
メイリンは彼に礼を言うと、嬉しそうに笑った。
刃を交えた姉の事はまだ少し心配だったが、今はただ、自分にもオーブを守る手伝いができたことを喜ぼうと思う。
「よく無事に帰ってきたな」
バルトフェルドはおどおどしながらコックピットに向かった彼を思い出し、にやりと笑った。
今、目の前にいる彼にはそんな弱々しさは見当たらない。若い兵士のこうした成長を見ることが、バルトフェルドは何より好きだった。
「これでおまえの勝ちだ」
「はい!覆してやりました…運命を!」
そう言ってメイリンは、これまでにないほど晴れやかに笑った。
「僕たちは、この宙域でのこれ以上の戦闘継続は無意味と考え、それを望みません」
ラクスの停戦の呼びかけは続き、それを聞いて戦闘行為をやめたモビルスーツや艦艇は、続々とゴンドワナに戻りつつある。
「…ああ、先に行け。これだけの数だ。早く行かんと場所がなくなるぞ」
イザークはヴォルテールに通信を入れると、すぐに兵をまとめてゴンドワナに戻るよう言った。
「なに?拾いにくる?いらん!近いから心配するな!」
実直な艦長にあれこれ指示を下しながら、イザークはさっきから気もそぞろなディアッカに苛立っていた。
(戦闘中も気を抜きやがって…)
ザクの集中砲火を受けて片足を失った黒いザクファントムを見て鼻白んだが、被弾の瞬間は死ぬほど驚いたなどとは口が裂けても言うまい。そのショックが逆にイザークの心を逆撫でし、今、彼が何を思っているかがわかるだけに苛立ちはピークに達していた。
ディアッカの視線は戻ってきたアークエンジェルに釘付けだ。
かなりの損傷を受けているが、またしても勝ち残るとはさすがは足つきだが、彼の関心はもっぱらブリッジの中の「ある人物」にある。
だが情けない事に、今、自分が何をどうしたらいいかわからず、はーっとため息をつく。
いきなり聞こえてきた声に動揺し、つい問い詰めてしまった事が彼の心を苛んでいる。
「まずいよなぁ、あれは」
ゴンドワナからは停戦交渉に臨む準備が整っている旨の報せが入っている。自分の機体もダメージを受けているので、急ぎ帰投しなければならないのだが、このままヴォルテールに戻ってしまったら、立場上しばらくオーブ軍と接触することはできないだろう。
(そうしたらまた…会えなくなる…)
それを思うと胸が苦しい。会って、一言でもいいから話がしたかった。
しかし数分後、彼のこの逡巡はあっけなく解決してしまった。
「行きたいならとっとと行ってこい!」
ついに苛立ちが頂点に達した戦友の怒鳴り声が、迷っていたディアッカへの何よりの後押しとなったのだった。
「どうか、現時点をもっての両軍の停止に同意願います」
ラクスの呼びかけで停戦への動きは着々と進んでいるが、メサイアの爆発は収まらず、むしろ激しくなる一方だった。
真っ暗な廊下を、シンは右も左もわからず歩き続けている。
自分が知っている道ではないところに紛れ込むと、もともと白兵戦を見越して入り組んだ作りになっている要塞内では、あっという間に道を見失ってしまうのだ。
ましてや照明が落ち、瓦礫や炎が道を塞いでいる今は尚更だ。
爆発の炎が残り少ない酸素を燃焼させ、要塞内は徐々に空気が薄くなっている。
少し息苦しくなったシンは深呼吸をしてみたが、必要な酸素量が取り込めないと知ると手に持っていたヘルメットをかぶった。スーツの酸素量はまだ十分だったが、このまま彷徨い続ければいつまでもつかはわからない。
しかしそんな絶望的な状況以上に、シンの心には暗い影が落ちていた。
レイをあそこに置いてきたこと…その事実が重くのしかかる。
(あいつは、あそこに残りたかったんだ。だからありがとうって…)
シンはそう考えてなんとか自分を納得させようとするのだが、それもただの言い訳に思えてしまって、やがてまた「レイを置き去りにした」という堂々巡りに捉われる。
ぐるぐると巡る思考に捉えられて闇の中を歩いていたシンは、突然起きた爆発の爆風に煽られて吹き飛んだ。
「…っ…くそ…いってぇ…」
瓦礫でしこたま腰を打ち、痛みに呻いた。だが骨折や捻挫をしなかったのは幸いだ。
「出口は…」
真っ暗な道の先は、瓦礫で埋まっている。
そもそも、この先が本当に出口なのか、要塞内により奥深く入っていってしまうのかすらもわからなかった。シンはため息をついてそこにペタリと座り込んだ。
(ダメだ…もう…)
スーツの腕にある通信機を発進してみるが、こっちも何の信号も拾わないので、外部に届いているのかどうかわからなかった。ライトであたりを照らしてみても、頼りない光で周囲がぼんやり浮かび上がるだけで、深すぎる闇の向こうまでは到底見通せない。
心細い一方で今、自分ひとりで本当によかったと思う。
何より気がかりな彼女はインパルスに守られているはずだ。ほとんど動かないとはいえ、かつての相棒がいかに頼りになるかはシンが一番よく知っていた。
(大丈夫だ…あそこにいれば、ルナはきっと救助される)
壁によりかかり、暗い天井を仰いだシンはポツリと呟いた。
酸素が薄くなった分、音はほとんどなくなっていた。まるで静まり返った闇がのしかかってくるようだ。シンは押しつぶされそうな圧迫感に苛まれた。
「…レイを置き去りにした報いかな」
シンは自嘲気味に笑った。
「それとも…この世界を選んだからか…」
レイや、ステラのような子を生み出したこの世界を、自分は選んだ。
世界は変わっていける…そう信じたのは事実だった。けれど反面、何一つ変わらないかもしれない。10年後も、20年後も、人はいがみあい、争っているかもしれない。
(そしてまた、レイやステラのような子が生み出されて…)
シンはステラの最期を思い出した。
彼女の死は、いつでも引き裂かれるような痛みを伴って蘇る。
最後に見せた嬉しそうな笑顔が、シンの胸を何度も突き刺した。
(守るなんて…嘘をついた…俺にはそんな事できやしなかったのに)
あんなところにたった1人で、きっと寂しいだろう、ステラ…
(……行ってやっても…いいかな…)
何しろ無邪気で危なっかしくて、見てられないんだから…そう考えて、シンは静かに眼を閉じた。このままここにいれば、彼女のところに行けるだろう。
ただし、酸素がなくなるか、爆発に巻き込まれるか、崩落でぺしゃんこになるか…
「はは、どれもいやだなぁ」
シンは残酷な終わりを想い、自分を元気づけようとして明るく笑ってみた。
その時、どこからか声が聞こえた。
シンは立ち上がり、声の位置を探ろうと耳を澄ます。
それはやがて、大きな駆動音と共に聞こえてきた。
「…ーン!どこ?シーン!!」
「ルナ!?」
シンは瓦礫をよじのぼり、真っ暗な要塞内を見回した。
「ルナーッ!!ここだ!!!」
「…シン!?」
シンは必死で呼び続けた。
やがて、ルナマリアが壁を一枚隔てて向こう側にいることがわかった。
「ルナ!」
「シン!大丈夫!?」
「なんで…どうして?」
上ずった声で聞いたが、ルナマリアは答えない。
「下がって!壁を破壊する!」
「え!?いや、ちょっと…」
「行くわよ!」
シンは慌てて傍の瓦礫の影に退避すると、途端にミサイルがぶち込まれて壁がガラガラと崩れ去った。シンは頭を抱えて身を守りながら、(ムチャクチャだ!)と悪態をついた。
恐る恐る顔を上げると、眼と鼻の先にコアスプレンダーのタイヤがあった。
「シン!よかった!」
「あ、あのな…」
あきれ返っているシンには構わず、ルナマリアはコックピットから伸び上がって手を振った。
「早く!もうほとんどエネルギーがないのよ」
そう言いながら、ルナマリアが「レイは?」と聞いた。
その途端、シンの心がジクンと痛んだ。
「レイは…」
急に沈んだ彼の顔を見て、ルナマリアは何があったか直感した。
「レイは…もう…行かないって…俺たちとは」
シンが小さい声で搾り出すように言うと、ルナマリアは少し黙り、何も聞かずに「そう…」と答えただけだった。
「とにかく、急いで脱出しなくちゃ!」
「あ、ああ…」
シンは彼女に強引に手を引かれてコックピットに飛び乗った。
「行くわよ!いい!?」
コアスプレンダーは飛び出したが、かなり小型とはいえ要塞内部は機体が通れるほど広くはない。ましてや今は瓦礫だらけなのでそれをよけると機体はさらに安定しなかった。だがルナマリアはまっすぐ来た道を戻っていく。たまに大きな瓦礫にぶつかって機体が激しく揺れようが、ランプが弾き飛ばされようが、ほとんど斜めになろうがお構いなしで飛ばしていくのだ。いくら切羽詰った状況とはいえ、彼女のこのあまりにも荒っぽい操縦にはさしものシンも恐怖を感じ、ただシートにしがみついているしかなかった。
やがて2人は港口に到達したのだが、ここでコアスプレンダーのエネルギーが完全に切れてしまった。
「だめ。もう動かないわ」
「ちょっと待ってろ」
脱出口を探そうと飛び降りたシンは、港口を塞いでいるデブリを押し出せばなんとかなると、周囲の瓦礫を蹴ったり押したりして、ぎりぎり通れるくらいの隙間をこじ開けた。そしてコアスプレンダーの後ろに立つと、ルナマリアに操縦桿だけ握るよう言って力一杯押し出した。
「行くぞ!」
コアスプレンダーが推進し始めると、シンは床を蹴って飛び移る。港口を抜けた途端、内部で激しい爆発が起き、炎が噴き出した。まさに間一髪だった。
「ルナ、なんであんなとこまで来たんだよ?」
崩落と崩壊によってデブリを撒き散らす要塞からある程度離れると、シンはルナマリアに言った。
「危ないから待ってろって言ったろ!」
心配のあまり声を荒げるシンに、ルナマリアは「ああ、うん、それは…」と言葉を濁した。
「とにかく、脱出できたんだからいいじゃない」
しかしそうは言っても、動かないコアスプレンダーは宙域を漂うだけだ。
周辺には友軍機も友軍艦もなく、2人とも出せる限りの救難信号を出してはいるが、酸素がある間に救助が来るかどうかはわからない。
(なんだ、脱出しても結局同じじゃないか)
シンは厳粛な事実に苦笑したが、すぐに思いなおした。
(いや…違うな、かなり…)
なぜなら今、彼の傍にはルナマリアがいるのだ。
(俺は、一人ぼっちじゃない)
それが嬉しくて後ろからシートごと彼女を抱き締めると、通信可能なチャンネルを拾おうとあれこれ操作してる彼女に「邪魔よ、シン」と怒られた。そんな風に邪険にされる事もなんだか少し嬉しい。ついさっきまでステラのいるところに行こうかと考えた自分が、今は一生懸命生きる道を探しているルナマリアと一緒でよかったと思っているのはなんとも皮肉だった。
(しょうがない男だな、俺も)
やがて、全宙域に流れている国際救難チャンネルが拾われた。
「…繰り返し申し上げます。僕たちはこの宙域でのこれ以上の戦闘を…」
「ラクス・クライン…」
2人は繰り返される停戦勧告を聞きながら、ありとあらゆる色が入った帰還信号があちこちから打ち上げられるのを見た。
それはまるで夜空に咲く花火のように美しく華やかで、戦いに疲れた兵たちに、帰るべき道を示してくれていた。しかし反面、自分たちには帰るべき場所が見つけられないことを改めて気づかされる。ルナマリアも同じ気持ちだったようで、心配そうに言った。
「ミネルバ…どうしたかしら?」
「撃墜されたってさ。でも、皆無事みたいだ」
その時、彼方からスピードを上げて機影が近づいてきた。
「…敵か!?」
けたたましいアラートがむなしく鳴ったが、もし敵だとしても動かないコアスプレンダーではなすすべがない。シンは咄嗟にルナマリアを庇おうと彼女の前に進み出た。
(せめてルナだけでも…)
しかし次の瞬間、それがよく知る相手だと知ってシンは驚いて立ち上がった。
現れたのは、右腕を失ったインフィニットジャスティスだったのだ。
「よくやったわ、ルナマリア」
「アスラン!!」
ルナマリアは、残されたマニピュレーターでコアスプレンダーを受け止め、コックピットから出てきたアスランを見て飛び出した。アスランは彼女の腕を掴んで抱きとめると、「ありがとう」と言った。
メサイアから脱出した時、要塞周辺にインパルスの信号を捉えて機体を停めたアスランに、先に行くキラが不思議そうに尋ねた。
「どうしたの?」
「先に行ってて」
アスランは慎重に要塞を一巡りすると、ちょうど自分たちが使った港口の反対側に、インパルスが待機していたのだ。そっと近づいていくと、そこには懐かしい姿があった。
「ルナマリア!」
「アスラン?」
「それで、迎えに行ったの」
ルナマリアはシンに笑いかけた。
残されたシンはコックピットに立ったまま仏頂面だ。
これで、レイがシンと共にいるとは知らないはずのルナマリアが「レイは?」と彼の安否を聞いたことにも合点がいく。
崩れいく要塞に入るのはかなり危険だが、どうかシンたちを連れ戻して欲しいとアスランに頼まれたルナマリアは、二つ返事で飛び出した。
「一緒に来るように言ったけど、私ではだめなの…あなたじゃないと…」
うな垂れたアスランの言葉を思い出し、ルナマリアは少し嬉しそうにうふっと笑った。
「シン、あなたも無事でよかった」
「なんなんですか、今さら…」
シンは呆れたように首を振った。
「…もう…俺には構うなって言ったでしょう」
そう言いながら、議長の最期の言葉がチラリと頭をよぎった。
「でも…部下が遭難したら助けに行かないと…」
「助けろなんて言ってないし、第一もうあんたの部下じゃない!」
「それは……そうだけど…」
アスランは困ったように首を傾げたが、ふと思い出したように言った。
「そうだ!こういう時は、『俺を助けろ、この野郎!』って言うんじゃないの?」
2人で大気圏に落ちる時、彼女に同じようなたとえを言ったシンはぐっと言葉に詰まった。
「そんな事、言うわけないでしょう!!」
シンは腕を組んで子供のようにふんっと思い切り顔を背け、それからつけ加えた。
「……隊長に向かって…」
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制作裏話-PHASE50⑦-
平成22年6月9日、内容がいまいち面白くない研修中に、「カガリがSEEDの中で、本当に男らしい男の子の役回りだったら、ちょっと面白いんじゃないか」と思いつき、さらさらっとプロットを立ててみたところ、思ったよりうまくいきそうな気がしました。しかし実は最初は男女逆転ではなく、キラとアスランはそのままで、カガリを少年にし、3人の少年とラクスを中心にした人間ドラマ風SEEDはどうだろうということだったのです。しかしこれ、物語的には結構惹かれますが(男ばかりだからってもちろんホモガンダムじゃないですよ。ホモものは死ぬほど嫌いです)、アスカガ派である私にはちと物足りない。2人のあの末路をなんとか変えたいという思いがある以上、やるなら「男女逆転のキワモノだけど、あくまでも原作準拠」でいきたい。
そして私の「ひとり逆転プロジェクト」が進んでいきました。
逆転SEEDははじめ、随分端折ってシンプルに書いていましたので、1話を仕上げるのに3時間程度で十分でした。さくさく書いてさくさく終わらせようと気楽に書いていました。当初はセリフもなるべく創作せず、原作どおりにしか喋らせないようにしていました。思惑通り本当にさくさく進んだ逆転SEEDは8月末には書き終わりました。
続編となる逆転DESTINYは、何しろもう二度と思い出すのも苦しいいやな思い出ばかりなので書くのに気合を入れねばならず、一ヶ月ほど休んでからのスタートとなりました。
SEEDよりはさすがに手を入れるところが多いけど、まぁそれでも年内には終わるだろう…それは甘い見通しで、終わったのは昨年の2月。全て書き終わるまで半年かかりました。
書き終わった作品なのに終わりません。今度は加筆修正をしながら「制作裏話」を語り始め、こちらにはなんと1年半かかってしまいました。なんという遅筆。というか、仕事が忙しかったりゲームに没頭したり長年「PRE」の意味がわかってなかったりと色々あったわけですが、その制作裏話もようやく最終回終盤に差し掛かりました。
これを書き上げたのは1年半前ですが、今回の加筆修正によってわずか8kbだったテキスト量は17kbに増えました。ヘロヘロになって書いた「ほぼオリジナル」な回なのですが、「ね、年末から非公開にさせてもらってよかった…」と思ってしまうようなひどいデキで赤面ものでした。まことにお恥ずかしい。
まぁ修行もしていない私が恥ずかしがっても今さらなので、そろそろシン・アスカの物語を完結させたいと思います。
先ほども書いたように、この「⑦停戦」はほとんどオリジナルです。何しろTVにしても30分追加されたFPにしても全く尺が足りておらず、ぎりぎり必要な事は入れ込んだものの、本当に描くべきだった事は全く描けていないという体たらくですから、TV版は驚くほど尻切れトンボで終わり、FPにしてもさして必要もないことをつけ加えたくせに(アスランがメサイアに出現、負け犬のシンとルナマリアを救出、コーディネイターカップル3組がオーブに集まってシンがキラと屈辱の握手でフィニッシュなど)、視聴者が知りたかったことなどは全く描いてくれませんでした。完全に足りてないんですよ、尺が!ちなみに約一年後に放映されたSE4でもザフトを敵に回して暴れまわったキラが白服を着て議長であるラクスと抱き合うなんていうバカバカしくてヘドが出るようなクソシーンを新たに作画するという狂いっぷり。「んな事よりもっとやるべきことがあるだろ!」とツッコみまくりでしたよ。
ちなみに私が書いた8分割の最終回の総バイトは145Kb程度です。分割されたPHASEが35Kb×2ですから、すなわち、私の文章量で最終回は2話(それぞれ前後編で4話)あれば描けた事になります。
最終決戦が2話あったら十分じゃないですか?それ以上あると今度はダレますし(タイバニなんかは面白かったのに話数が多過ぎてちょっとダレちゃったパターン)、DESTINYも2話あれば十分だったと思います。つまりあと1話あればもう少しイケたかもしれない。これもすべて総集編を5話もやった報いですよ。バカでしょ。
さて議長が倒れ、メサイアは壊滅状態となった戦場でキラとラクスが合流します。
キラにはオーブ軍総司令としての仕事をしてもらい、なおかつラクスに場を譲るという成長ぶりを披露してもらいました。本編ではあたりまえのようにラクスが停戦申し入れをしていましたが、こういう描写があるだけでも、2人はこの作品のテーマである「力」の使い方を知っているという描写になっていいと思います。
ここではヒルダたち3人、ネオとマードック、ムラサメ隊…DESTINYよりはまだ最終回らしい終わり方だったSEEDでも描かれなかった、「戦闘停止後の彼ら」を描いてみました。尻切れが売り?のゾイドと違い、ガンダムはもともと戦闘後を描く作品でした。ファーストはもちろん、悲惨な最後だったゼータ、F91などはそれを描いていますし、ターンAなどはさらに「戦後」まで描ききりましたからね。やっぱり最後を決めてこそだと思うんですよね、物語は。
ドム部隊は本編ではラクスに肩入れするバックグラウンドが全くわからなかったので、逆転では「クライン元議長に世話になった」と創作しましたが、ここでそれをラクスと語りあうだけでも違うと思います。
一方のムラサメ隊はキラ様大好きですから少しコミカルに。そしてマリューたちと違ってムウが戻ったことをまだ知らないマードックにも、本編にはない「ムウとの再会」を描いてあげました。
そして皆様にお待ちいただいたディアッカとミリアリアです。
お節介キャラとしていいポジションのチャンドラに八つ当たりしつつ、せっかくの再会を言い争いで飾ってしまったミリアリアの心中は、「怒ってるんじゃないか」という不安と、「そんなの関係ない」という強気がせめぎあっています。
一方ディアッカも驚きのあまりつい問い詰めてしまったことを「まずかった」と後悔しきりです。心配し過ぎることが彼女を怒らせて距離を置かれたのに、また同じことをしてしまったわけですから。まぁ戦場で恋人と鉢合わせたらそらビックリしますよね。そもそも親友同士であれ(SEED50話)ですからね。それに今年8月のシリアでの女性記者の死亡を見れば「そりゃディアッカもあんな仕事はやめてほしいと思っちゃうよね」としみじみ思いました。
ノイマンがミリアリアにアピろうとしているのは本編の絵面だけ見て創作した設定ですが、ここで2人がやっぱり思いあってる事を悟り、人知れず身を引くという示唆をしてあります。メイリンもそうですが、潔い行動をする人は男でも女でも格好いいですね。
そのメイリンはといえば、無事生き残ってエターナルに着艦しました。彼を導いたバルトフェルドが迎えると、晴れ晴れとした顔のメイリンに以前の弱々しさはなくなっています。前半ではそれなりに活躍したバルトフェルドは使い勝手のいい面白いキャラなのに後半は完全に空気でしたから、ここは隊長としての経験と格の違いをアスランに見せ付ける事も含め、うまくリサイクル活用できたと思います。
本編では出番がなく、FPではTV版では被弾しなかったディアッカが被弾したので驚いて叫び、SEのラストで白服のキラと抱き合うラクスをシンたちと共に見守るという哀しい役目を負わされたイザークはどうしたでしょうか。
逆転では当然、隊長としての仕事をしています。待機させておいたヴォルテールに帰還命令を出し、迎えなんかいらんと言い放ったのは、寝返ったのがバレたら後々マズいからでしょうかね。
そして友達としての一面も垣間見せています。ディアッカが何をしたか薄々感づいているのは勘のいいイザークならでは。馴染みのアークエンジェルを気にしてうずうずしているくせに、彼が何もできないでいることに苛立っています。
しまいには「とっとと行って来い!」と背中を蹴り倒し、ディアッカに勇気を与えることでイザークの役割は終了です。
名バイプレーヤーカップルのディアッカとミリアリアのサルベージにはイザークを絡めたいと思っていたのですが、出しゃばり過ぎず、かといって希望のないものではなく、彼ららしい結末だったのではないかと思います。
こうして戦場の混乱は徐々に終息に向かい、戦闘は収まりつつありますが、シンは未だ脱出できていません。暗闇の中、爆発と瓦礫を避けながら彷徨い続けています。道を見失い、爆風に吹き飛ばされ、いよいよ酸素も薄くなってきました。
これは、レイを置き去りにした報いではないか…議長の目指す新たな世界ではなく、今のこの世界を選ぶと決めたことへの罰ではないか…絶望的な状況を見て、シンはついついネガティヴ思考に陥っていきます。暗闇の中で置き去りにされたらきっとこんな考えにもなりますよね。シンは座り込み、さすがにもうダメかもと諦めかけます。
そして「ステラのところに行ってやろうか」と彼女を思い出します。
私は故人とのつながりはそもそも、できもしない死人との霊界通信ではなく、こういったキャラクターの回想(回想はバンクにあらず!)でこそ描くべきだと思うんですよね。
さらに言えば、ここでシンがそう思ったことそのものは、もちろん次の展開への演出です。
この時、シンに救いの手が届きました。
なんとルナマリアがコアスプレンダーで強引に要塞の中まで入り込んできたのです。しかも彼女は壁を壊すためにミサイルをぶちかまし、シンを連れて猛スピードで真っ暗な要塞を飛び抜けます。逆転のシンはかなり肝が据わっていますが、これにはさしもの彼も声すら出せずにしがみつくだけでした。
こうしたルナマリアの逞しさは、シンを呆れさせると同時に彼を「生きるべき世界」へ強引に連れ戻します。エネルギーが切れたコアスプレンダーを蹴り出してようやく宙域に出たものの、友軍機もない状態ではいつ酸素がなくなるかわかりません。
けれど今は一人ではない…要塞では「一人でよかった」と彼女がインパルスに守られていることに安心していたシンが、迎えに来てくれた彼女と一緒にいられることを心から嬉しいと感じているのです。
ついさっきまで死んだ女を想っていたのに、今は生きている女が何より愛しいと思っている。生きるという事は難しく、本当に大変ですが、同時に死んでしまっては味わえない喜びもある。カガリがアスランにそう教えたように、シンもまた生き生きとしたルナマリアの姿にそれを感じ取る描写を入れたかったのです。
やがてラクス・クラインの声をBGMに、あちこちから帰還命令の信号弾が打ちあがります。これは本編でも綺麗なシーンでしたが、彼らにはもう帰る場所がありません。ミネルバの事を訊ねたルナマリアに、タリアの最期を知るシンが答えたとき、アラートが響きます。
もしこれが敵だったら攻撃されるかもしれない…シンは咄嗟にルナマリアの前に出ましたが、それはよく見知った機体でした。
しかもルナマリアときたらその相手…アスランに抱きついています。もしルナマリアが本編でこんな事をしやがったら絶対に許せませんけど、逆転は女子同士なのでノープロブレム。
「よくやったわ、ルナマリア」
この言葉は、アスランに憧れていたルナマリアに聞かせてあげたいと温めていたセリフです。
レイに声すらかけなかった本編と違い、シンたちを連れてこられなかったアスランはルナマリアを見つけ、危険を承知で頼みました。彼を連れ戻して欲しい、と。
ルナマリアがレイも要塞にいると知っていたこと、シンが中に残っていると信じて進んできたこと、いつになく力強い行動で見事脱出したのは、全てアスランからシンの救出を託された「責任感」と「自信」によるものでした。本編ではアスランは本当に駄目なリーダーでしかなく、ルナマリアもアーパーでおバカさんのままでしたが、逆転では両者とも思ったようにサルベージでき、両者ともいい女にできたと思います。
シンは一度は死を覚悟した自分が、結局は彼女たちの手の上にいたと知って仏頂面です。
アスランに悪態をつきつつも、ここで議長からの「最期の忠告」がじわじわと効いてきていて、投げやりながらも口調が丁寧になっています。
かつてディオキアで遭難した彼を助けに来たのがアスランであることを生かし(SEではなぜかルナマリア。しかしまたそういうおかしな改変をしても、その後の物語には何の影響もないという…こういうのをムダ作画ムダ演出と言います)アスランはもごもごと「部下が遭難したら助けないと…」と言います。バルトフェルドとメイリンの関係を見たアスランは、何か反省したんでしょうね、きっと。
それでもシンはやっぱり反抗します。一度は心を許しかけたのに裏切られた野良犬は、もはや簡単には尻尾を振りません。
アスランが言った「俺を助けろ、この野郎!」は本編でシンがアスランに言ったセリフです。逆転ではアスランが女性なので「あたしを助けなさいよ、このバカ!とか?」とセリフを女性形に変えましたが、私は本編のこの乱暴なセリフが気に入っていたので、アスランからシンへの返しに使おうと決めていました。
そんな彼女の「例え」に言葉に詰まったシンはふんっと顔を背けます。けれど彼の心にはもう怒りはありません。
隊長にそんな事言わない…これこそが、シンからアスランへの「停戦」の申し入れでした。
私はFPでつけ加えられた、フリーダムと共に要塞から脱出したジャスティスが進路を変え、月面にいるシンとルナマリアに手を差し伸べるシーンが大嫌いです。この偽善的な行為にヘドが出ました。当時私がFPのレビューであまりにも口汚くアスランを罵ったので、当時は「アスランは優しいんですよ」とやんわり抗議する方もおられましたが、私にとってPHASE38以降のアスランは、もはや擁護すらできない最低なうんこキャラでした。
まぁ7年も経った今は「うん、それもありかな」と寛容に構えられますが、当時のシンの扱いの悪さとアスランの数々の許しがたい暴挙は私を心底怒らせ、凄まじいストレスとなっていました。まぁ未だにDESTINYには触れたくないし見たくもないのでそのトラウマはシンの心の傷どころじゃないんですけど。これでもし「過去ばかり見るのはもうやめろ!」とかアスランが言ったら容赦なく引っぱたくよ!誰のせいだと思ってんだてめぇこの野郎!
そんな苦い思い出しかないDESTINYを、逆転を書くことで思い通りに改変する事ができ、アスランとシンをきちんと再会して和解させる事ができた(そこには議長やレイやミーアなどの様々な要因がちゃんと絡んだ上でです)ことで、私の長年の心の底に溜まったヘドロがようやく洗い流された感じです。
アスランは無傷でシンに勝利したわけではなく、回想ではなく葛藤を繰り返した挙句、議長とも話をして、逆転SEEDで問いかけた答えにたどり着きました。それに、ラクスのように人を使う力、キラのように人に安心を与える力、カガリのように人を惹きつける力はないけれど、自分には想いを頑固に貫き通す力があることも自覚できました。
こうして見ると、DESTINYがあんなにもダメな作品になった元凶はアスランの行動が酷すぎたというのが一番だと思います。それに主人公であるシンがうまく絡めず、完全に空回りしてしまった。そして物語がうまくいかないからと安易に人気のあるキラきゅんを押し出し、さらに事態を悪化させたわけです。
恐らくこの制作陣は、シンを「アスランありき」で書こうとしたんだろうなと思います。それがまず間違いなんですよ。とにかく主人公のシンをしっかり書けば、この物語は随分よくなると思いますよ。キャラとしてはとてもいい設定なんだから。
緊張の続いた戦闘が終わり、少し安らぎがもたらされた戦場。シリアスなシーンに混ざってコミカルな会話やキャラクター同士の絡みを混ぜながら、ようやく解放された皆の姿を描写でき、シンとアスランの雪どけを描く事もできたので、本当に満足しました。
次回はいよいよ正真正銘の最終回です。
本当に長かった…けれどとても幸せだった逆転執筆もこれが最後です。そう思うとさすがに寂しいですね。
でもDESTINYのHDリマスターはマジでいらないですから!ホントにホントにやめて!(けど内容はともかく、商業的視点から見たらSEEDより売れたDESTINYをこのまま放置しておくわけがないよなぁ…はぁ…)
そして私の「ひとり逆転プロジェクト」が進んでいきました。
逆転SEEDははじめ、随分端折ってシンプルに書いていましたので、1話を仕上げるのに3時間程度で十分でした。さくさく書いてさくさく終わらせようと気楽に書いていました。当初はセリフもなるべく創作せず、原作どおりにしか喋らせないようにしていました。思惑通り本当にさくさく進んだ逆転SEEDは8月末には書き終わりました。
続編となる逆転DESTINYは、何しろもう二度と思い出すのも苦しいいやな思い出ばかりなので書くのに気合を入れねばならず、一ヶ月ほど休んでからのスタートとなりました。
SEEDよりはさすがに手を入れるところが多いけど、まぁそれでも年内には終わるだろう…それは甘い見通しで、終わったのは昨年の2月。全て書き終わるまで半年かかりました。
書き終わった作品なのに終わりません。今度は加筆修正をしながら「制作裏話」を語り始め、こちらにはなんと1年半かかってしまいました。なんという遅筆。というか、仕事が忙しかったりゲームに没頭したり長年「PRE」の意味がわかってなかったりと色々あったわけですが、その制作裏話もようやく最終回終盤に差し掛かりました。
これを書き上げたのは1年半前ですが、今回の加筆修正によってわずか8kbだったテキスト量は17kbに増えました。ヘロヘロになって書いた「ほぼオリジナル」な回なのですが、「ね、年末から非公開にさせてもらってよかった…」と思ってしまうようなひどいデキで赤面ものでした。まことにお恥ずかしい。
まぁ修行もしていない私が恥ずかしがっても今さらなので、そろそろシン・アスカの物語を完結させたいと思います。
先ほども書いたように、この「⑦停戦」はほとんどオリジナルです。何しろTVにしても30分追加されたFPにしても全く尺が足りておらず、ぎりぎり必要な事は入れ込んだものの、本当に描くべきだった事は全く描けていないという体たらくですから、TV版は驚くほど尻切れトンボで終わり、FPにしてもさして必要もないことをつけ加えたくせに(アスランがメサイアに出現、負け犬のシンとルナマリアを救出、コーディネイターカップル3組がオーブに集まってシンがキラと屈辱の握手でフィニッシュなど)、視聴者が知りたかったことなどは全く描いてくれませんでした。完全に足りてないんですよ、尺が!ちなみに約一年後に放映されたSE4でもザフトを敵に回して暴れまわったキラが白服を着て議長であるラクスと抱き合うなんていうバカバカしくてヘドが出るようなクソシーンを新たに作画するという狂いっぷり。「んな事よりもっとやるべきことがあるだろ!」とツッコみまくりでしたよ。
ちなみに私が書いた8分割の最終回の総バイトは145Kb程度です。分割されたPHASEが35Kb×2ですから、すなわち、私の文章量で最終回は2話(それぞれ前後編で4話)あれば描けた事になります。
最終決戦が2話あったら十分じゃないですか?それ以上あると今度はダレますし(タイバニなんかは面白かったのに話数が多過ぎてちょっとダレちゃったパターン)、DESTINYも2話あれば十分だったと思います。つまりあと1話あればもう少しイケたかもしれない。これもすべて総集編を5話もやった報いですよ。バカでしょ。
さて議長が倒れ、メサイアは壊滅状態となった戦場でキラとラクスが合流します。
キラにはオーブ軍総司令としての仕事をしてもらい、なおかつラクスに場を譲るという成長ぶりを披露してもらいました。本編ではあたりまえのようにラクスが停戦申し入れをしていましたが、こういう描写があるだけでも、2人はこの作品のテーマである「力」の使い方を知っているという描写になっていいと思います。
ここではヒルダたち3人、ネオとマードック、ムラサメ隊…DESTINYよりはまだ最終回らしい終わり方だったSEEDでも描かれなかった、「戦闘停止後の彼ら」を描いてみました。尻切れが売り?のゾイドと違い、ガンダムはもともと戦闘後を描く作品でした。ファーストはもちろん、悲惨な最後だったゼータ、F91などはそれを描いていますし、ターンAなどはさらに「戦後」まで描ききりましたからね。やっぱり最後を決めてこそだと思うんですよね、物語は。
ドム部隊は本編ではラクスに肩入れするバックグラウンドが全くわからなかったので、逆転では「クライン元議長に世話になった」と創作しましたが、ここでそれをラクスと語りあうだけでも違うと思います。
一方のムラサメ隊はキラ様大好きですから少しコミカルに。そしてマリューたちと違ってムウが戻ったことをまだ知らないマードックにも、本編にはない「ムウとの再会」を描いてあげました。
そして皆様にお待ちいただいたディアッカとミリアリアです。
お節介キャラとしていいポジションのチャンドラに八つ当たりしつつ、せっかくの再会を言い争いで飾ってしまったミリアリアの心中は、「怒ってるんじゃないか」という不安と、「そんなの関係ない」という強気がせめぎあっています。
一方ディアッカも驚きのあまりつい問い詰めてしまったことを「まずかった」と後悔しきりです。心配し過ぎることが彼女を怒らせて距離を置かれたのに、また同じことをしてしまったわけですから。まぁ戦場で恋人と鉢合わせたらそらビックリしますよね。そもそも親友同士であれ(SEED50話)ですからね。それに今年8月のシリアでの女性記者の死亡を見れば「そりゃディアッカもあんな仕事はやめてほしいと思っちゃうよね」としみじみ思いました。
ノイマンがミリアリアにアピろうとしているのは本編の絵面だけ見て創作した設定ですが、ここで2人がやっぱり思いあってる事を悟り、人知れず身を引くという示唆をしてあります。メイリンもそうですが、潔い行動をする人は男でも女でも格好いいですね。
そのメイリンはといえば、無事生き残ってエターナルに着艦しました。彼を導いたバルトフェルドが迎えると、晴れ晴れとした顔のメイリンに以前の弱々しさはなくなっています。前半ではそれなりに活躍したバルトフェルドは使い勝手のいい面白いキャラなのに後半は完全に空気でしたから、ここは隊長としての経験と格の違いをアスランに見せ付ける事も含め、うまくリサイクル活用できたと思います。
本編では出番がなく、FPではTV版では被弾しなかったディアッカが被弾したので驚いて叫び、SEのラストで白服のキラと抱き合うラクスをシンたちと共に見守るという哀しい役目を負わされたイザークはどうしたでしょうか。
逆転では当然、隊長としての仕事をしています。待機させておいたヴォルテールに帰還命令を出し、迎えなんかいらんと言い放ったのは、寝返ったのがバレたら後々マズいからでしょうかね。
そして友達としての一面も垣間見せています。ディアッカが何をしたか薄々感づいているのは勘のいいイザークならでは。馴染みのアークエンジェルを気にしてうずうずしているくせに、彼が何もできないでいることに苛立っています。
しまいには「とっとと行って来い!」と背中を蹴り倒し、ディアッカに勇気を与えることでイザークの役割は終了です。
名バイプレーヤーカップルのディアッカとミリアリアのサルベージにはイザークを絡めたいと思っていたのですが、出しゃばり過ぎず、かといって希望のないものではなく、彼ららしい結末だったのではないかと思います。
こうして戦場の混乱は徐々に終息に向かい、戦闘は収まりつつありますが、シンは未だ脱出できていません。暗闇の中、爆発と瓦礫を避けながら彷徨い続けています。道を見失い、爆風に吹き飛ばされ、いよいよ酸素も薄くなってきました。
これは、レイを置き去りにした報いではないか…議長の目指す新たな世界ではなく、今のこの世界を選ぶと決めたことへの罰ではないか…絶望的な状況を見て、シンはついついネガティヴ思考に陥っていきます。暗闇の中で置き去りにされたらきっとこんな考えにもなりますよね。シンは座り込み、さすがにもうダメかもと諦めかけます。
そして「ステラのところに行ってやろうか」と彼女を思い出します。
私は故人とのつながりはそもそも、できもしない死人との霊界通信ではなく、こういったキャラクターの回想(回想はバンクにあらず!)でこそ描くべきだと思うんですよね。
さらに言えば、ここでシンがそう思ったことそのものは、もちろん次の展開への演出です。
この時、シンに救いの手が届きました。
なんとルナマリアがコアスプレンダーで強引に要塞の中まで入り込んできたのです。しかも彼女は壁を壊すためにミサイルをぶちかまし、シンを連れて猛スピードで真っ暗な要塞を飛び抜けます。逆転のシンはかなり肝が据わっていますが、これにはさしもの彼も声すら出せずにしがみつくだけでした。
こうしたルナマリアの逞しさは、シンを呆れさせると同時に彼を「生きるべき世界」へ強引に連れ戻します。エネルギーが切れたコアスプレンダーを蹴り出してようやく宙域に出たものの、友軍機もない状態ではいつ酸素がなくなるかわかりません。
けれど今は一人ではない…要塞では「一人でよかった」と彼女がインパルスに守られていることに安心していたシンが、迎えに来てくれた彼女と一緒にいられることを心から嬉しいと感じているのです。
ついさっきまで死んだ女を想っていたのに、今は生きている女が何より愛しいと思っている。生きるという事は難しく、本当に大変ですが、同時に死んでしまっては味わえない喜びもある。カガリがアスランにそう教えたように、シンもまた生き生きとしたルナマリアの姿にそれを感じ取る描写を入れたかったのです。
やがてラクス・クラインの声をBGMに、あちこちから帰還命令の信号弾が打ちあがります。これは本編でも綺麗なシーンでしたが、彼らにはもう帰る場所がありません。ミネルバの事を訊ねたルナマリアに、タリアの最期を知るシンが答えたとき、アラートが響きます。
もしこれが敵だったら攻撃されるかもしれない…シンは咄嗟にルナマリアの前に出ましたが、それはよく見知った機体でした。
しかもルナマリアときたらその相手…アスランに抱きついています。もしルナマリアが本編でこんな事をしやがったら絶対に許せませんけど、逆転は女子同士なのでノープロブレム。
「よくやったわ、ルナマリア」
この言葉は、アスランに憧れていたルナマリアに聞かせてあげたいと温めていたセリフです。
レイに声すらかけなかった本編と違い、シンたちを連れてこられなかったアスランはルナマリアを見つけ、危険を承知で頼みました。彼を連れ戻して欲しい、と。
ルナマリアがレイも要塞にいると知っていたこと、シンが中に残っていると信じて進んできたこと、いつになく力強い行動で見事脱出したのは、全てアスランからシンの救出を託された「責任感」と「自信」によるものでした。本編ではアスランは本当に駄目なリーダーでしかなく、ルナマリアもアーパーでおバカさんのままでしたが、逆転では両者とも思ったようにサルベージでき、両者ともいい女にできたと思います。
シンは一度は死を覚悟した自分が、結局は彼女たちの手の上にいたと知って仏頂面です。
アスランに悪態をつきつつも、ここで議長からの「最期の忠告」がじわじわと効いてきていて、投げやりながらも口調が丁寧になっています。
かつてディオキアで遭難した彼を助けに来たのがアスランであることを生かし(SEではなぜかルナマリア。しかしまたそういうおかしな改変をしても、その後の物語には何の影響もないという…こういうのをムダ作画ムダ演出と言います)アスランはもごもごと「部下が遭難したら助けないと…」と言います。バルトフェルドとメイリンの関係を見たアスランは、何か反省したんでしょうね、きっと。
それでもシンはやっぱり反抗します。一度は心を許しかけたのに裏切られた野良犬は、もはや簡単には尻尾を振りません。
アスランが言った「俺を助けろ、この野郎!」は本編でシンがアスランに言ったセリフです。逆転ではアスランが女性なので「あたしを助けなさいよ、このバカ!とか?」とセリフを女性形に変えましたが、私は本編のこの乱暴なセリフが気に入っていたので、アスランからシンへの返しに使おうと決めていました。
そんな彼女の「例え」に言葉に詰まったシンはふんっと顔を背けます。けれど彼の心にはもう怒りはありません。
隊長にそんな事言わない…これこそが、シンからアスランへの「停戦」の申し入れでした。
私はFPでつけ加えられた、フリーダムと共に要塞から脱出したジャスティスが進路を変え、月面にいるシンとルナマリアに手を差し伸べるシーンが大嫌いです。この偽善的な行為にヘドが出ました。当時私がFPのレビューであまりにも口汚くアスランを罵ったので、当時は「アスランは優しいんですよ」とやんわり抗議する方もおられましたが、私にとってPHASE38以降のアスランは、もはや擁護すらできない最低なうんこキャラでした。
まぁ7年も経った今は「うん、それもありかな」と寛容に構えられますが、当時のシンの扱いの悪さとアスランの数々の許しがたい暴挙は私を心底怒らせ、凄まじいストレスとなっていました。まぁ未だにDESTINYには触れたくないし見たくもないのでそのトラウマはシンの心の傷どころじゃないんですけど。これでもし「過去ばかり見るのはもうやめろ!」とかアスランが言ったら容赦なく引っぱたくよ!誰のせいだと思ってんだてめぇこの野郎!
そんな苦い思い出しかないDESTINYを、逆転を書くことで思い通りに改変する事ができ、アスランとシンをきちんと再会して和解させる事ができた(そこには議長やレイやミーアなどの様々な要因がちゃんと絡んだ上でです)ことで、私の長年の心の底に溜まったヘドロがようやく洗い流された感じです。
アスランは無傷でシンに勝利したわけではなく、回想ではなく葛藤を繰り返した挙句、議長とも話をして、逆転SEEDで問いかけた答えにたどり着きました。それに、ラクスのように人を使う力、キラのように人に安心を与える力、カガリのように人を惹きつける力はないけれど、自分には想いを頑固に貫き通す力があることも自覚できました。
こうして見ると、DESTINYがあんなにもダメな作品になった元凶はアスランの行動が酷すぎたというのが一番だと思います。それに主人公であるシンがうまく絡めず、完全に空回りしてしまった。そして物語がうまくいかないからと安易に人気のあるキラきゅんを押し出し、さらに事態を悪化させたわけです。
恐らくこの制作陣は、シンを「アスランありき」で書こうとしたんだろうなと思います。それがまず間違いなんですよ。とにかく主人公のシンをしっかり書けば、この物語は随分よくなると思いますよ。キャラとしてはとてもいい設定なんだから。
緊張の続いた戦闘が終わり、少し安らぎがもたらされた戦場。シリアスなシーンに混ざってコミカルな会話やキャラクター同士の絡みを混ぜながら、ようやく解放された皆の姿を描写でき、シンとアスランの雪どけを描く事もできたので、本当に満足しました。
次回はいよいよ正真正銘の最終回です。
本当に長かった…けれどとても幸せだった逆転執筆もこれが最後です。そう思うとさすがに寂しいですね。
でもDESTINYのHDリマスターはマジでいらないですから!ホントにホントにやめて!(けど内容はともかく、商業的視点から見たらSEEDより売れたDESTINYをこのまま放置しておくわけがないよなぁ…はぁ…)
Natural or Cordinater?
サブタイトル
お知らせ PHASE0 はじめに PHASE1-1 怒れる瞳① PHASE1-2 怒れる瞳② PHASE1-3 怒れる瞳③ PHASE2 戦いを呼ぶもの PHASE3 予兆の砲火 PHASE4 星屑の戦場 PHASE5 癒えぬ傷痕 PHASE6 世界の終わる時 PHASE7 混迷の大地 PHASE8 ジャンクション PHASE9 驕れる牙 PHASE10 父の呪縛 PHASE11 選びし道 PHASE12 血に染まる海 PHASE13 よみがえる翼 PHASE14 明日への出航 PHASE15 戦場への帰還 PHASE16 インド洋の死闘 PHASE17 戦士の条件 PHASE18 ローエングリンを討て! PHASE19 見えない真実 PHASE20 PAST PHASE21 さまよう眸 PHASE22 蒼天の剣 PHASE23 戦火の蔭 PHASE24 すれちがう視線 PHASE25 罪の在処 PHASE26 約束 PHASE27 届かぬ想い PHASE28 残る命散る命 PHASE29 FATES PHASE30 刹那の夢 PHASE31 明けない夜 PHASE32 ステラ PHASE33 示される世界 PHASE34 悪夢 PHASE35 混沌の先に PHASE36-1 アスラン脱走① PHASE36-2 アスラン脱走② PHASE37-1 雷鳴の闇① PHASE37-2 雷鳴の闇② PHASE38 新しき旗 PHASE39-1 天空のキラ① PHASE39-2 天空のキラ② PHASE40 リフレイン (原題:黄金の意志) PHASE41-1 黄金の意志① (原題:リフレイン) PHASE41-2 黄金の意志② (原題:リフレイン) PHASE42-1 自由と正義と① PHASE42-2 自由と正義と② PHASE43-1 反撃の声① PHASE43-2 反撃の声② PHASE44-1 二人のラクス① PHASE44-2 二人のラクス② PHASE45-1 変革の序曲① PHASE45-2 変革の序曲② PHASE46-1 真実の歌① PHASE46-2 真実の歌② PHASE47 ミーア PHASE48-1 新世界へ① PHASE48-2 新世界へ② PHASE49-1 レイ① PHASE49-2 レイ② PHASE50-1 最後の力① PHASE50-2 最後の力② PHASE50-3 最後の力③ PHASE50-4 最後の力④ PHASE50-5 最後の力⑤ PHASE50-6 最後の力⑥ PHASE50-7 最後の力⑦ PHASE50-8 最後の力⑧ FINAL PLUS(後日談)
制作裏話
逆転DESTINYの制作裏話を公開
制作裏話-はじめに- 制作裏話-PHASE1①- 制作裏話-PHASE1②- 制作裏話-PHASE1③- 制作裏話-PHASE2- 制作裏話-PHASE3- 制作裏話-PHASE4- 制作裏話-PHASE5- 制作裏話-PHASE6- 制作裏話-PHASE7- 制作裏話-PHASE8- 制作裏話-PHASE9- 制作裏話-PHASE10- 制作裏話-PHASE11- 制作裏話-PHASE12- 制作裏話-PHASE13- 制作裏話-PHASE14- 制作裏話-PHASE15- 制作裏話-PHASE16- 制作裏話-PHASE17- 制作裏話-PHASE18- 制作裏話-PHASE19- 制作裏話-PHASE20- 制作裏話-PHASE21- 制作裏話-PHASE22- 制作裏話-PHASE23- 制作裏話-PHASE24- 制作裏話-PHASE25- 制作裏話-PHASE26- 制作裏話-PHASE27- 制作裏話-PHASE28- 制作裏話-PHASE29- 制作裏話-PHASE30- 制作裏話-PHASE31- 制作裏話-PHASE32- 制作裏話-PHASE33- 制作裏話-PHASE34- 制作裏話-PHASE35- 制作裏話-PHASE36①- 制作裏話-PHASE36②- 制作裏話-PHASE37①- 制作裏話-PHASE37②- 制作裏話-PHASE38- 制作裏話-PHASE39①- 制作裏話-PHASE39②- 制作裏話-PHASE40- 制作裏話-PHASE41①- 制作裏話-PHASE41②- 制作裏話-PHASE42①- 制作裏話-PHASE42②- 制作裏話-PHASE43①- 制作裏話-PHASE43②- 制作裏話-PHASE44①- 制作裏話-PHASE44②- 制作裏話-PHASE45①- 制作裏話-PHASE45②- 制作裏話-PHASE46①- 制作裏話-PHASE46②- 制作裏話-PHASE47- 制作裏話-PHASE48①- 制作裏話-PHASE48②- 制作裏話-PHASE49①- 制作裏話-PHASE49②- 制作裏話-PHASE50①- 制作裏話-PHASE50②- 制作裏話-PHASE50③- 制作裏話-PHASE50④- 制作裏話-PHASE50⑤- 制作裏話-PHASE50⑥- 制作裏話-PHASE50⑦- 制作裏話-PHASE50⑧-
2011/5/22~2012/9/12
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