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機動戦士ガンダムSEED DESTINY 男女逆転物語
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ヤヌアリウスとディセンベルを襲った悲劇がプラント全域に知れるのは時間の問題だった。
人々は当然ながら恐れおののいた。ユニウスセブンの悲劇が思い出され、自分たちが生を営むこの頼りない砂時計がいかにもろいかを再認識し、逃げ場のないことに絶望が走った。
「落ち着いてください!慌てずに!」
「馬鹿を言うな!まだ奴らの攻撃が終わったわけじゃないんだろ?」
市内の各所では治安のためにザフト兵が配備されたが、恐慌に陥った人々の流れは止まらない。けれど一体どこへ逃げようというのか…崖に向かうレミングのように、人々はただ言われるままに歩くばかりだ。
「いきなり撃ってくるなんて…」
「どこへ行けばいいんです?」
宇宙港は逃げ出す人々とシャトルでごった返し、行き先のない人々は気休めのシェルターにこもり、かつてユニウスセブンが落下した時、地球の辺境に住む多くの人々がそうだったように、プラントでももう逃げないと諦める人も多かった。

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「市内はどこもパニック状態です!」
アプリリウスで市内の治安維持を取り仕切っているノイから悲鳴のような声でメサイアのデュランダル議長に通信が入った。
「とても収拾のつくものではありません!」
「わかっている。だがそれを治めるのが仕事だろう?泣き言を言うな!」
デュランダルは評議会議員から連絡が入るたびに叱咤激励した。
一方ではゴンドワナを呼び出し、偏向ステーションの破壊状況を確認した。
「配備を急がせるんだ。なんとしても二射目を防げ!」
今までの温和な雰囲気とは打って変わった議長の指揮官然とした態度に、ジェセックはじめ国防委員会幹部は背筋を伸ばし、黒服たちが敬礼した。

「ザフト艦隊、動き出しました!イエロー136、アルファ」
ダイダロス基地でもまた、レクイエムの再チャージが急がれている。
司令官はチャージサイクルを限界まで上げるよう命じ、さらに偏向ステーションの状態を報告させた。
忙しく走り回る兵を見ながら、ジブリールは忌々しそうに呟いた。
「守り切れよ。今度こそアプリリウスを葬るんだからな…」

「議長、とにかく今は被害にあったプラントの救助を!」
「それもわかってはいるが、そうしている間に二射目を撃たれたらどうする」
攻勢に転じようとするザフト軍には、被害にあったプラントの救助にまわせる余力がない。 オーブやスカンジナビアなど中立国が共同して救助を申し出てきているが、議長は彼らを突っぱねていた。
救援要請を出したものの、未だ返事のない連合の救助を待つしかない。
「何か和解、停戦の手段などは…?」
「停戦?」
ノイの言葉にデュランダルは苛立ったように声を荒げた。
「相手は国家ではないんだぞ!テロリストとどんな交渉ができると言うんだね。力に屈服しろと言うのか!」
議長の剣幕に、皆慌てて次の任務に取り掛かった。
(もう生贄は十分だ)
デュランダルはコツコツと執務室の机を叩きながらいよいよ仕上げだと思う。
(早く来い、ミネルバ。早く来い、シン・アスカ…)
鎮魂歌の次は、生誕の歌だ。新たな世界が生まれる記念すべき瞬間だ。
「急げ。運命の子供たち」

「第八機動艦隊発進中。総員第2戦闘配備」
ザフト艦隊の動きに合わせ、アルザッヘル基地に配備されている艦隊も動き始めた。モビルスーツやモビルアーマーが防御フォーメーションケベック、ズール、ノベンバーの形にそれぞれ配置されていく。
続けて第五艦隊も配備されたが、こうした判断を下したのはアルザッヘルに駐留しており、レクイエム発射直後、ダイダロスに視察に来ていた大西洋連邦大統領ジョセフ・コープランドである。
既に世界の勢力はプラントとアジア・ユーラシアを中心とする新たに組み直された連合が握りつつあったが、それでもまだ、新興勢力に対して経済力と軍事力に勝る連邦の力は侮れない。
ヘブンズベースの敗北による世論の風当たりの強さに辟易しつつも、コープランドには自分を大統領の座につけたジブリールの命令に抗う事などできない。
相次ぐ敗北や陣営を変えていく同盟国、涼やかに、紳士的に平和を唱えるデュランダル議長への同調から、好戦的な故国ももはや厭戦気分で一杯である。
かつて議長は、戦いをやめる方が大変だとアスランやシンに語ったが、まさに今の彼がその状態だった。大統領コープランドにはもはや、ロゴスに言われるままに戦い続ける道しか残されていないのだった。
「よし、こちらの第三艦隊も上げろ」
第八、第五艦隊の防衛陣形が整っていくのを確認し、ダイダロス基地の司令官が命じた。
「フォーレの防衛を確実にするんだ」
フォーレはレクイエムの第一中継地点である。
これがなければ、もともとプラントとは全く違う方向を向いているダイダロス基地から撃たれたレクイエムは、ただ無駄に虚空にエネルギーを放つだけになるのだ。従ってザフトがここを狙うことは明白で、当然攻防の要となる。
一方、グノーの破壊に成功したイザークはヴォルテールに兵を戻した。
司令部から戦力を増援する旨の通信が入ったため、補給と整備もかねての一時撤退だった。
「ゴンドワナと合流する。急げ!」
ブリッジに戻ったイザークが進路を宇宙空母に向けるよう指示する。
「もう絶対にプラントは撃たせん!」

「アカツキ、収容作業開始します。整備8班は2番デッキで待機してください」
宇宙では慌しく戦闘準備が整えられていた頃、オーブでは月に向けてアークエンジェルの整備が進められていた。
ハンガーではモビルスーツや物資搬入のため、マードック率いる整備班が忙しく走り回っている。
ラクスの要請を受けて、カガリはソガやキサカと相談し、アークエンジェルを正式にオーブ軍に編入すると共に、特命を受けた独立部隊としてまずは月に派遣する事に決めた。
「アークエンジェル艦長はマリュー・ラミアス一佐。同時にキラ・ヤマトを准将に任命する」
キラはこのカガリの通達に仰天し、大慌てで待ったをかけたのだが、アマギたちタケミカヅチ出身のオーブ軍人たちはこの決定に大喜びだ。
「で、でも、私は…!」
戸惑うキラを、ラクスが「責任を負う立場に慣れるためにも、適任だと思うよ」と励ました。
「きみはこの先、カガリくんを支えていかなければならないんだから」
アスランが忙しい整備班に遠慮してジャスティスの整備を自分がやると引き受けたので、メイリンもまた「手伝います」と名乗りをあげた。
そして2人がちょうど作業を始めたところに、キラがやってきた。
「アスラン、手伝うよ。こっち終わったから」
アスランは遠慮したが、どいてどいてとキラがモニターの前に立つ。
「また無理すると、疲れるよ?」
そう言われてアスランは「ありがとう」とキラに席を譲った。
「どこから?電場シークェンサーの設定は?」
「プロッシャー2が進行中よ」
わかった、と言ってキラが作業を始めると、そのタイピングと処理の早さにメイリンは驚いた。見る見るうちに作業がこなされていき、慌てて自分もキーに向かう。彼自身も処理能力は高く、そんじょそこらの相手には負けない自信があるのだが、今まで見た中でもキラの作業速度は桁違いに早かった。
(すごく早い…なんだ、この人…?)
「バッファーは交換しとけよ」
「おーい、プログラムを始めてくれ!作業が進まん」
しばらく無言で作業が続き、聞こえるのはキーの音とマードックたちの声ばかりになった。
アスランはそんな活気に満ちたハンガーの様子を眺めながら、プラントに思いを馳せた。倒壊したのはヤヌアリウスと、自分の故郷のディセンベル…こんな事態をもし、ディセンベル市の代表だった父が眼にしたら、さぞや怒り狂って、すぐにでも戦いをと国民を煽ったことだろう。
「どうなってるのかな…プラントの方は」
アスランがポツリと言った。
「うん」
キラが顔を上げずに作業を続けながら答えた。
「ザフトだって、もう絶対、これ以上のプラントへの攻撃は防ぐと思うけど」
「そうね…」
防衛にはイザークやディアッカも出ているのだろうか…
(彼らは私が脱走した事…いえ、討たれたと知っているのかしら)
それに、ミネルバは今どうしているのだろう?
「もどかしいね。今は何もできないってわかっててもさ」
キラはあっという間に最終フェイズまで作業をこなすと言った。
そしてメイリンに「そっちは終わった?」とにっこり笑って聞く。メイリンは慌てて「…い、今…今終わりますから!」と手を動かしている。
不思議な事に、もともと晩生で姉以外の女性と話すのが大の苦手だったメイリンが、キラにはなぜか全くと言っていいほど緊張しなかった。キラが少年のような容貌で、それらしい服装や振る舞いを好むからか、それとも気さくで優しい言葉遣いのせいなのかわからないが、とにかくメイリンにとってキラはルナマリア同様、肩肘を張る必要のない女性だった。
「手伝おうか?」
「だめですよっ!これは僕の仕事ですから!!」
自分の仕事を死守しようとするメイリンを「変なの」と笑うキラを見て微笑みながら、アスランは(本当にもどかしい)と心の中で返事をした。
(シン、レイ、ルナマリア…あなたたちは、今どうしているの?)

「司令部との連絡、まだか?」
何かを待っているらしいアーサーがアビーのモニターを覗き込んだ。
「待ってください。今、入りました。でもこれは…特命コードです」
それを聞いてタリアが怪訝そうな顔をする。
(特命コード?一体なぜ…?)
やがてアビーが解読したものをアーサーが読み上げた。
「既にゴンドワナを中心とする月機動艦隊はフォーレ、第一中継点にて交戦中。ミネルバは合流予定を変更し、ただちに敵砲本体を排除に向かわれたし…って、えぇ!?」
それはミネルバに、合流地点にさえ向かわずに、そのままダイダロス基地を攻撃してレクイエムを叩けと告げていた。
「砲の本体を、俺たちだけでですか?」
艦長室に呼ばれたシン、レイ、ルナマリアはこの作戦に戸惑いを見せた。
ゴンドワナが出て、ジュール隊やジャニス隊のようなベテランの部隊も多く出撃している中で、わずか3機の自分たちが砲本体への攻撃とは…
「だけ…かどうかはわからないけど。とにかく、それが本艦への命令よ」
タリアがチラリとアーサーと視線を交わしながら答える。
それに対し、レイが言った。
「確かに、ここからではダイダロス基地の方が近い。そういう判断でしょう」
「ええ。あれのパワーチャージサイクルがわからない以上、問題は時間ということになるわ」
タリアがモニターの中の宙域図を示しながら言った。
「駆けつけたところで、間に合わなければ何の意味もないものね」
やがて、しばらく黙っていたシンが厳しい眼でモニターを見ながら呟いた。
「敵が月艦隊に意識を向けているのなら、うまくいけば陽動と奇襲になるな」
「むしろ俺たちのように、それぞれがかなりの火力を持つ少数精鋭部隊で行く方がいい」
シンがレイの言葉を受けてモニターを指でコツッと叩いた。
「おまえの援護で俺が正面から突っ込むか、それとも…」
「二手に分かれるかだ。ダイダロスは辺境ゆえ、穴の多い基地だからな」
早くもモニターを前にして作戦を練り始めたFAITH2人を見ながら、ルナマリアは思わず息を呑み、「奇襲…」と小さく呟いた。
(私にも何か役割があるなら、必ずこなしてみせる。今度こそ必ず、2人の足手まといにならないように戦うわ)
「そういうことよ、ルナマリア」
タリアもまた、そう思っているだろう彼女の決心に気づいていた。
司令部の特命とはいえ、またしても何の援護もなく彼らを危険な任務につかせなければならないと思うと、タリアとてためらいがある。
けれど反面、ずっと共に戦ってきたこの3人なら成し遂げられるという確信もあった。タリアはすっかり大人びた表情を見せているシンたちを信じることにした。
「厳しい作戦になることは確かよ。でもやらなければならないわ。いい?」
「はい。わかりました」
レイが答えると、シンも続いた。
「はい。俺も」
ルナマリアは小さく息を吐いて緊張をほぐし、同じくタリアに言った。
「必ずやり遂げます」
「またあれを撃たれるなど、もう絶対あってはならないことですから」
レイが言うと、タリアは微笑みながら「頼むわね」と3人を励ました。
アーサーもまた「期待してるぞ」とシンとレイの肩を軽く叩く。
3人は2人に敬礼し、その決意を新たにした。

「レクイエム、稼働率48%」
「セカンドムーブメント、間もなく配置完了します」
ダイダロス基地ではさらにレクイエムの再チャージが進行中で、発射準備が整えられていた。フォーレには既にゴンドワナから出た多くの部隊が攻撃を仕掛けていたが、今回は物量に勝る連合側も本気で応戦しており、いかにイザークたちが果敢にアタックしても、守り手の少なかったグノーのようにはいかない。
「ええい!まだ取りつけないのか!」
艦隊の弾幕が厚く、偏向ステーションに辿り着けない友軍のために、イザークはリフレクターを展開させながら戦艦を守るユークリッドの懐に飛び込み、隙をついては機体をソードで一閃していった。
一方ディアッカはフォーレへの突破口を見つけようとハーネンフースら赤服と隊長を前に出す事にした。
「とにかく盾になっている奴らを潰せ!他は隊長たちの援護を!」
「行くぞ!」
ガナーが下がり、ブレイズやスラッシュ装備のザクが前に出て布陣が整うと、イザークが先陣を切った。スピードで勝るグフは、向かってくるウィンダムにカウンター状態でウィップを叩きつけ、ビームガンを放つ。
同じくウィップでデバイスを弾き飛ばされたザムザザーはリフレクターを展開する事ができなくなった。それを見て今度はディアッカが急接近し、シールドからビームアックスを取り出すと真っ直ぐに機体に斬りつける。傷を負ったザムザザーに、すかさず今度はイザークが襲い掛かり、ビームソードで上から斬り下して爆発させた。

「第二射までに月艦隊が第一中継点を落とせれば、辛うじてプラントは撃たれない」
艦長室を辞したシンたち3人は、パイロットスーツに着替えて集まり、念入りなブリーフィングを続けていた。レイはモニターを回して偏向ステーションがある座標を2人に把握させた。
「だが、奴らのチャージの方が早ければ艦隊もろとも薙ぎ払われるぞ。トリガーを握っているのがそういう奴だということは知っているだろ」
そう言いながらレイは別の画面を開き、デブリの中を救助のために進んでいく艦艇や、危険な宙域で決死の作業を続けているEVA要員たちを映し出した。
3人はそれをじっと見つめ、やがてシンが口を開いた。
「ああ…わかってるさ。全ての元凶はあいつだ」

―― ロゴスのロード・ジブリール…

「コーディネイターを憎み、戦争を引き起こしては利益を得る…そのためなら同胞だろうが踏み躙り、平気で仲間を裏切るヤツだ」
それを聞いて、ルナマリアが俯いた。
「私がオーブで討ててれば…」
「おまえのせいだけじゃない」
シンはルナマリアの肩を抱くと、励ますように言った。
「俺も討てなかった。ヤツを匿ったのはオーブだったのに…」
「シン…」
ルナマリアは自分の肩に置かれた彼の手に触れた。
「だからそんな風に言うな。俺たちは今度こそヤツを討つ。必ず!」 
2人の言葉を聞いてレイは言った。
「そう思うなら同じ轍は踏むなということだ。そうだろう?」
「ああ…そうだな」
「わかってるわ」
シンが2人の顔を交互に見ながら言った。
「プラントも月艦隊も、俺たちが絶対討たせやしない」
レイはそれを聞いて表情を緩め、再び指で画面を動かし始めた。
「では作戦を話そう」

戦闘は激化していたが、さすがに3つもの艦隊が相手ではザフトも攻めあぐねている。その間にレクイエムのチャージは進められた。
「レクイエム、稼働率50%」
「よーし、いいぞ。フォーレさえ守りきれば我々の勝ちだ。これでようやく終わる。長きに渡る奴らとの戦いも。そして、新たな幕開けだ」
ジブリールはニヤリと笑った。
「コーディネイターなどという汚物のいない、青き清浄なる世界でね」
「さようですな」
司令官は背中で手を組みながらジブリールを覗き込んだ。
弱気だった大統領がアルザッヘルからも艦隊を出してくれたのだ。
見捨てられ、見向きもされなかった辺鄙なこの月基地が、いまや世界の行く末を握っている。打ち捨てられたと思っていた司令官は自分の手に今まさに世界を左右するトリガーがあると思うと心が躍った。
(死に体だった連邦もこれに勝てば確実に息を吹き返すだろう)
基地の首脳の中には、ジブリールを受け入れる事に反対を唱えた者もいたが、自分の選択は間違っていなかった…司令官は1人ほくそ笑んでいた。
「今まで誰にも出来なかったことを私は成し遂げる。歴史はようやく正されるのだ…あと数時間で」
ジブリールは司令官の思惑などどこ吹く風でニヤリと笑った。

シンたちが作戦を練っている間に、航行を続けていたミネルバも戦闘宙域に到達しつつあった。すでに光学映像でもフォーレの姿が捉えられている。
「間もなく敵制空権内に入ります」
バートの報告に、タリアはコンディションレッドを発令した。
「ブリッジ遮蔽。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機してください」
パイロットルームに詰めていた3人はアビーの声を聞いて顔をあげた。
「いいな、ルナマリア。タイミングを誤るなよ」
「ええ」
ルナマリアはレイの言葉に力強く頷いた。
しかしシンは珍しく表情を曇らせ、不安そうな眼を彼女に向けた。
「俺たちも可能な限り援護をする。だが基本的にはあてにするな」
レイはやや身を乗り出してルナマリアに忠告する。
「すれば余計な隙ができ、いらぬ危険を背負い込む事になる」
「わかってるわ。ご心配なく」
レイの青い眼と、ルナマリアの彼より少し濃い色の青い眼がぶつかった。
「では行こう。今度こそ失敗は許されないぞ」
彼女の決意に満ちた目を見て頷いたレイは、空中に漂っていた自分のヘルメットを掴むと先にエレベーターに向かった。
「…レイ!」
そんな彼をルナマリアは追いかけ、扉の前で引き止めた。
「なんだ?」
「前に言ったわね…私がシンの邪魔になるって」
レイは怪訝そうに彼女を見てから、その問いに答えた。
「ああ…言った」
「私、邪魔になんかならない。ちゃんとやるわ…絶対に」
彼らはしばらく見詰め合っていたが、レイが「そうか」と呟いた。
「気をつけろよ」
「そっちこそ」
2人はパチンと手を合わせ、レイは扉の向こうに消えた。
やがてルナマリアは、不思議そうに2人を見ていたシンの傍に戻って来た。
「何話してたの?」
「仲直りしたの」
「なんだよ、それ」
シンは笑っているルナマリアを優しく抱きとめると、不服そうに口を尖らせた。
彼の腕の中で眼を閉じながら、ルナマリアは呟いた。
「気をつけてね、シン」
「ルナこそ…」
しかしこの作戦はルナマリアには荷が重いのではないかと思う。シンは不安を抱きながら、彼女の細い体を強く抱き締めた。
「1人で砲のコントロールを落とすなんて…やっぱり、俺かレイが…」
ルナマリアがそれを聞いて、シンの口を人差し指でそっと押さえた。
「同じ事よ…陽動で基地を討つのも同じくらい危険だわ」
そりゃ、私の腕は二人よりは落ちるけど…ルナマリアはいたずらっぽく笑った。
「危険なのはみんな一緒。大丈夫よ、私は。信じてよ」
ルナマリアの表情があまりにも綺麗だったので、シンはドキリとする。そして自分の口にあてられた彼女の手を握り締めて言った。
「…ルナも艦もプラントも、みんな俺が守る。絶対にだ」
「ううん…違うよ、シン」
それを聞いたルナマリアは優しく否定した。
「守られるばかりじゃいや。私はシンと一緒に戦いたいの」

―― だから、信じて…

シンは少し驚いたが、そう言った彼女をもう一度抱き締めた。
(そうだ…ルナは俺と一緒に戦ってくれる…いつだって、俺と一緒に…)
「わかった。信じる。だから…」
シンはその先の言葉を飲み込んだ。そして心の中で祈るように呟いた。
(…どうか、無事に帰ってきてくれ)

「ルナマリア・ホーク、コアスプレンダー、行くわよ!」
既に待機しているレイに遅れてハンガーにやって来たシンは、先にコアスプレンダーで発進していくルナマリアを見送った。
シルエットは砲を潰す火力重視のため、ブラストが選ばれた。
そしてここから先は彼女の動きを把握する事は難しくなる。
「俺たちが陽動に成功すれば、ルナマリアはより安全になる」
「ああ、わかってる」
(プラントを、人々を…何よりもルナを守るため、全てを破壊してやる!)
シンはレジェンドのレイと合図を交わすと、コックピットハッチを閉じた。
「10時方向より接近する艦影あり!」
ダイダロス基地では異変を感じたオペレーターが司令官を振り返った。
「距離50!ザフト軍、ミネルバです!」
「ミネルバだと!?」
それを聞いてジブリールが顔を歪め、憎たらしそうにその名を叫んだ。
「馬鹿者!何故今まで気付かなかったのだ!」
司令官が怒鳴り、直ちに警戒態勢が取られた。
「警報!スクランブルだ!直ちに迎撃を開始せよ!」
戦歴華々しいミネルバの出現に、ダイダロス基地が俄かに慌しくなった。
「スクランブル発令。全機発進!繰り返す、全機発進せよ!」
「CIWS、トリスタン、イゾルデ起動。ランチャー1から10、全門ナイトハルト装填」
月面に到着したミネルバでも、アーサーが早くも砲術の準備を始めている。
「デスティニー、レジェンド、発進!」
タリアが命じ、いよいよシンとレイが発進した。
同時に砲撃が開始され、ミネルバからは凄まじい数のミサイルとビームが発射される。相変わらずたった一艦での奇襲だが、それでもミネルバならば何とか…と思わせるほどの火力だ。
「ランチャー3、8、撃ぇ!」
大気圏内と違い、摩擦を知らない真空をナイトハルトが貫いていく。
シンはレイに自分が行く方向を指し示し、二手に分かれた。
デスティニーは機動性を生かし、基地から全機出撃した戦艦やウィンダムの壁に迷いなく切り込んでいく。輝く光の羽が闇に煌いた。

「議長。ミネルバがダイダロスに!!」
メサイアではモニターにその姿が映し出されていた。
議長たちの目の前で、ライフルでウィンダムを片付けたデスティニーが、眼にも止まらぬ速さでアロンダイトを抜き、リフレクターを装備した戦艦へと突撃していく。
雨あられと向かってくるビームもミサイルも恐れる事なく飛び込む、大胆なシンの戦法を見て、要塞の将校たちは皆「おおっ」と声をあげた。
名を挙げた勇猛な戦士も数多いが、今は間違いなく、この若い戦士こそがザフトのエースだった。デスティニーは見る間に戦艦に取り付いて攻撃を開始した。
「これは…」
「すごい。いけるかもしれないぞ」
デスティニーを見つめていた兵たちはざわざわとどよめき始めた。
重苦しい雰囲気だった司令室が、いつしか希望を取り戻していた。
「そうか、来てくれたか」
デスティニーに続き、宇宙空間でこそ本領を発揮するドラグーンを操って戦うレジェンドを慈しむように見つめるデュランダルが呟いた。
将校たちも心なしか明るい声で「はい」と返事をする。
レイは対峙したザムザザーに向かってドラグーンを放った。
それはビームスパイクを形成する事ができ、ビーム砲でありながら実弾攻撃も可能にする。スピードによる力技でシールドを破った突撃砲は本体を貫通し、ザムザザーに大ダメージを喰らわせた。
「彼らに期待して祈ろう」
新たな運命を切り拓くのは、彼らなのだ。

(こんなものを造って…こんなものを撃って…大切なものを守るために、戦うことすらできない人々をたくさん殺して…)
シンは戦艦のシールドを力づくで突破し、アロンダイトで戦艦を斬り裂いた。
「それで手に入れた世界で、何をしようっていうんだ、おまえたちは!」
それは、自分の欲する世界とはあまりにもかけ離れた世界だと思えた。
戦争のない、誰もが安心して暮らせる世界を、約束してくれるはずなどない。
「そんな…そんなこと…」
シンは向かってくるウィンダムに両肩のブーメランを投げつけた。
そして光の翼を広げるとM2000GXを構え、あたり一面を薙ぎ払う。
「俺は絶対に許さない!」

「イゾルデ、撃ぇ!」
ミネルバもまた、モビルスーツの援護がないというのに基地へと接近しつつあった。迎撃は激しくなるが、艦首砲の射程には十分だ。
「面舵15、下げ舵10。山の陰に入れ。タンホイザー起動」
アーサーの砲術とは別に、タリアもまた陽電子砲の軌道を命じた。
チェンが返事をし、ミネルバの艦首がゆっくりと上がっていく。
圧倒的な機動力で戦うデスティニー、火力で応戦するレジェンドを始め、フォーレで善戦するザクやグフたちを見ていた議長が傍の黒服に言った。
「戦闘の情報は随時市内へ流してくれ。ありのままを全て。コロニーで戦う彼らのことも…」
それを聞いて「え?」と安全委員会の委員や将校たちが顔を見合わせた。
ヤヌアリウスとディセンベルを襲った悲劇からはまださほど時間が経っていない。実際、評議会議員のノイ・カザエフスキーたちは今も市内のパニックを鎮圧する事と事態の収拾におおわらわなのだ。
「しかしそれでは…」
「大丈夫だ。混乱など起きやしないよ」
議長は優しい微笑をたたえて言った。
「皆知りたいはずだ…自分の運命、その行く末を。そして、その権利もあるはずだ」
彼らが敗れれば我らは滅び、彼らが勝てば新たな世界が待っている。
(私とて100%、自分が企てた計画通りになるとは思っていない…それはあくまでも道標に過ぎず、全ては運命の導きであるべきなのだ)
周囲の者たちは戸惑いながらも、各市内への戦闘の中継を許可した。
避難や混乱に惑わされていた人々は街角で、携帯電話やボードで、家でその映像を見た。
自分たちの運命を握っているザフト軍は果敢に戦い、時には命を散らしていく。
人々は争いをやめ、手を止め、足を止めた。
それは決して他人事ではなく、人々の目の前に立ちはだかる障壁だった。
(今、これを乗り越えなければ未来はない。生きる世界は失われる)
議長の言うように混乱もなく、人々は固唾を呑んで戦闘を見守っている。
そしてまたこの映像は、全世界にも中継された。
こんな、あまりにも非道な行いを許してはおけないとプラント寄りの国々は息巻き、連邦寄りの国々でさえプラントの行く末に心を砕いた。
シン・アスカを想ってコニールは月を見上げ、アークエンジェルのブリッジでも首長会でも、誰もがこの映像に釘付けになっていた。

「デストロイ、発進まだか?」
物量では勝るのに徐々に押されてきた戦況を見て、司令官が苛立ったようにオペレーターに尋ねた。
タンホイザーの射線を取るために、ミサイルや主砲・副砲による猛攻で前進を続けるミネルバは、基地への距離を詰めつつある。多くの戦力がザフト艦隊に取られているとはいえ、その足を止めることすらできないとは…
「敵は一隻だぞ。何故落とせん!」
実際にはモビルスーツやモビルアーマー、戦艦の多くがデスティニーとレジェンドに落とされているため、ミネルバの道は意外なほど広かった。
やがて基地の発射台からはデストロイが3機、再びその巨体を現した。
「シン!」
それに気づいたレイがシンを呼ぶと、シンもまた機体をそちらに向けた。
「わかってる。あいつら…性懲りもなくまた!」
エクステンデッド…あれには永遠に戦わされる戦闘人形が乗っている。
(ステラ…俺はもう迷わない。二度ときみのような子を生まないために…)
「連中には接近戦だ。行くぞ!」
言い終わるや否やシンは素晴らしいスピードでデストロイに向かう。
シールドを展開しながら放たれるドライツェーンをかいくぐり、モビルスーツに変形した1機の前に出ると素早く右手を突き出した。パルマフィオキーナで頭部を潰し、アロンダイトを抜いて斬りつける。よろけた相手は胸部のスキュラにエネルギーを充填してデスティニーを狙ったが、シンはその砲口に向けて出力を調整したビームシールドを向け、ソードのように細くしたビームを突き刺すと内部爆発を誘った。
(俺がフリーダムの戦闘を真似るなんて…)
天敵の戦いぶりを思い出すのは腹立たしいが、これまでの経験から、この破壊法は与えるダメージが一番大きく、最も確実に仕留められるとわかってきていた。
「あの時こいつの弱点を見抜いたあいつは、やっぱり天才ってことかよ!」
最後に再びアロンダイトでコックピットを貫いて止めを刺す。
(でも俺はヤツのように容赦なんかしない。手加減もだ!)
シンは爆発して倒れる機体には目もくれず、そのまま次の敵に向かった。

「プライマリ兵装バンク、コンタクト。出力定格。セーフティ解除!」
ついに射線軸を確保したミネルバからタンホイザーが発射される。
しかし彼らの目の前に、見覚えのあるモビルアーマーが現れた。それは6本の足で月面の山を越え、窪みの中から移動してきた。
「撃ぇ!」
司令部では月表面の月基地がミネルバにロックオンされた事に戦慄が走ったが、基地に向かってタンホイザーが放たれたと同時に、その忌々しいモビルアーマー…ゲルズゲーがふわりと射線に陣取り、リフレクターを広げて陽電子砲を受け止める。
タンホイザーはゼロ時間と共に消失し、ブリッジは「ああ…」と溜息に包まれた。
「またあいつか」
アーサーがげんなりして言う。
「ぬぅ…」
司令室は安堵したものの、ジブリールはギリギリと歯を食いしばった。
(どこまでも…どこまでも邪魔な艦め…)
その時、ジブリールの携帯タブレットに通信が入った。
「なんだ、こんな時に!?」
彼は苛立ちを相手にぶつけるように通信を開くと、それは以前、自分の持つ情報がデュルランダルに漏洩しているのではないかと疑惑を持った彼が、調べさせていた調査機関の諜報員だった。
ジブリールはデスティニーが2機目のデストロイの背部からユニットごとアロンダイトを突き刺している忌々しい映像を見ながら報告を促す。
「ワシントンの連邦本部に、不審な動きをしていた女秘書がいます」
諜報員は情報の漏洩が成されていたこと、その大元が連邦所属の高官のパスコードで破られていた事を突き止めていた。
それは彼が懇意にしていた連邦の幹部で、退官後はロゴスの一員として迎える約束になっている人物だった。
彼の愛人でもあった女は、オレンジに近い明るい色の髪の色をした美しい有能な秘書であり、彼に同行して月にもしばしば来訪していた。
しかし最初のデストロイの侵攻より少し前に職を辞し、身元を割り出すデータもほとんど消去した挙句、忽然と姿を消した。
あちこちへ逃亡を続けていたジブリールは知らなかったのだが、その高官はつい最近、大西洋連邦にある自宅で変死しているのが発見されたという。
「彼以外にも何人もの高官や将官クラスのコードが利用されています」
盗まれた情報は、ガーティ・ルーに始まるファントム・ペインに関するあらゆる情報と、ロドニアのラボでの出来事、デストロイ、それに…
「レクイエムです。偏向角度のデータまで全て盗まれています」
ジブリールはぶるぶると震え、怒りのあまり壁を蹴り飛ばした。
「…いつからだ!?」
「わかりません。少なくとも2年以上前から愛人関係にあったようです」
「2年以上…だと?」
ジブリールは想像以上に長い時間をかけて潜入されていた事に絶句した。
(ヤツは獲物を見つめるヘビのように私を見張っていた…)
その時初めて、前大戦終結の頃から自分がデュランダルの掌に乗せられていたことを悟り、ジブリールは呆然として携帯用タブレットを取り落とした。
「もしもし?ジブリール卿!?」
ボードの向こうからは声が聞こえてくるが、彼の耳にはもう入らなかった。
ギルバート・デュランダル…全てを知りながら何も動きを見せず、事が起きてからそれを颯爽と阻止しに来ていたなど…

「嘘つきめっ!偽善者めっ!この…悪党めがっっ!!」

彼は怒りのあまり怒鳴り散らし、タブレットをぐしゃりを踏み潰した。
しかしもちろんこんなジブリールの言葉には、正義など欠片もない。化かしあいに勝ったのは、デュランダルだったというだけだ。
(全てが…ヤツの計画通りだと!?)
デュランダルの思惑通りに動くよう仕向けられながら、自分でこの世界全てを支配しているつもりになっていたとは…ジブリールは断腸の思いだった。
侮っていた相手に先んじられていた。
その屈辱と敗北感は彼の怒りにさらなる火をつけた。

「おのれ…おのれ、デュランダル!!」
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制作裏話-PHASE45①-
レクイエムの第2射を阻止すべく、主人公チームとイザーク&ディアッカの金銀コンビが大活躍する回です。

しかし本編放映当時はここまで来てもまだ議長が何をしたいのかが明かされず、残り5話でどうなるのかと視聴者をヤキモキさせ、さらには種からの鉄板と思われていたアスランとカガリのカップルが、何の話もしないままに破局を迎えました。制作陣(主には監督と脚本家ですが)は「別れていない」「そうとは限らない」と散々言い訳をしていましたが、一体どういうつもりでそういう事を言うのかわかりません。まぁ彼らは自分がやった事に責任を持つという事を知らないらしいので仕方がありませんが。

プラントが犠牲を払う事で、地球と同じ痛みを得たというとんでもない「演出」を企てたデュランダルは、英雄としての「運命の子供たち」を待ちます。
本編では議長は「黒に近いグレー」でしかなく、彼が何をしたのかはほとんど明かされませんでした(ミーアの件とデストロイ、レクイエムの事を知っていたことくらい)が、逆転では黒幕らしくなってもらいました。
シンたちにはダイダロス基地に直接向かい、発射口を攻撃するよう命令が下ります。その戦闘は議長の指示によって混乱を極めるプラントに放映され、人々を救う「英雄」として焼きつくことになるのです。
艦長室に呼ばれて説明を受けるシンはルナマリアを励まし、レイとすぐさま作戦を練り始めます。

なおこのPHASEではルナマリアが大活躍しますので、本編以上に彼女にスポットを当てています。艦長も失敗を取り戻そうとする彼女を励まし、ルナマリアはレイにはっきりと宣言します。
PHASE42、43で彼女がレイの言葉にひどく傷ついていたのは、何を隠そうこのシーンへの伏線でした。ルナマリアはレイに「自分はシンの足手まといになんかならない」と言います。レイもまたそれを聞き、「戦友」としてのルナマリアを認めます。
これにはもう一つ理由があり、逆転のレイは、後に自分の秘密を語る時、ルナマリアを締め出すような事はしません。彼女もまた命懸けで共に戦った大切な戦友として同席させるつもりだったので、ここで二人のわだかまりを除いておきたかったのです。

ちなみに本編では、ルナマリアはここでレイを睨みつけて追い払い、シンといちゃいちゃするというさっぱりわけのわからない行動に出ています。
制作陣としては恐らく、「シンを操ろうとしているレイに警戒心を持つルナマリア」とでもしたかったのでしょうが、何しろ全てにおいて描写不足ですから、レイの意図もルナマリアの本心もシンの葛藤も何一つ描ききれていないため、いつものように「視聴者ポカーン」状態を引き起こしました。

さて仲直りした彼らの様子を、事情を知らないシンが少し怪訝そうに見ているというのもいい感じに書けました。シンが彼女の身を案じ、やはり突入は自分かレイが…と言いかけるのも、ルナマリアがどっちも危険だと言うのも本編と同じなのですが、違うのはシンが「絶対に守る」と言った時のルナマリアの答えです。

逆転のルナマリアは、守られるだけではいやだと答えます。そして自分はシンと一緒に戦うと言うのです。
これが、シンの「守る」と言う言葉で安息を得たステラとルナマリアの決定的な違いとしたかったのです。
戦うヒロインであるルナマリアには、赤服であり、軍人としての矜持を持って欲しかったのです。彼女は今でも強くて美しいアスランに憧れていますし、戦争に苦しめられたシンの過去も知っていますから、こうして戦うと決意するヒロインであって欲しかったのです。心優しく、可愛く、そして強い。逆転のシンの相手なら、それくらい素晴らしい女性でなくては。

一方発進準備を整えているアークエンジェルでは、キラが准将に命じられています。本編では何の説明もなく破格の昇進をしており、視聴者が「あり?」と気づいたといういわくつきのキラ様大出世ですが、逆転ではここに至るまでを積み重ねてきました。タケミカヅチの生き残りたちとのエピソードや、デストロイ戦、エンジェルダウン戦、オーブ戦での指揮官ぶり、マシマの確保など、目に見える戦績を残すことで、単なる「身内人事」ではないことを示唆しています。
整備シーンでのメイリンとキラは本編と同じですが、気さくで優しい雰囲気のキラには、女性に対して晩生のメイリンも打ち解けることができています。この2人は本編でもまるで兄と妹みたいで結構可愛かったんですよね。髪をおろしたメイリンがフレイさんにしか見えないのは失笑モノでしたが。

さて、12宙域での戦いは熾烈さを増しています。守りの薄かったグノーに比べ、フォーレは一筋縄では落ちません。イザークやディアッカも梃子摺っている頃、ミネルバから発進したレジェンドとデスティニーはダイダロス基地に襲い掛かります。

このシーンは本編では大した演出もありませんでしたが(ただいつも通りデスティニーが、デロロデロロというおっかないBGMに乗って出撃し、暴れてるなぁと言う感じ)、ここではレクイエムを撃たれるか否かと言う瀬戸際で、議長や高官たちにとってシンの破竹の勢いの戦いぶりはまさに「アークエンジェル」や「オーブ」にとってのフリーダムなのだと感じさせて欲しかったですよね。だって主人公機なんですよ?プラントを守るために戦ってるんですよ?なのにどうしてあんなに不憫だったんでしょうね本編のシンは…

既に敵ではないデストロイを倒す時、シンはキラがフリーダムでやったように、スキュラの発射口にビームソードを刺し込むという荒業を使って内部爆発を誘います。これが一番確実な方法だというのはもちろん創作ですが、忌々しいながらも天才であるキラの技を認め、吸収するシンの柔軟な学習能力を示したかったのです。けれどキラのようになるべくなら相手を殺したくないという甘さを否定するのがシンらしさですね。

同じく創作シーンとして、もうじき退場するジブリールがついに、全てがデュランダルの手の上で踊らされていたと気づくシーンを入れています。
これ、本編であってもよかったんじゃないかと思います。いや、むしろ退場する事が決まっているジブリールだからこそ適任だと思うんですよ。だって彼が死ねば、もうこれを知る人はいなくなるわけですからね、視聴者以外は。
サラが何人もの高官にハニートラップを仕掛け、多くの情報を引き出していたと知ったジブリールは怒り狂いますが、もはや後の祭りです。

次回、ロゴスとの戦いに決着がつくと同時に、カガリの物語が完結します。私が逆転SEEDを書こうと思った動機であり、そして、こうあって欲しかった結論を、カガリとアスランは無事に迎えられたのか。必見です。
になにな(筆者) 2012/02/29(Wed)22:41:12 編集
Natural or Cordinater?
サブタイトル

お知らせ
PHASE0 はじめに
PHASE1-1 怒れる瞳①
PHASE1-2 怒れる瞳②
PHASE1-3 怒れる瞳③
PHASE2 戦いを呼ぶもの
PHASE3 予兆の砲火
PHASE4 星屑の戦場
PHASE5 癒えぬ傷痕
PHASE6 世界の終わる時
PHASE7 混迷の大地
PHASE8 ジャンクション
PHASE9 驕れる牙
PHASE10 父の呪縛
PHASE11 選びし道
PHASE12 血に染まる海
PHASE13 よみがえる翼
PHASE14 明日への出航
PHASE15 戦場への帰還
PHASE16 インド洋の死闘
PHASE17 戦士の条件
PHASE18 ローエングリンを討て!
PHASE19 見えない真実
PHASE20 PAST
PHASE21 さまよう眸
PHASE22 蒼天の剣
PHASE23 戦火の蔭
PHASE24 すれちがう視線
PHASE25 罪の在処
PHASE26 約束
PHASE27 届かぬ想い
PHASE28 残る命散る命
PHASE29 FATES
PHASE30 刹那の夢
PHASE31 明けない夜
PHASE32 ステラ
PHASE33 示される世界
PHASE34 悪夢
PHASE35 混沌の先に
PHASE36-1 アスラン脱走①
PHASE36-2 アスラン脱走②
PHASE37-1 雷鳴の闇①
PHASE37-2 雷鳴の闇②
PHASE38 新しき旗
PHASE39-1 天空のキラ①
PHASE39-2 天空のキラ②
PHASE40 リフレイン
(原題:黄金の意志)
PHASE41-1 黄金の意志①
(原題:リフレイン)
PHASE41-2 黄金の意志②
(原題:リフレイン)
PHASE42-1 自由と正義と①
PHASE42-2 自由と正義と②
PHASE43-1 反撃の声①
PHASE43-2 反撃の声②
PHASE44-1 二人のラクス①
PHASE44-2 二人のラクス②
PHASE45-1 変革の序曲①
PHASE45-2 変革の序曲②
PHASE46-1 真実の歌①
PHASE46-2 真実の歌②
PHASE47 ミーア
PHASE48-1 新世界へ①
PHASE48-2 新世界へ②
PHASE49-1 レイ①
PHASE49-2 レイ②
PHASE50-1 最後の力①
PHASE50-2 最後の力②
PHASE50-3 最後の力③
PHASE50-4 最後の力④
PHASE50-5 最後の力⑤
PHASE50-6 最後の力⑥
PHASE50-7 最後の力⑦
PHASE50-8 最後の力⑧
FINAL PLUS(後日談)
制作裏話
逆転DESTINYの制作裏話を公開

制作裏話-はじめに-
制作裏話-PHASE1①-
制作裏話-PHASE1②-
制作裏話-PHASE1③-
制作裏話-PHASE2-
制作裏話-PHASE3-
制作裏話-PHASE4-
制作裏話-PHASE5-
制作裏話-PHASE6-
制作裏話-PHASE7-
制作裏話-PHASE8-
制作裏話-PHASE9-
制作裏話-PHASE10-
制作裏話-PHASE11-
制作裏話-PHASE12-
制作裏話-PHASE13-
制作裏話-PHASE14-
制作裏話-PHASE15-
制作裏話-PHASE16-
制作裏話-PHASE17-
制作裏話-PHASE18-
制作裏話-PHASE19-
制作裏話-PHASE20-
制作裏話-PHASE21-
制作裏話-PHASE22-
制作裏話-PHASE23-
制作裏話-PHASE24-
制作裏話-PHASE25-
制作裏話-PHASE26-
制作裏話-PHASE27-
制作裏話-PHASE28-
制作裏話-PHASE29-
制作裏話-PHASE30-
制作裏話-PHASE31-
制作裏話-PHASE32-
制作裏話-PHASE33-
制作裏話-PHASE34-
制作裏話-PHASE35-
制作裏話-PHASE36①-
制作裏話-PHASE36②-
制作裏話-PHASE37①-
制作裏話-PHASE37②-
制作裏話-PHASE38-
制作裏話-PHASE39①-
制作裏話-PHASE39②-
制作裏話-PHASE40-
制作裏話-PHASE41①-
制作裏話-PHASE41②-
制作裏話-PHASE42①-
制作裏話-PHASE42②-
制作裏話-PHASE43①-
制作裏話-PHASE43②-
制作裏話-PHASE44①-
制作裏話-PHASE44②-
制作裏話-PHASE45①-
制作裏話-PHASE45②-
制作裏話-PHASE46①-
制作裏話-PHASE46②-
制作裏話-PHASE47-
制作裏話-PHASE48①-
制作裏話-PHASE48②-
制作裏話-PHASE49①-
制作裏話-PHASE49②-
制作裏話-PHASE50①-
制作裏話-PHASE50②-
制作裏話-PHASE50③-
制作裏話-PHASE50④-
制作裏話-PHASE50⑤-
制作裏話-PHASE50⑥-
制作裏話-PHASE50⑦-
制作裏話-PHASE50⑧-
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