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機動戦士ガンダムSEED DESTINY 男女逆転物語
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「ヤヌアリウス、1から4、直撃。ディセンベル7、8、ヤヌアリウス4の衝突により崩壊」
「ヤヌアリウスだと!?」
ジブリールはその報告を聞いて心外だという顔をした。
照準を命じた司令官もまた詳細を報告するよう求めた。
「グノーの射角が計算外にずれたようです。戦闘の影響かと思われますが…」
ジブリールはそれを聞いて忌々しそうに拳を振り下ろした。
「アプリリウスを撃ち損じるとは!ザフトめ!」

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「これは一体…」
ビームを見送って以来、悪い予感に苛まれていたイザークは、やがて入ったメサイアからの報告に眼を通し、言葉を失った。
ディアッカもそれを読んで唸らざるを得ない。
「ヤヌアリウスが…ディセンベルもか…」
ヤヌアリウスは4基がビームの直撃により完全崩壊したという。
ディセンベルはヤヌアリウス第4市の倒壊に巻き込まれて第8市が倒れ、さらに隣の第7市も大破していた。
前大戦でも今回の戦争でも、彼らが必死に守りきってきたプラントが、皮肉な事に、実質的に戦争が終わった今になって攻撃されて倒壊した。
それを自分の戦う理由として掲げ続けてきたイザークの怒りは推して量るべしである。
「くそっ!…くそーっ!!」
イザークは拳をパネルに叩きつけて悔しがった。
(明らかに不可能だった事が実行された…こんな…こんな方法で!)
イザークの怒りの咆哮を聞きながら、ディアッカは呟いた。
「月の裏側から…まさか…」
「ならば、曲げさせなければいいだけだ!」
イザークは、ディアッカに隊員たちを集結させろと命じた。
「いいか、必ずこいつを落とす!」
「ああ。わかってる」
「2射目があったら今度こそプラントはおしまいだ。何が何でも落とすぞ!」
喝を入れる隊長に、隊員たちも血気盛んに応えた。

「艦長!」
オーブ沖から帰還して数日後、カーペンタリアで宇宙に上がる準備を進めていたミネルバにも、プラントが直撃を受けた報せがもたらされた。
アーサーはバートからデータを受け取ると、即座に艦長をブリッジへと呼び出して事の次第を報告した。
一方アークエンジェルでは、ミリアリアがマリューを探して艦内を駆け回っていた。
「え?プラントが!?」
「かなりの被害を受けたみたいです」
ミリアリアは艦尾でネオと談笑していた彼女を見つけるとこの大事の報告をし、ノイマンやチャンドラも、オーブ軍の要員と共にブリッジでプラント崩壊の様子を見て驚いていた。
「ヤヌアリウスが…」
アスランたちと共にその映像を見ていたメイリンが言葉を失った。
彼はヤヌアリウス出身ではないが、ナチュラルに比べて圧倒的に数が少ないコーディネイターにとって、同胞の無慈悲な死は想像以上に衝撃が大きい。
「一体どこから?」
キラがいぶかしむと、「調べてみよう」とラクスはブリッジに向かった。
(どれだけの人が亡くなったんだろう)
今はもうないユニウスセブンを、崩壊したヘリオポリスを思い出して、キラは深いため息をついた。
一方アスランは、自分が母を失った日を思い出してズキンと胸が痛んだ。
(どこかに、あの日の私のような子が…きっと…)
そして恐らく、あの時の幼い自分にはまだわからなかった父の想い…愛する人を理不尽な暴力で失い、世界が失われたと絶望した彼の心に想いを馳せる。
(どうして繰り返されるのだろう…こんな事が、何度も)
閣議中だったカガリも、首長たちと共に見たその映像に息を呑んでいた。
コロニーは完全に崩壊し、てんでばらばらな方向に向いてしまっていた。凄まじい量のデブリが散り、シャフトや土台が剥き出しになっている。
「停戦交渉の要求とは別ルートで、ただちにプラントと連絡を取れ」
カガリはすぐに閣議内容を変更し、スカンジナビアや赤道連合と共にプラントに救援の申し出を行う緊急決定を下した。
しかしそうやって指示を出しながら、頭をよぎるのはジブリールのことだった。
(まさか…いや、核を撃ち、同胞の都市を破壊するヤツならありうる)
プラント…デュランダル議長は、この事態の原因は、ジブリールを逃したオーブの責任としてくるかもしれない…政治家の頭でそう考えると、背筋が冷たくなった。もしそうなれば、ラクスの登場で一旦ひっくり返った盤上の攻防が、再び逆転してしまうだろう。下手をすればオーブ再侵攻の大義を与えてしまうのだ。

「何てことなの!」
すぐにブリッジにやって来たタリアもこの光景にさすがに立ちすくんだ。
ザフトに入ったからには、個人の思惑はあるにせよ、基本的には皆、故国を守るために戦っているのだ。それがこんなにも脆く攻め入られ、多くの命を失うのを目の当たりにし、しかも手の施しようがないとなれば、皆動揺を隠せない。
宇宙戦に向けての機体の調整と整備にかかっていたシンやルナマリアも、この騒ぎを聞いて休憩室に駆けつけ、映像を見た。そのあまりにも無残なプラントの様子から、居住する人々の生命がもはや絶望的であることを見せ付けられ、ルナマリアはショックのあまり思わずシンの腕に掴まった。
「ヤヌアリウスが…」
「そんな馬鹿な!」
「直接攻撃なんて…一体どこから撃たれたんだ?」
連合か?テロか?と兵たちは怒りと衝撃でどよめいている。カッカした連中が休憩室の隅で小競り合いをはじめ、崩壊した市の出身者が蒼白の顔で立ち上がり、「お母さん!いやぁぁ!!」と叫んで頭を抱えこんだ。あちこちですすり泣きや怒りの声が聞こえる。
「何で…何でこんな…」
そんな中、シンは食い入るように倒壊したプラントを見つめていた。
しかし心の中にどんよりと不安な雲が広がっていくのを禁じえない。
一体何がどうしたのかはもちろんだが、何よりも一番考えたくないのは「何がこの惨状を引き起こしたのか」ということだった。
するとシンの腕を掴んでいるルナマリアが、手にぎゅっと力を入れた。
(ルナ…)
シンはそんな彼女の手を取ると、安心させるように強く握り締めた。
しかし次の瞬間、最悪の「答え」が発せられた。レイだった。
「ジブリールだな」
シンもルナマリアもその声に息を呑み、もう一度互いの手を強く握り合った。

12宙域では未だ激しい戦闘が続いている。
ジュール隊もジャニス隊も、戦闘経験数とあげた戦果の多さは音に聞こえた部隊であり、しかも今、彼らの目の前でプラントが直接攻撃にさらされるという許しがたい行為が行われては、彼らの士気は上がる一方であった。
ディアッカは数人のヒヨっ子を預かりながら、イザークの援護に徹している。
さらに彼はブレイズウィザードを装備したザクファントムのハーネンフースに、ガナーを装備した連中を率いて、偏向装置を破壊するよう指示した。
ジュール隊は、隊長に必要な交渉術や折衝にはイザークの高い能力が物をいい、さらに厳しいながらも部下思いの彼の人柄は兵たちに信頼が厚い。
それを基盤にして士気の高い兵たちに、ディアッカが作戦を実行させていくという二枚岩の安定ぶりは、どんな隊よりも優れたコンビネーションを見せていると評判だった。
「一斉射撃で一箇所を狙え。周りの敵は隊長と俺たちに任せろ」
「了解」
ディアッカは続けてイザークに、ジャニスらと共に、続々出てくるウィンダムや、戦艦を守っているモビルアーマー・ユークリッドを倒すよう言う。
「おまえ、得意だろ?ああいうガードの固いヤツの懐に飛び込むの」
リフレクターを展開してことごとくザクたちのビームを跳ね返している厄介なユークリッドを指すと、イザークはふんと鼻を鳴らした。
「面倒事は全部俺か!」
「花を持たせてんだよ、隊長」
ディアッカは「んじゃ、よろしく」と言いながらビームライフルを放ち、向かってくるウィンダムを蹴散らしてグフのために道を開けてやった。
イザークはディアッカたちが開いた道を素晴らしいスピードで突っ込むと、激しくビームを撃ってくるユークリッドの鼻先に出た。そのまま素早く飛びながらドレイプニルを向けたのだが、なるほど、確かにリフレクターを展開してビームを弾く。リフレクターは外部デバイスによって展開されているので、それを壊せば二度と開けないのはアルテミスと同じ原理のようだ。しかしそんな弱点だからこそ当然近づき難くなっており、ジャニス隊も攻めあぐねている。
(ええい、まどろっこしい!)
イザークはスラスター操作を駆使して全方位からウィップをぶちあてた。
相手も無論リフレクターを展開しながら攻撃してくるが、イザークはさらにビームガンを取り混ぜて攻撃速度を上げて行きタイミングを計った。
相手がビーム砲を撃ち終わり、リフレクターを開こうとしたその瞬間、(今だ!)と、イザークは素早くビームソードを抜いて突撃した。
リフレクターが開く寸前に相手の懐に飛び込んだイザークは、ソードを一閃、ユークリッドを上から切り裂き、爆散させた。
中遠距離攻撃では倒す事が難しいユークリッドを、超近接戦闘に持ち込んで破壊してまわる彼を見て、まだ色々と危なっかしいヒヨっ子の面倒を見ているディアッカは、隊長の戦果にいたく満足げだ。

モビルスーツが引き付けられている間に、オレンジショルダーのザクウォーリアやザクファントムがガナー装備のオルトロスを構え、同じ場所を狙って放った。
さしもの巨大なコロニーも、5つの射線で狙われてはたまらない。
やがて偏向ステーションはそこを基点にぱっくりと横に割れた。
イザークはユークリッドを片付けた後、さらに彼らの母艦へと迫った。
途中で前に出すぎたザクを庇ってウィンダムをビームソードで一閃すると、「モタモタするな!技量がないなら下がれ!」と怒鳴って飛び去る。
そしてディアッカが後ろからファイアビーを放って弾幕を張ると、それが晴れる前に飛び出して、真っ直ぐブリッジへと向かった。
(よくもあんなものを!)
そしてスレイヤーウィップを最大まで繰り出して狙い打った。
プラントを守るために戦うというイザークとディアッカの大義は揺るぎなく、彼らの信じる正義が敵を次々と殲滅していった。

「失礼します」
宇宙で激しい戦いが繰り広げられている頃、シン、レイ、ルナマリアの3人がブリッジにやってきた。この珍しい訪問に少し驚いたアーサーは、3人を艦長の前に促した。
「一体何があったんです?」
「うむ」
シンが尋ねると、アーサーは渋い顔をしてモニターに宙域図を出させた。
「こっちがいつも通り表のアルザッヘルを警戒している隙に、月の裏側から撃たれたようだ」
アーサーがポイントし、辺鄙なところにあるダイダロス基地を示す。
「まさかダイダロスにこんなものがあったとは…」
ブリッジクルーも驚きを隠せずざわめいている。
「けど裏側からって…そんなの無理です!一体どうやって?」
ルナマリアがアーサーに問い質したが、答えたのは彼ではなく、レイだった。
レイは自分のボードを開くとアビーのモニターに繋ぎ、メインスクリーンに図を映し出して既存のものと重ねた
「奴らは廃棄コロニーに、超大型のゲシュマイディヒパンツァーを搭載して、ビームを数回に渡って屈曲させたようです」
モニターには5つのオニール型コロニーを示す点…彼が「ゲシュマイディヒパンツァー」と言ったそれが赤くマークされている。
そしてレイが操作すると月面からプラントとは全く別の方向に放たれた青い線のビームが、5地点で屈曲し、その軌道がついにはL5に到達した。
「曲がった!?」
「そんな…」
ブリッジクルーは身を乗り出して息を呑んだ。
「このシステムならどこに砲があろうと、屈曲点の数と位置次第でどこでも自在に狙えます。まるで悪魔の技だ」
レイが呟いた。
「全く…とんでもないものを造ってくれたわね」
タリアはいつもの癖で親指を口元に持って行きかけたが、はっと気づいて手を下ろした。
「司令部はこの一件に逃亡したジブリールが噛んでいると見ているわ」
その名を聞いて再びブリッジがざわっと動いた。
ルナマリアがいるのであからさまではないが、自然、非難の眼が集まる。その空気にルナマリアは俯きがちになったが、シンが肘で突いた。
(顔をあげろ、ルナ)
彼女以外は見えない角度で素早く「上を見ろ」とサインを出すと、ルナマリアは一瞬息をつき、少し青ざめた面を上げた。

「ジブリールを逃したからな」
ブリッジに来る前、休憩室でのレイの言葉に、ルナマリアは今以上に真っ青になった。
「私が…シャトルを…撃てなかったから…」
「違う!」
シンが大きな声で否定したので、話に夢中になっていた周囲の兵が一斉にシンを見た。
「引渡さなかったオーブのせいで、ヤツを見つけるのが遅れたのは事実だ!」
しかし自分の「失態」…彼らの要求に応え、ストライクフリーダムを見逃した自分にも非がないわけではない。シンは膝の上で拳をきつく握り締めた。
(同じだ…あの時と…)
シンの心に蘇ったのは、巨体が町を蹂躙し、人々を薙ぎ払う悪夢のようなベルリンの惨状だった。戦闘人形に戻ったステラは何の疑問も持たずに街を破壊し、人々を殺した。それは理由はどうあれ、死に掛けていた彼女を仮面の男に返した自分の行動の結果なのだ。
(ステラは死にかけていて…あの時はどうしても譲れなかった…だけど…)
シンは握り締めた拳を別の手で包んで口に当てると、やがて言った。
「レイ…実はあの時、俺、フリーダムを討てる機会をみすみ逃したんだ」
「シン!」
ルナマリアが遮ろうとしたが、シンはレイを見つめながら続けた。
「ごめん。おまえに伝えていなかった。あいつを討てる千載一遇のチャンスを、俺は...」
「あのね、それはあくまでも結果論なの!元はといえば私が…」
「いいんだ、ルナ」
シンは再び、自分をかばおうとするルナマリアを止めた。
レイは表情を変えることもなく、いつものように黙って聞いている。
「全部、命令を遂行できなかった俺たちの責任だ」

やがて、レイが口を開いた。
「何であれ、時は戻らない」
怒っているわけでも、2人を責めるわけでもなく、レイらしい答えだと思った。
シンは頷くと、改めて自分の意思を示した。
「俺たちは、今回の失敗を全力で取り返すつもりだ」
オーブを討たなかった自分、ジブリールを撃てなかったルナマリア。
取り返しのつかないミスを犯してこの事態を引き起こした自分たちに、挽回などできるはずもない。けれど、できる限りの事はやらなければならない。
ルナマリアもきゅっと唇を結び、シンの言葉に力強く頷いてみせる。
それから、シンは少し口ごもりながら言った。
「…レイは…別に…失敗はしてないけど…」
「おまえたちは何を言ってるんだ?」
レイはそんなシンの言葉を聞いて静かに言った。
「俺も責任の一端を担っている。今度こそ俺たちがヤツを討つ。それでいい」
「レイ」
その言葉を聞いて、シンもルナマリアも思わず笑顔になった。
「俺が持っている情報を艦長たちに提供する必要もある。ブリッジへ行こう」
レイがそう提案し、詳しい事情を聞くために3人はブリッジに向かったのだった。

「艦長。これはジブリールを逃がした俺たちの責任です」
シンが一歩進み出て、きっぱりと言った。
「もう二度と、プラントを撃たせはしません」
レイもまた一歩前に出る。
「我々はあの時、彼を討たなければならなかった。その責は負います」
「あなたたち…」
タリアは今までにない彼らの真摯な態度に、驚くと共に感心した。
「いいえ、これはあなたたちだけの責任ではないわ」
精悍な顔つきのシン、怜悧な表情のレイ、そして凛としたルナマリアを見て、タリアは優しく微笑んだ。
「私たち皆で止めましょう。こんな事、もう許しておけない」
アーサーはもちろん、マリクやバート、アビーやチェンたち…全てのブリッジクルーは、艦長の言葉を聞いてかつてないほどに力強く頷いた。
「連戦で疲れてると思うけど、正念場よ。ここで頑張らなければ帰る家がなくなるわ。いいわね」
「はい!」
タリアの言葉に、シンたちもクルーと共に声をそろえて返事をした。
急ピッチで始まった発進準備でブリッジが慌しくなると、シンたちは待機室に向かおうとブリッジを辞した。
けれど彼らと共に行きかけたルナマリアが、もう一度艦長の元に戻ってきた。
「艦長」
「なに?ルナマリア」
「…私、今度こそ必ずやり遂げます」
そう言って上官に敬礼し、ルナマリアはシンたちの後を追った。
(赤服をきちんと着て…少し大人になったのかしら)
タリアは彼女を待って一緒に扉を出て行った3人の後姿を見送った。

一方アークエンジェルには、この緊急事態の情報を共有するためカガリがやって来たので、ブリッジにクルーが集結していた。
「正確には把握できていないが、6基のコロニーの崩壊によって被害者数は百万人単位に膨れている。オーブは救援の申し出をしているが、プラントは一切応えない」
艦長の隣に立ったカガリは簡単に皆に今の状況を説明した。
「議長は連中を地球軍ではなく、テロリストと認定したようだ」
続けてラクスが、ターミナルが調査した結果…レイが説明したこととほぼ同じ内容を報告した。
「偏向ステーションがなければ、月の裏側からプラントは狙えないんだ。現在、この偏向ステーションを破壊しようと、複数の隊が交戦中らしい」
「ビームが、曲がる…」
キラは3年前のオーブ戦で驚いたことを思い出した。禍々しい大鎌を振っていた、緑色の機体を。
「あの技術を使ってるってこと?」
「うん。これならどこからでも、何でも撃てる。プラントも、月も、地球もね」
ラクスの言葉に、アークエンジェルのブリッジは静まり返った。
「同じね…ジェネシスの時と。もうどうにもならない…」
やがて副操縦士席に座っているアスランがため息と共に呟いた。
「うん…プラントはもちろんだろうけど、こんなの、もうきっと、みんなが嫌だよね」
「こんな戦いの連鎖を、今の僕たちには終わらせる術がない」
キラの言葉に頷いたラクスが、前大戦でも今大戦でも、結局戦争は泥沼化し、被害ばかりが広がると柳眉を曇らせた。
「皆、ただ幸福に暮らしたいだけなのにね。そのために戦うしかないと考えて、私たちは戦ってしまう。戦わずに済むこともあるはずなのに…」
マリューは自分の隣に立っているネオを見ながら呟いた。
「戦うことで、一体何を得たいのかしらね…私たちは」
「見失っちゃうんだわ、きっと。戦いに明け暮れる間に、一番大切なものを…」
ミリアリアは何気なくモニターに映る偏向ステーションのマークに触れた。
そこでは今まさに、彼女を一番大切に想っている彼が戦っているとも知らずに。
「議長は、恐らくそんな世界に全く新しい答えを示すつもりなんだろう」
ラクスはサイバースコープをかけると、ボードをパネルに繋げ、データをメインモニターに出した。それは膨大な数の名簿だった。
「何さ、これ?」
チャンドラが怪訝そうに言い、アマギたちもそれを見てざわめいた。
「名前に住所、生年月日…個人情報じゃないか。一体どこから…?」
「もう一つのデータがこれです」
ラクスがデータを重ねると、今度は個人名にいくつもの色のラインが入る。
「これはここ最近のアカデミーのデータなんです」
「えっ!?」
驚いたメイリンの同期たちのデータが抽出されると、卒業生の成績から賞罰まで全てがさらけ出されている。トップはレイだ。次がシン、ルナマリアと、赤服の者たちが続く。
「議長はまずここで、遺伝子による振り分け実験をやったようだね」
「あ…でも、僕は…」
「適性不足によってパイロットコースを脱落した…そうだね?」
「はい。そこまで成績が悪いとは思っていませんでしたが」
メイリンはある日突然、数人の学生と共に呼び出されて脱落を宣言されたのだ。
実際、姉より射撃や学科は優秀だったのに、理由も示されなかった彼は仲間たちと共に教官に承服できないと食い下がったが、聞き入れてはもらえなかった。
「アスランの時代にそんな制度は?」
「ないわ」
「ヒルダさんたちも?」
ラクスは後ろの方にいるヒルダたちドムのパイロットにも尋ねた。
「まさか。あるわけありませんよ」
「そういうこと」
メイリンは自分が望んだパイロットへの道を、遺伝子によって閉ざされたのだと知って呆気に取られた。ヴィーノとヨウランを見ると、成績はいまいちでも、彼らが選んだ整備と彼らの遺伝子との一致性が高いことをデータが示している。
レイ、シン、ルナマリアはもちろん適性はトップクラスだった。ことにシンは、名前の隣に他の者にはない三つ星マークがついている。
よく見れば自分は、オペレーティングのみ「適性あり」となっていた。
(遺伝子が合わないからって…こんな事で僕の希望が通らなかったのか)
メイリンは、「なぜ自分にはパイロット適性がないんだろう」と悩み苦しんだ日々を思い出し、苦々しい表情で言った。
「成績や努力不足…いいえ、一生懸命頑張ったけどダメだったのならまだしも、頑張るチャンスすらももらえてなかったんですね、僕は…」
事実、これは議長の「遺伝子が適性を決める」実験の一つだった。
元々通信やソフトにも興味があり、知識にも通じていたメイリンは、遺伝子のセレクションどおり通信士として頭角を現すことになっていったのだし、ヴィーノとヨウランはもちろん、三つ星のシンの活躍は言うまでもない。
シンがインパルスのパイロット・トライアルに選ばれたのは当然の事だった。

―― 人はこうして、与えられた役割を果たしながら、満足して生きている…

(…と言えるのかな?)
メイリンは首を傾げた) 
(シンやレイに憧れながら過ごしていた僕は、自分の役割をこなしながら、満たされて幸せだったといえるんだろうか?)
メイリンは自分の隣で座っているアスランの美しい横顔を見つめて思う。
ミネルバではきちんと話すことすらできなかった彼女と、今はこうして一緒にいる事も、自然に話す事もできるようになった。
議長が創る世界では、憧れの彼女にふさわしい人間になりたいと、そう願う事すらもかなわぬ夢として見てはならないのだろうか?
(いやだな…そんなの)

「人々がもう決して争うことのない世界とは、生まれながらにその人の全てを遺伝子によって決めてしまう世界」
「まさか、そんなこと…」
「無理だろう、争わないなんて」
ブリッジがざわっとざわめいた。
「遺伝子で?遺伝子が全てを決めるって言うの?」
マリューが呆気に取られたように言うと、キラが頷いた。
「どうやらそれが、デスティニープランというものらしいんです」
ラクスが「あくまでも推測ですが」と言って続けた。
「生まれついての遺伝子によって人の役割を決め、そぐわない者は淘汰、調整、管理して、新しい世界構造を産み出そうとしているんじゃないかと思うんだ」
「淘汰…調整」
メイリンはレイの冷たい声を思い出した。
(彼は既にあなたと同罪だ。その存在に意味はない)
彼はアスランの様子を窺ったが、アスランはただ黙りこくっている。
「そんな世界なら、確かに誰もが本当は知らない自分自身や、未来の不安から解放されて、悩み苦しむことなく生きられるのかもしれない」
「自分に決められた、定めの分だけね」
ラクスの後をついでキラが言うと、カガリも肩をすくめた。
「失敗も後悔もない代わりに、アクシデントもハプニングもない世界か?ずいぶんラクそうだけど、つまらなそうだな」
「カメラマンも医療技術者も、適性がないって言われたらガッカリね」
ミリアリアが言ったので、カガリとチャンドラが笑った。
「でも私たちナチュラルは、あらかじめ色々なものを与えられているコーディネイターよりもっと大変よ、きっと。何がどうなるかは全然わかんないんだもん」
「だけどその分、隠された能力やスキルが現れる可能性は僕らより大きい」
ラクスが、そうした変異こそが人の進化を担ってきたのだと言った。
「どちらにせよ、望む力を全て得ようと人の根幹、遺伝子にまで手を伸ばしてきた、僕たちコーディネイターの世界の究極です」
「だが巻き込まれるナチュラルからは反発が起きるんじゃないか?」
ノイマンはさらに「管理されるナチュラルと管理するコーディネイターが対立するだけでは?」と疑問を投げると、ラクスは「それはどうでしょうか」と答えた。
「そこにおそらく戦いはありません。コーディネイターもまた、何かに管理されて生きることに変わりはなく、どちらの種であろうと戦っても無駄だと、あなたの定めはそれだと、皆が知って生きるわけですから」
(抗う事すら許されず、そう生きろと命じられる世界、か)
ネオはそうやって生きて、死んでいった子供たちを思い出した。
(あいつらは、自分たちが本当は何者からも自由であるとすら知らなかった)
彼らと共に戦うことで、ジブリールは世界を新たに創ると言った。
邪魔なコーディネイターをこの世から一掃し、浄化された世界でナチュラルだけの、きちんと管理統制された世界を創るのだと。
その世界では彼らこそが管理者であり、統制者であるのだと。
(やがて全てが本当に始まる日が来る…我らの名の下に)
ネオは、かつてガーティ・ルーの艦長イアン・リーに言った自分の言葉を思い出した。
(そう信じていた…恐らく、今回のこの事件は、ヤツが当初の計画を実行したんだろう)
だがデュランダルという男は、ジブリール以上の事をやろうとしているようだ。
人に役割を持たせ、その宿命にしたがって生きる世界…ステラやアウル、スティングの様子を思い出しながら、ネオは言った。
「そんな世界で奴は何だ?王か?」
「運命が王なのよ。遺伝子が。彼は…神官かしらね?」
マリューが皮肉をこめて応えた。

「でも、ほんとに全部が無駄なのかな?」
キラが首を傾げた。
「人はいつまでも戦ってしまうものかもしれない。けれど…」
キラの疑問に答えるようにラクスは言った。
「生命はずっと戦ってきたんだよ。生きるために環境や、病や、天敵と戦って、進化してきた。戦うこと全てが無駄とは思えない」
「大体、無駄なことはしないのか?」
「ですよね」
ネオの言葉にキラがにっこりと微笑むと、イケヤたちが拍手をした。
「とにかく、僕たちはこれまで以上に慎重に動かないと。そのためにはオーブに攻め入ってくる議長のことだ。いつ、何をするつもりなのか探らなければ」
ラクスはカガリに言った。
「カガリくん、できれば早急に月にあがりたい」
「わかった。キサカやソガたちと検討してみよう」
「本当に議長がそんな事をしようとしてるなら…」
キラがアスランを見つめて言った。
「議長を止めなきゃ」
アスランはそれを聞いて口を開きかけた。けれど言葉が出てこない。
「未来を作るのは運命じゃないよ」
キラの言葉に、ラクスをはじめクルーたちは大きく頷いた。

けれどアスランはただ1人、「宇宙へ上がって議長を倒す」という方向に決まってしまったブリッジの空気に違和感を感じていた。
(何かがおかしい)
何がおかしいと思うのだろう…アスランは必死に考える。
「遺伝子に全てを決められるなんて、僕はまっぴらです」
その間にも、キラとメイリンが話している声が聞こえてきた。
こんな風に、話し合いが終わり、方向性が決まって、和やかに談笑しているブリッジの雰囲気をを壊すべきではない、場を乱すべきではないと、心のどこかから警告も発せられてる。
(でも…でも…何かが…)
そんな葛藤の中にいるアスランを見つめていたのは、カガリとラクスだった。
カガリは先ほどから一言も口を利かないアスランを気にしていたし、ラクスもまた、口を閉じ、俯いてしまったアスランを見つめている。

「アスラン。何か意見は?」
やがてラクスが一石を投じ、皆はアスランに視線を集めて静まり返った。
何しろ彼女は殺されかけ、大怪我を負わされて議長の下から逃げてきたザフト兵だ。誰もが当然、議長を倒すという意見に賛同すると思っていた。
「…あなたの意見はわかるけど…」
アスランはためらいがちに答えた。
「それは…今はまだ、全て推測に過ぎない」
ざわっと空気が動いた。
「それに…私たちは…ジブリールを逃した事で起きたこの事態に、どう責任を取るのか…」
アスランのこの言葉に、オーブ兵が一斉に反発した。
「これがオーブの責任だというのか!?」
「こちらの言い分も聞かず、一方的に攻めてきたのはザフトだぞ!」
「そうだ、あの時はジブリールを探す余裕などなかった。それでもカガリ様はヤツを探して…」
「静かにしろ、おまえたち」
その騒ぎに、すぐにカガリが兵たちを制した。
「セイランが自分たちの利益を優先してヤツを匿った事は事実だ。それに軍内部の裏切りもあって、探索も遅れた。プラントへの攻撃はヤツがいなければ行われなかったのなら…」
カガリは少し高い席から副操縦士席のアスランを見つめて言った。
「ヤツを確保できなかった俺たちにも、確かに責任がある」
「なら、私たちはそれにどう責任を取ればいいのか…」
オーブ兵はアスランの言葉にまたしても苛立ちを隠せない。
「それは考えずに、ただ…憶測で議長を討つと?」
今度は後ろの方にいたヒルダたちが「何言ってんだい」と反発し始めた。
彼女の次の批判は、たった今演説を終えたラクスに向けられたものだったからだ。
「ラクス様はあたしたちにどうすればいいかを教えてくれたんだよ!」
「いやならやめりゃいいだろ、あんたは」
ヘルベルトの冷たい言葉にオーブ兵たちも乗り、再び口々に不満を言い始めた。
「そうだそうだ」
「責任を取れと言うなら、あんたが交渉に立て」
「立てるものならな」
ヒートアップした彼らを、カガリは再び手で制した。
危惧したように、自分の発言によって一気に場が荒んだのがわかる。
アスランは再び黙り込んだ。

結局、まとまりかけたのにアスランがぶち壊した形になった会合は、そのままお開きになった。オーブ兵は露骨に不愉快そうな視線を送りながらブリッジを出て行き、ヒルダたちもまたブツブツと文句を言ってその場を後にした。
「なんなんだよ、あいつは」
「所詮はザラの娘さ」
兵たちが去り、やがてブリッジは半減消灯になった。
「アスランは、反対?議長を止めること」
キラの質問に、アスランは小さな声で答えた。
「反対とか…そういうことじゃないわ」
議長が人に役割を求め、それを全うできない者を役立たず、用済みとして片付ける事など、自分が一番よく知っている。だから本当に彼がそんな世界を創ろうとしているなら止めるべきだろうが、アスランはただ一言だけ言った。
「今回の事について、責任を忘れないで欲しいと、そう言いたかっただけ」
だが、こうまでうまく伝えられない自分のダメさにすっかり自信がなくなる。
「なんだか雰囲気を悪くしてしまって…ごめ…」
「謝らなくていい、アスラン」
突然、ラクスが2人の間に割って入った。
「ラクス…?」
「いや、むしろ謝ってはだめだ。きみは当然のことを言ったんだから」
ラクスはアスランの耳元に口を寄せると、彼女にだけ聞こえる声で聞いた。
「…もしかして僕、導いていた?」
(ままならないと操りたくなるし、もどかしいと導きたくなる)
ハンガーでラクスが言った言葉を思い出し、アスランはふっと笑った。
「かもね」
「じゃ、ありがとう、止めてくれて」
ラクスはそのままアスランの頬に感謝の意をこめた親愛のキスをした。
その光景になかなか慣れないメイリンは、思わず赤くなる。

「きみの強さには感心するよ」
「雰囲気を壊すだけだわ。私はいつもそう」
「納得できないものは、曲げられないんだよね」
キラが言う。
「アスランは昔からそうだもん」
間違っていると思えば、相手が大人でも乱暴な男の子でも敢然と立ち向かい、時には暴力を振るわれても決して主張を曲げなかった。しかし反面、その頑なで堅苦しい雰囲気が人を遠ざけてしまう。
「なんであんな人と仲いいの?」
キラはいつもそう言われていたが、本当はとても優しい彼女をわかってもらえない事に、よく歯噛みをしたものだ。
「でもいいと思うよ、それで」
「こいつの頑固さと意地っ張りは治せないからなぁ」
ため息混じりにカガリも笑った。

「ところでおまえ、ケガはもういいのか」
少し場の雰囲気が緩んだところで、カガリがメイリンに聞いた。
彼は「この通りです」と、銃弾を受けた左腕を元気よく振ってみせた。
「そうか。アスラン、おまえは?大丈夫か?」
(あ…!)
メイリンは一瞬、そのカガリの言葉を聞いてほくそ笑んだ。
(アスランさんに大丈夫って言ったら、必ず大丈夫って答えるぞ)
するとアスランは近づいてきたカガリを見上げて、小さな声で答えた。
「………だいぶ…やられた……から…」
「ムチャするからだ」
2人の会話の展開に(あれ?)とメイリンが驚いてアスランを見た。
(…言わない?大丈夫って…)
「後で診てやるよ。メイリンもだ」
「あ、はい…」
カガリにそう言われても、メイリンはなんだか上の空だった。

「そういえばアスランが無事だったのも、『約束』が有効に働いている証だね」
「約束?」
アスランがそう言ったキラにいぶかしげに聞いた。
「皆で約束したんだよ。全てが終わるまで、無事に生き抜こうって…そうだ!」
せっかくアスランがいるんだから、もう1回約束しなおそうよとキラが言う。
「こうやって4人揃ったのは久しぶりだしね」
ラクスに言われて気づいたが、4人全員が揃ったのは開戦後初めてだった。
「メイリンくん、きみも一緒に」
遠慮していたメイリンも、ラクスに誘われて輪の中に入れてもらった。
「全てが終わるまで、僕たち全員、無事に生き抜くことを約束しよう。キラも、アスランも、カガリくんも、メイリンくんも、僕も」
「いいか、この約束は絶対に破るなよ!」
「だから、なんでカガリが威張るの?」
キラが不満そうに抗議すると、皆明るく笑った。

「おまえが言ったことは、確かに間違いじゃない」
やがてカガリがアスランに言った。
「ジブリールを匿ったのはオーブの総意や意志ではなかったとはいえ、責任を逃れるつもりはない。国を留守にしてセイランに任せきりにした俺にも非がある」
「それは…」
カガリは反論しようとするキラに「わかってるよ」と言った。
自分に銃を向けたユウナが、もっと前から自分の命を狙っていた事は、カガリも既に知っていた。そしてキラが、「今はオーブに帰れない」と言った理由も。
「オーブは確かにその罪を償わなければならないが、でもそれを国民の生命や国家の存在で購うことはできない」
アスランは頷いた。
「当然だわ」
「だから、俺は闘う。できれば武力など使うことなく、持てる全ての力…対話や、文書や、協力してくれる国々や、外交ルートを使って、理解してもらうために」
長い旅と今回の大いなる危機が、カガリに改めて決意を固めさせていた。
何より、自分が強くあれるのは、ここに支え手たちがいるからに違いなかった。
カガリはキラたちを見て、最後にアスランを見たが、アスランもまた彼を見ていた。互いの視線はもう、かつてのようにすれ違ってはいないと思えた。
「それでも駄目なら、戦おう。守るために…俺たちの世界を…」
「宇宙へ上がろう、アスラン、キラ」
ラクスがもう一度言った。
「皆、戦いたいわけじゃない事はわかってる。でも、今は闘うべきだと思う。ジブリールを捕えられず、プラントを危機に陥れた事を胸に留め、未来へと進む正しい道を見つけるために」
アスランは今度こそ頷き、キラもまた頷いた。

「全艦、発進準備完了です」
ミネルバの準備も整い、いよいよ宇宙に向けて旅立つ時が来た。
偏向ステーションを破壊しているジュール隊やジャニス隊、その他援軍の働きでレクイエムの第2射目は大幅に遅れているようだった。
誰もが焦りながらも、一刻も早く戦場に辿り着くため一つのミスもしないよう、冷静沈着に作業を進めていった。
「機関最大。ミネルバ発進します!」
強力なブースターが唸りを上げ、ミネルバがゆっくりと艦首を上げた。
同じ太平洋に着水したあの時は、ユニウスセブンの欠片と共に来た…約1年間に渡る地球暮らしに別れを告げ、ミネルバは宇宙へ向かう。
シンはシートに座りながら、名も知らぬ山間の湖に眠るステラを想った。
子供のように無邪気で可愛らしいステラ…けれど彼女が最期を迎えた時の痛々しい姿と言葉を思い出し、目頭が熱くなりかけたシンはそっと眼を閉じた。
(シン…好き…)
それは恋や愛ではないけれど、それでも、世界に見捨てられた彼女が、少しでも温かく優しい気持ちで逝けたなら、いいと思う。
(さよなら、ステラ…俺もきみが好きだったよ…)
それからポケットの中の携帯電話を握り締めた。
再び焼かれたオーブ、アスハ、そして生きていたアスランが思い出された。
(あの日焼かれたおまえが、今度は焼くのか、オーブを!)
(オーブを討ってはだめよ、あなたが!)
(あそこには、かつてのおまえと同じ人々がいるんだぞ!)
(その怒りの本当の理由も知らないまま、ただ戦ってはいけない!)
シンの脳裏に、3年前のあの日の光景が蘇った。
それはフラッシュバックなどではなく、彼自身がその意志で思い出した記憶だ。
砲撃の中を逃げ惑い、この妹の携帯電話を拾いに行って吹き飛ばされた。
気づいた時、何もかも失っていた。全てを失っていた…
(マユ…父さん…母さん…)

「いつまでも後ろを見るな、シン!俺はもう前に進むぞ!」

(くそっ…!)
シンは再びカガリの言葉を思い出し、ぎりっと歯を食いしばった。
(俺は戦う。俺の目指す世界のために…守るべきもののために…!)
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secret
制作裏話-PHASE44②-
レクイエム発射により、ヤヌアリウスが崩壊、ディセンベルも大きな被害を蒙ってしまいます。ユニウスセブンが24万人ですから、4基のコロニーが壊滅した被害ってば一体…ただでさえ出生率が下がりまくりなんですから、戦争しとる場合か。コーディネイターの叡智をもって「戦闘用AI」を作り上げに戦わせた方がよかろうに。義体に組み込めば格闘もイケる。だがそんなものができたらアスランの自爆戦法が霞んでしまうじゃないか!

怒り狂い、絶望に塞ぎながらも「二度と撃たせるか!」と元気なのがイザークです。やっぱりこうでなくては。

この二人がどんな風に隊を率いているかは、ちょこちょことファンサービスで出てくる割にはほとんど語られなかったので、ここで少し補完してみました。既にPHASE6のユニウスセブン破砕戦やPHASE9のプラント防衛戦でも二人の戦いぶり、役割の違いは描いていましたが、それも今回と最終決戦で彼らを書きやすくするためのいわば「筆ならし」でした。総指揮を取るイザークと、現場監督であるディアッカ。イザークを苛立たせる自分より優秀なアスランに煩わされることのない今、イザークは「あたりはキツいけど有能で面倒見がいい」隊長だろうと思います。追い込まれていた部下を救って「モタモタするな!」と怒鳴りながらもちゃんと下がらせるちょっとした兄貴っぷりも創作してみました。

ディアッカも前作よりずっと大人になった今は、彼をよく支える副官たりえるでしょう。ヒヨッコの面倒を見、ハーネンフースら中堅の指揮を執り、イザークの見せ場も用意するというまさしくこれぞ「戦闘コーディネイター」です。ディアッカは本当にアレンジしやすいキャラクターです。
なので彼が今まさに戦っている宙域をミリアリアがそっと指で触れるというご褒美を用意しました。

彼らが戦っている間、一報が入ったミネルバでもアークエンジェルでも不安が広がります。
オーブも同様ですが、カガリにはここで冷静に政治的思考を巡らせてもらい、これがジブリールの仕業だとしたら、プラントは再び「彼を庇ったオーブ」に攻め入る口実にするのではないかと危惧します。実際には議長は既にその線は諦めており、逆にオーブをデスティニープランに逆らう「障壁」として、さらに逆転では一味加え、デスティニープランに反発する者がそれと「対比できる世界」としてオーブを選ぶ事を防ぐ目的でも、彼の国を亡きものにしようとする…という苦しい展開に持って行きました。何しろ本編はザラ議長ほどの動機もなく、何の脈絡もなく、議長が大量虐殺をしようとするんですから、なんとか大義を与えねばならなかったのです。苦肉の策、何とぞご理解ください。

惨状を眼にしたシンとルナマリアは、この事態が心のどこかで「自分たちがオーブを倒せず、ジブリールを捕らえられなかった」からだと考えており、言葉もありません。そりゃそうでしょう。犯罪者を逃したら、そいつがさらに大変な犯罪を引き起こしたなどとなったら、逃がした方はいたたまれません。

ここで、本編では一度もなかったシーンを創作して入れ込みました。それは、シン、ルナマリア、レイの赤服パイロットがブリッジを訪ねてくるというものです。これ、本編ではついになかったんですよね…
キラやフラガがアークエンジェルのブリッジに来る事も、ニコルたちがガモフ、アスランがヴェサリウスの艦橋にいるシーンもあったし、イザークなんかボズゴロフのブリッジに駆け込んできたこともあるのに(今思えばホントにイザークらしいなぁ)、ミネルバにはそれがないのです。主人公であるシンと、タリアやアーサーたちミネルバクルーとの関係性と、彼らの戦う意志を強化するためにも、こういうシーンが一回くらいあってもいいんじゃないかと思い、以前から考えていました。

そしてこのシーンの前に休憩室で話しこんでいる時、シンとルナマリアがレイに決意を表明します。
当初、シンはレイに自分がした事を話していないという設定にしたのですが、2022.8.20、ここでフリーダムを見逃したことを白状するという形に変えました。
なお本編にはなかったものとして、シンにはステラの件を思い出してもらいました。どちらも自分の行動が引き起こした事…奇しくもシンは再びこれに対峙します。ダークヒーローらしい障害がてんこ盛りですが、逆転の賢く強いシンなら乗り越えると信じられますね。

けれどレイは彼らが言う「2人だけの責任」を否定し、3人でジブリールを討とうと言うのです。彼らが戦友であり、仲間である証としてこういうシーンがあって然るべきだったと思います。なおここはキラたちが再び約束を交わす事と対比しているシーンでもあります。

さて本編でもレイがゲシュマイディヒパンツァーの説明をすらすらとするのですが、誰も「何でそんな事知ってるの?」とツッコまないんですよね。
これはもちろん、議長がサラに調べさせた情報を握っているからなんですけど、やっぱり不自然ですよね。つじつまが合わないのは物語が駆け足になってきてる証拠です。
敢えてこの話を聞く人数を増やしましたが、本編準拠のため、この程度でやめておきます。

彼らの決意を聞いて、タリアやブリッジクルーも感激し、士気が上がります。タリアが優秀な上官であると同時に包容力のある女性である証拠として彼らの成長ぶりを認めさせ、「皆で止めましょう」と言わせました。それに、ルナマリアがきちんと赤服を着ていることを「成長の証」と捉えるのもいいと思います。
これは、本編では特に顕著だった「単なる推測のみで判断し、強大な武力を振るおうとしているアークエンジェル」の対抗馬として、「今、そこにある危機」を防ぐために戦う艦がミネルバであるとしたかったのです。
本来ならクライマックスへと差し掛かっている物語の主人公サイドには、これくらいの盛り上がりか、派手な演出があって当然ですよね。

さて後半は本編の「アークエンジェル決起集会」に、もう少し意味を持たせようと四苦八苦しています。何しろ「わたくし、見てきますわ」と言って調べにいったプラントで、ラクスさまが手に入れたのは、名もなきキャラが書いたノートの落書き一つ。
たったそれだけで議長を討つとぬかすんですから、もう日本赤軍もビックリです。そりゃストフリだのインジャだのドムトルだのをバカスカ造るわけですよ、このテロ歌姫は。

逆転のラクスはターミナルやダコスタたちを野に放って情報収集に余念がありませんから、今はもう議長は遺伝子による選別を受ける世界…自分に最もふさわしい世界で、ふさわしい能力を発揮して、満足して生きられる世界を作れば戦争など起きないと思っていると考えています。

その証拠に出してきたのが、そうしたセレクションを行いやすいアカデミーでの実験、としたのです。
実はメイリンのことについては初めは何も考えていませんでした。
逆転DESTINYに取り掛かる前、まず真っ先に考えたのは、メイリンを男にするなら、いくら少し臆病とはいえ彼だって赤服を目指さないはずはないだろうということ。けれど結局彼は脱落し、シンたちに憧れながらオペレーターに甘んじている…としたのは単純な思いつきでしたが、ガイア同様、これもここでうまいこと利用できましたね。

メイリンは自分の思いも努力も実際の能力(真面目なメイリンはトータルの成績はルナマリアより上)も無視され、遺伝子によってふるい落とされたと知って、少なからずショックを受けます。
知らないうちに彼の世界は他人によって勝手に閉ざされていたわけですからね。

けれど今は、触れ合う事もなかったナチュラルと出会い、カガリやラクスとも親しくなり、何よりミネルバでは言葉一つかけられず、まともに話すこともできなかったアスランの傍で、てらいもなく話せるようになった事が、彼に少しずつ自信を与えつつあります。
これぞまさに可能性が広がったキャラクターといえますが、私自身、全く意図していなかったことなので内心驚いています。

この遺伝子の選別については、PHASE40のリフレインでエターナルで話した内容と変わりませんが、ナチュラルは数が多く、遺伝子の多様性もコーディネイターとは比べ物にならないため、中にはコーディネイターを凌駕する天才や驚くべき才能が見つかる事もある、という「一発逆転」があるとしました。例えば本編ではあまりクローズアップされませんが、フラガ一族の「空間認識能力」なんかはそこらのコーディネイターよりすごいと思いますよ。アルのクローンであるクルーゼもレイもアカデミーで赤服をとれる実力を持ち、ナチュラルにしてはガタイもよく、美形ですからね。天才家系ですよね~(クルーゼたちに比べるとやや凡人に近いムウは、確かにアル曰く『あの女の息子』扱いなのかも)
あ、あとノイマンとかね。この人の操縦技術もハンパないかも。

そもそも議長の提唱するデスティニープランは、今すぐぶっ潰せ!というような制度ではありません。
少なくともその成果を測るには、10年とか20年のスパンが必要なはず。だってこのプランはむしろ今生きている大人より、これから生まれてくる子供たちに施すべきものだからです。これだけならラクシズは戦いを挑む事もできません。挑んだらそれこそただのテロリスト、オーブの名を借りるならオーブによる許し難い武力行為となります。
だからこそ議長は大人の都合で「それまでのキャラをなかった事にしていきなり大量虐殺を始めたガイキチ」と成り下がってしまいました。雉も鳴かずば撃たれまい…レクイエム撃たねば討たれまい…

ネオは閉ざされた世界に生きた子供たちを思い、カガリやミリアリアは「つまらなそうだ」と苦笑します。
なおネオはPHASE2だか3だかでやがて全てが始まる…などと「謎めいた事」を言っていたのですが、本編では見事なまでになかった事にされましたので、逆転ではちょっとだけ拾っています。
そして本編はこのまま会合が盛り上がり、「議長討つべし!」「ジークラクス」という雰囲気で閉幕、キラとアスランがガチホモ握手で締めるという、何の演出もまともなセリフもない「主人公」シンの地味さにそっと涙を拭う形で終わりました。いくらテーマの一つに「偽者と本物」があるからって、「偽主人公がシンで本物主人公がキラ」というのは酷いと思います。

逆転ではここでアスランが苦言を投げ入れ、その場が一気に炎上します。せっかくまとまりかけてたのに、カガリ様万歳ラクス様万歳で終われたのにと、オーブ軍人もヒルダたちもカンカンです。

アスランは「議長を討つとか、彼の野望を阻止するにしても、責任の所在を忘れるべきではない」という事を言いたかったのですが、いきなり否定から入ると人はそれを素直には聞き入れられないものです。和やかな雰囲気を一瞬でブリザード吹き荒れる冬の嵐に変えたアスランは、がっくりと落ち込みます。そのくせあくまで主張を曲げる事はないのです。ここはとにかく、アスランに融通の利かない頑固さを発揮してもらいました。

こうした芯の強さ、全てを敵に回そうとも、「●●である」と主張できることこそがアスランの美徳だと思っているラクスは、謝ってはいけないと彼女を止めます。ここはもちろん、ラクスが「思い通りに事を導こうとしてしまった」自分を止められるのは、こうした公平な秤を持つアスランしかいないと考えているという伏線です。
しかしこれ、できそうでなかなかできないですよ~
ことに日本のような根回し社会・村社会ではたった1人で反対意見を述べる事は難しいでしょうね。

やがて彼らはPHASE26でキラ・ラクス・カガリが交わした約束を、今度は5人でします。PHASE26の加筆修正時もそうでしたが、当初は指きりだったこのシーン、あまり日本的なものを入れるのは好きではないのでやめました。(オーブのルーツはSEED世界では東アジア共和国の一員となっている日本なのであながちおかしな事でもないのですが)

なおこのシーンの少し前に、カガリがアスランに「大丈夫か?」と尋ねるシーンを創作しています。メイリンはそれを聞いてPHASE43で知った事実…「アスランに大丈夫?と聞くと、必ず大丈夫と答える」法則が実証されるとほくそ笑みます。
けれどアスランは曖昧な答えを返し、カガリはいつものように明るい声で呆れます(まさかそのせいでラクスを殴りかけたとは口が裂けても言わないでしょうなぁ)

実際には本編のアスランはカガリに「大丈夫か?」と聞かれれば「大丈夫だ」と言っているのですが(PHASE7など)、実は逆転では一度もそうは答えさせていません(PHASE1-3や7をご覧ください)。「大丈夫か?」と聞くシーンがあっても、何かしら間に別の言葉や会話を挟んで、意図的に言わせてこなかったのです。それはこのシーンのためにずっと張っていた伏線でした。PHASE40で「アスランはカガリくんに甘えてるんだから」とラクスが言ったように、こうした些細なところに、二人の絆を入れてきたのです。
メイリンはそれを知り、さらに次のPHASEで決定的に確信してしまいます。そのためにこうしてずっと積み上げてきたのです。まさに「REASON」ですね。

さらに、アスランがカガリの決意を聞きます。本編ではPHASE39を最後に二人は一度も口も利かず、逆転でも怒涛の展開でなかなか話ができなかった二人ですが、ここではこの最後のチャンスを生かし、カガリの考えを受け取ったアスランは、再びキラたちと共に戦う決意を固めます。ラクスの言うように、まさに「対話によるわだかまりの昇華」がなされるのです。これにより、カガリの物語が次回完結します。そしてアスランとカガリの関係にも一つの答えが出るのです。

地球を離れるシンには、本編にはなかったのですがステラを思い出してもらいました。1人寂しく眠る彼女に、「俺も好きだった」と別れを告げます。恋とか愛ではありませんが、シンはステラが好きでした。逆転ではバカげた霊界通信はありませんが、彼の好意と優しさはきっとステラの魂を救った事でしょう。そして痛みを伴う優しく温かい思い出として、彼の心に一生刻まれた事でしょう。
になにな(筆者) 2012/02/23(Thu)00:43:45 編集
Natural or Cordinater?
サブタイトル

お知らせ
PHASE0 はじめに
PHASE1-1 怒れる瞳①
PHASE1-2 怒れる瞳②
PHASE1-3 怒れる瞳③
PHASE2 戦いを呼ぶもの
PHASE3 予兆の砲火
PHASE4 星屑の戦場
PHASE5 癒えぬ傷痕
PHASE6 世界の終わる時
PHASE7 混迷の大地
PHASE8 ジャンクション
PHASE9 驕れる牙
PHASE10 父の呪縛
PHASE11 選びし道
PHASE12 血に染まる海
PHASE13 よみがえる翼
PHASE14 明日への出航
PHASE15 戦場への帰還
PHASE16 インド洋の死闘
PHASE17 戦士の条件
PHASE18 ローエングリンを討て!
PHASE19 見えない真実
PHASE20 PAST
PHASE21 さまよう眸
PHASE22 蒼天の剣
PHASE23 戦火の蔭
PHASE24 すれちがう視線
PHASE25 罪の在処
PHASE26 約束
PHASE27 届かぬ想い
PHASE28 残る命散る命
PHASE29 FATES
PHASE30 刹那の夢
PHASE31 明けない夜
PHASE32 ステラ
PHASE33 示される世界
PHASE34 悪夢
PHASE35 混沌の先に
PHASE36-1 アスラン脱走①
PHASE36-2 アスラン脱走②
PHASE37-1 雷鳴の闇①
PHASE37-2 雷鳴の闇②
PHASE38 新しき旗
PHASE39-1 天空のキラ①
PHASE39-2 天空のキラ②
PHASE40 リフレイン
(原題:黄金の意志)
PHASE41-1 黄金の意志①
(原題:リフレイン)
PHASE41-2 黄金の意志②
(原題:リフレイン)
PHASE42-1 自由と正義と①
PHASE42-2 自由と正義と②
PHASE43-1 反撃の声①
PHASE43-2 反撃の声②
PHASE44-1 二人のラクス①
PHASE44-2 二人のラクス②
PHASE45-1 変革の序曲①
PHASE45-2 変革の序曲②
PHASE46-1 真実の歌①
PHASE46-2 真実の歌②
PHASE47 ミーア
PHASE48-1 新世界へ①
PHASE48-2 新世界へ②
PHASE49-1 レイ①
PHASE49-2 レイ②
PHASE50-1 最後の力①
PHASE50-2 最後の力②
PHASE50-3 最後の力③
PHASE50-4 最後の力④
PHASE50-5 最後の力⑤
PHASE50-6 最後の力⑥
PHASE50-7 最後の力⑦
PHASE50-8 最後の力⑧
FINAL PLUS(後日談)
制作裏話
逆転DESTINYの制作裏話を公開

制作裏話-はじめに-
制作裏話-PHASE1①-
制作裏話-PHASE1②-
制作裏話-PHASE1③-
制作裏話-PHASE2-
制作裏話-PHASE3-
制作裏話-PHASE4-
制作裏話-PHASE5-
制作裏話-PHASE6-
制作裏話-PHASE7-
制作裏話-PHASE8-
制作裏話-PHASE9-
制作裏話-PHASE10-
制作裏話-PHASE11-
制作裏話-PHASE12-
制作裏話-PHASE13-
制作裏話-PHASE14-
制作裏話-PHASE15-
制作裏話-PHASE16-
制作裏話-PHASE17-
制作裏話-PHASE18-
制作裏話-PHASE19-
制作裏話-PHASE20-
制作裏話-PHASE21-
制作裏話-PHASE22-
制作裏話-PHASE23-
制作裏話-PHASE24-
制作裏話-PHASE25-
制作裏話-PHASE26-
制作裏話-PHASE27-
制作裏話-PHASE28-
制作裏話-PHASE29-
制作裏話-PHASE30-
制作裏話-PHASE31-
制作裏話-PHASE32-
制作裏話-PHASE33-
制作裏話-PHASE34-
制作裏話-PHASE35-
制作裏話-PHASE36①-
制作裏話-PHASE36②-
制作裏話-PHASE37①-
制作裏話-PHASE37②-
制作裏話-PHASE38-
制作裏話-PHASE39①-
制作裏話-PHASE39②-
制作裏話-PHASE40-
制作裏話-PHASE41①-
制作裏話-PHASE41②-
制作裏話-PHASE42①-
制作裏話-PHASE42②-
制作裏話-PHASE43①-
制作裏話-PHASE43②-
制作裏話-PHASE44①-
制作裏話-PHASE44②-
制作裏話-PHASE45①-
制作裏話-PHASE45②-
制作裏話-PHASE46①-
制作裏話-PHASE46②-
制作裏話-PHASE47-
制作裏話-PHASE48①-
制作裏話-PHASE48②-
制作裏話-PHASE49①-
制作裏話-PHASE49②-
制作裏話-PHASE50①-
制作裏話-PHASE50②-
制作裏話-PHASE50③-
制作裏話-PHASE50④-
制作裏話-PHASE50⑤-
制作裏話-PHASE50⑥-
制作裏話-PHASE50⑦-
制作裏話-PHASE50⑧-
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